
ナジャ・フーサリ
ベイルート :レバノンの新政府樹立を巡り、ミシェル・アウン大統領と次期サード・ハリリ首相との間の溝は金曜日に拡大した。
ハリリ氏は昨年10月22日、新政府を樹立する次期首相として指名されたものの、未だ進展はない。これによりレバノンは財政的苦境と新型コロナウイルスの世界的大流行という課題に加え、政治的に行き詰まったままとなっている。
1月11日に放送された映像では、アウン大統領とハッサン・ディアブ暫定首相との会談の様子が映し出されており、その映像でアウン大統領は、ハリリ氏は自身が提案した新内閣構想が承認されたと嘘をついたとハリリ氏を非難していた。解説者らは、ハリリ氏を非難したことで、アウン大統領は次期首相と次期内閣幹部らを侮辱し、アウン大統領とハリリ次期首相との溝を広げたと主張している。過去10日間、その溝を埋めるための様々な試みは失敗に終わった。
金曜日、アウン大統領の広報担当部署は、「新政府樹立の手続きを妨害するため、大統領が次期首相の邪魔をしていると示唆する分析や記事 」に対する声明を発表した。
「大統領は、新政権樹立の妨害は求めておりませんでした」と声明は述べ、「強いレバノン」議会会派トップを務めるゲブラン・バシル議員は、次期政権樹立を妨害しておりませんし、バシル氏は次期政権の樹立プロセスに全く関与しておりませんでした」と加えた。バシル氏は自由愛国運動の党首であり、アウン大統領の義理の息子でもある。
大統領の広報担当はまた、ヒズボラが 「新内閣樹立に対して大統領に圧力をかけている 」ことについても否定した。
声明は、「各大臣職に閣僚を指名し任命することは、憲法における2つの条項に基づき、次期首相の独占的な権利ではありません」とし、「大統領は署名の前に内閣全体を承認する憲法上の権利を有しています」と加えた。
「特に新内閣樹立に関する極めて切迫した様々な状況に鑑み、憲法の規定に基づく公正な基準を考慮した内閣閣僚らと次期首相の到着を待つバーブダ大統領府宮殿に、大統領は次期首相を再度呼び出す必要はありません」と声明は続けた。
ハリリ次期首相の広報顧問を務めるフセイン・アル・ワジ氏は、大統領府が出した声明に 「驚いた 」と述べ、それが 「大統領ではなくゲブラン・バシル氏を代表して出されたもの」ではないかと疑問を呈した。
また、アル・ワジ氏はアラブニュースにこのように語った。「大統領の権限については誰も議論していません。しかしこれは首相が次期政権を樹立するための議会協議を行った後に、次期首相の合意の下に政府を形成するための政令を公布し、その政令に署名することに関係しています。」
アル・ワジ氏はこのように続けた。「状況が非常に緊迫しているため、おそらく関係者は、政治的・党派的な割り当てではなく、憲法に基づく公平な選任を考慮した次期首相(により提案された)の閣僚案に従うべきでしょう。」
アル・ワジ氏は、ハリリ氏は自身の提案した閣僚案を変更する気はないだろうと指摘した。「ハリリ氏の目標は、憲法の基準、国益、フランス主導で定められたルールに基づいて政府を樹立することです。問題はハリリ氏ではなく、アウン大統領の方です。大統領はハリリ氏の提案する閣僚案に同意しないと主張しますが、異議を唱える理由を述べません。」
「未来」議会会派に所属するサミ・ファトファト議員は、次のように述べた。「私たちは大統領との間で行き詰まりの状態となっており、その状態を克服できません。大統領には、政府樹立過程で提案されたすべての閣僚らについて議論する権利と義務がありますが、議論するどころか、憲法に基づかない提案を提示しているのです」
ファトファト議員は続けて、大統領が自身の立場の儀礼に従って行動していないことを非難した。「アウン大統領は、65人の国会議員がハリリ氏を政府のトップに任命したことを知っているはずです」と述べた。「今の大統領は、憲法を託された大統領ではなく、政党として、政党の長として行動しています。」
また金曜日、世界銀行グループのマシュレック部門の地域ディレクターを務めるサロージ・クマール・ジャ氏は、世界銀行はレバノンの経済を強化し、貧困ライン以下で生活しているレバノンの多くの人々の生活を改善する方法について、レバノンの指導者らと引き続き話し合いを行う決意だと強調した。
「世界銀行は非常に懸念しており、新政府樹立に協力する責任を感じています」とジャハ氏はレバノンの中央通信社に語った。「事態は日に日に悪化しています。」