
アラブニュース
ロンドン:昨年8月のベイルートにおける壊滅的な爆発を引き起こした硝酸アンモニウムを輸送していたロンドンの企業が、シリアのバシャール・アサド大統領とつながっている3人の人物と関連付けられた。
レバノンの映画製作者フィラース・ハトゥムによる調査によって、ロンドンを拠点とするサヴァロ社とシリア戦争当初からアサド政権支援の中心的存在だった3人の人物との関係が発覚した。
今回ハトゥムの調査結果によって、ベイルートの港の大部分を瓦礫に変え200人以上に市民を死に追いやった2,750 トンの硝酸アンモニウムは、シリア高官らが武器に利用するために入手しようとしていた副産物であった可能性が初めて高まっている。
ロシア系シリア市民ジョージ・ハスワニ、ムダラル・フーリ、そしてその弟イマド・フーリは、以前三人ともアサド政権の戦争を支援したとして米国から制裁を受けていた。
ハスワニとフーリ兄弟に関連する企業とは、ヘスコエンジニアリング&コンストラクションと今はもう存在しないIK ペトロリアムで、この二社がサヴァロ社とロンドンの住所を共有していた。サヴァロ社は2013に硝酸アンモニウムを購入している。
ハスワニはアサド大統領の腕利きビジネスマンを務めていたが、ダーイシュが産出していた石油をシリア政権に代わって購入する役目を務めていたことにより、米国から制裁を受 けた。
サヴァロ社はシェルフカンパニー、つまり一度も取引やビジネスをしたり、資産を保有したりしたことのない企業で、1月12日(火)に英国の企業リストから外されたその当日に爆発事件との関連性が発覚することになった。
ムダラルは、ロシアの貨物船ローサスがベイルートの港に横付けされて化学物質を荷下しした日の数ヶ月前に、硝酸アンモニアを供給しようとしたとして米国から告訴された。
貨物船の所有者がはっきりしないことやベイルートへの突然の方向転換、それに貨物の謎に包まれた出荷場所などにより、硝酸アンモニウムがモザンビークではなくて常にベイルートへ輸送されていたことへの疑惑が当初から高まっていた。
多くの他の複雑な要因が絡んでおり、硝酸アンモニウムの供給源とその意図されていた目的地の裏にある事実がまだ見えてこない。
国際海運業の闇の世界、硝酸アンモニウムの輸送に利用されていたシェルフカンパニー、複数の国が絡む状況の中で証人を探し出して尋問することの難しさなどから、レバノンによる爆発事件の原因究明が滞っている。
レバノンのハッサン・ディアブ首相、3人の前閣僚、それに30人の下級官僚たちがこれまでに爆発事件に関して起訴されている。
しかし、1月12日(火)にハスワニ、フーリ兄弟、そしてアサド政権のつながりが発覚して以来、それはレバノン社会に波紋を呼んでいる。
ハトゥムによると、彼はレバノンがあのような爆発事件を起こしてしまった本当の理由を最終的に知ることができるのかどうか、疑問に思っているという。
「これまでの数ヶ月の対応ぶりを見る限り、私は色々な意味で(レバノンが調査から確かな答えを導き出せるとは)思わない」と彼は言う。
「それに、外国による調査や国際的な調査についても一切信用していない。過去に同じような苦々しい経験をもっているし、いつだって政治が介入してくるからだ。」