
イスタンブール:トルコとロシアの両大統領は3月10日、トルコ南部のアックユ原子力発電所で、原子炉第3号機の建設をリモート会談で始動させ、両国の密接な協力を継続させることを誓った。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、この原子力発電所ができれば、トルコは「原子力発電を行っている国々の仲間」入りができるだろうと述べ、この発電所を、「トルコとロシアの協力の象徴」と呼んだ。
ロシアはトルコ南部、メルスィン県の地中海沿岸に、トルコ初の原子力発電所を建設中だ。
両国は2010年に原子力協力協定に署名し、2018年に建設着手した。
水力発電所もあるが、ガス燃焼火力発電所で自国の電力を賄っているトルコは、アゼルバイジャン、イラン、ロシアなどから天然ガスを購入して発電していることから、輸入に大きく依存している。
エネルギーの安全保障にとって、原子力発電は「戦略的な一歩」だ、とエルドアン大統領は述べた。
昨年の夏、トルコは黒海で、4,050億立方メートルの天然ガスを発見したと発表した。そして、トルコは地中海で炭化水素資源の探査を行っており、同海域の領有権をめぐって、ギリシャやキプロスと緊張を高めている。
ファーティフ・ドンメズ・エネルギー大臣は、アックユ原子力発電所は、国内の電力需要の約10%を賄うだろうと述べた。エルドアン大統領は、確立された電力網の中で、国内で生産できる再生可能なエネルギー源の割合は、63.7%に達したと述べた。
エルドアン大統領は、現在のトルコ共和国建国100周年に合わせて、2023年に原子炉の第1号機が稼働できるだろうと述べた。合計4基の原子炉建設が計画されている。
この原子力発電所のウェブサイトによると、ロシアの国営原子力企業、ロスアトムが総額200億米ドルと推定されるこのプロジェクト、アックユ原子力共同株式会社の株を99.2%保有しているという。
トルコの大統領はまた、地域の安定において、トルコ・ロシア政府間の協力が「鍵となる役割」を果たしているとも述べた。
「リビア、ナゴルノカラバフ、シリアをはじめとして、多方面でトルコ・ロシア対話の成果を、私たちは目にする機会がありました」と、エルドアン大統領は述べた。両国はこうした紛争で、対立している側をそれぞれ支援している。
エルドアン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は10日、テレビ電話会議で行われたイベントで発言した。モスクワから発言したプーチン大統領は、この原子力発電所の建設を、「まさに最重要のプロジェクト」と述べた。
地震が起きやすい地域で、トルコの原子力発電所のプロジェクトは、近隣のギリシャやキプロスに大きな不安をもたらしている。そのキプロスでは、ギリシャ系キプロス人と、トルコ系キプロス人の両方の環境団体が強い反対の声を上げている。
AP通信