
ナーシリーヤ:「テロ行為」による有罪判決を受けた3人のイラク人が1月25日、絞首刑になった、と治安当局筋が語った。この出来事は、バグダッドの混雑した市場で、2度にわたる自爆テロがあり、30人以上が死亡した数日後のことだった。
報告された絞首刑は、イスラム国(IS)が犯行声明を出している21日の自爆テロの後、イラクがこれに屈しないことを示そうとして、このような処刑三昧を許可するかもしれない、と人権派グループが警告した後に起きた。
テロ対策法第4条の下で有罪判決を受けた3人は、25日にナーシリーヤ中央刑務所で死刑執行された、と匿名を条件にこの治安当局筋がAFP通信に語った。
24日にイラク大統領府のある関係者は、「テロ・犯罪行為で判決を受けた」死刑囚340人以上に対する死刑執行命令が、いつでも執行されるようになっているとAFP通信に語った。
「私たちはもっと多くの死刑執行を承認し続けています」と、その関係者は匿名を条件に語った。
イラク大統領府の別の関係者は25日、全ての死刑執行命令書は2014年以降に署名されており、そのうちの大半は、フアード・マアスーム元大統領の下で、ISがこの国の3分の1を占領していた時期だったと語った。
少なくとも32人が死亡した21日の自爆テロは、政府がISの聖戦主義者(ジハーディスト)に打ち勝ったと宣言していたにもかかわらず、ISがもたらす絶え間ない脅威を衝撃的に思い出すものだった。
2005年の法律は、「テロ行為」で有罪判決を受けたどんな者にも死刑を科しており、過激派グループのメンバーなら、死刑を科すことができる。たとえそのメンバーが、具体的なテロ行為で有罪判決を受けていなくても。
人権派グループは、この死刑執行が政治的な理由のために利用されていると警告した。
「指導者たちは、自分たちが…(こうした問題)を深刻に受け止めている、と国民にメッセージを送るためだけに、大量処刑の発表を使っています」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの紛争および危機部門のベルキス・ウィレ主任研究員は語った。
「死刑は他の何よりも、政治的道具として利用されています」と、同主席研究員は24日、AFP通信に語った。
イラク政府がISとの闘いで、正式に勝利を宣言して以来、イラクの裁判所は、ISのジハーディストたちがこの国の大部分を2014年に占領し、モースルをはじめとした都市で、3年間残虐な支配を行っている間に犯した犯罪に対して、数百人に死刑を宣告してきた。
死刑執行は大統領に承認されなければならないので、こうした死刑判決のごく1部のみが執行された。2018年以降、大統領を務めているバルハム・サリフ大統領が、個人的には極刑に反対しており、これまで死刑執行命令の署名に抵抗していた。
21日の自爆テロの後、イラク人の中には、ソーシャルメディアを使って、「死刑判決を執行しないこと」と脱獄の危険性があることで、サリフ大統領を非難して、同大統領にもっと断固たる措置を取るように要求する者もいた。
先週の首都での2度にわたる自爆テロの報復に、ジハーディストたちを処刑するように要求して、26日にナーシリーヤで、抗議行動を行う計画がある。
サリフ大統領が死刑執行に対して、穏健的な立場を取っているにもかかわらず、アムネスティ・インターナショナルによると、イラクは2019年、中国、イラン、サウジアラビアに次いで世界で4番目に死刑執行の数が多かったという。
司法関係者はAFP通信に、2020年に少なくとも30人が死刑執行されたと語った。
この中には、「テロ行為」の有罪判決を受けて、11月にナーシリーヤ刑務所で死刑執行された21人の男性が含まれている。
こうした動きは、アメリカ合衆国からの激しい非難を招き、アメリカはこの知らせに「深く心を痛めている」と述べ、イラクに今後の計画されている死刑執行を中断するように要請した。
人権派グループは、イラクの司法制度が腐敗しており、状況証拠に基づいて大急ぎで裁判を行い、被告人に適切な弁護を認めないことで非難している。
ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は昨年の末、イラクの司法制度に、このような欠陥があることを考えれば、極刑を執行することは、「この国による身勝手な生命の剥奪となるかもしれません」と語った。
AFP通信