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タリバン「2週間以内に包括的な」政府を樹立する アフガニスタン人は国境に向かって駆け出す

米国がアフガニスタンから全ての部隊を撤退させた後、タリバンのザビフラ・ムシャヒド報道官(中央)が1日、カブールの空港で記者会見を開いている。(AFP)
米国がアフガニスタンから全ての部隊を撤退させた後、タリバンのザビフラ・ムシャヒド報道官(中央)が1日、カブールの空港で記者会見を開いている。(AFP)
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02 Sep 2021 07:09:29 GMT9
02 Sep 2021 07:09:29 GMT9

タリバンの指導者らは新政権樹立に関する協議を終える

シェルシャー・ナワビ

カブール:武装勢力タリバンが国の支配を固め、政府を樹立する計画をまとめたため、数千人のアフガニスタン人が1日、国境に向かって駆け出した。

カブールの空港は機能していない。タリバンの報復を恐れるアフガニスタン人は、隣国のイランやパキスタン、中央アジア諸国に陸路で安全に脱出しようとしている。

カイバル峠の少し東に位置する、パキスタンとつながる国境検問所があるトルカムで、パキスタン政府関係者は「アフガニスタン側では、多くの人々が開門を待っている」と述べた。

イランと国境を接するイスラムカラの検問所にも数千人が集まった。「アフガニスタン人はイランの治安部隊と同行することで、イランに入国したとき、ある種の落ち着きを感じた、と私は思った。昔と比べると」。国境を越えたアフガニスタン人はそう話した。

ウズベキスタンとアフガニスタン北部を隔てる陸上の国境は閉鎖されたままだが、ウズベキスタン政府は、航空便が再開すれば、アフガニスタン人の空路での移動を支援すると発表した。

フランスのジャンイブ・ルドリアン外相によると、タリバンはカタール、トルコと、カブール空港の運営方法について協議しているが、それらの交渉がまとまるには数日から数週間かかる可能性がある。

タリバンが8月15日にカブールを占拠した後、12万3千人以上が欧米の飛行機でカブールから退避したが、危険にさらされた数万人が残されている。ドイツに限っても、危険を感じた場合にドイツに退避する権利がある人が最大4万人いると推定されている。

一方タリバンは、タリバンの指導者らが「包括的」で広範囲にわたるアフガン政府の樹立に関する協議を終えたことを発表し、2週間以内に新政権を見せたいという意向を表明した。

この発表は、タリバンが今月、欧米が支援するアフガニスタン政権を打倒した後に行われた。最後の米軍機が30日にアフガンの首都カブールを去ってから48時間しか経っていなかった。

カブールにいるタリバン副報道官のビラル・カリミ氏は、アラブニュースに対し、「近い将来、国民は新政府と内閣の樹立を見るだろう……新政府樹立のための議論は終わった」と話した。

その前に3日にわたる協議が、タリバンの最高指導者であるムラー・ハイバトゥラ・アクンザダ氏の主導で、アフガニスタン第2の都市でありタリバンの拠点であるカンダハルで行われた。

「新政府が何とかして今週か来週中に発足することを我々は望んでいる」とカリミ氏は付け加えた。

カリミ氏は詳細は明らかにしなかったが、将来の政府は、「アフガニスタンの新しい政治システムの中で全政党が参加する広範なもの」になるだろうと述べた。

タリバンは、8月15日に権力の座に復帰して以来、「イスラム法の枠組み」の下でより穏健な政府を樹立し、女性の権利を守り、敵対者に恩赦を与え、アフガニスタンの領土が他国への攻撃の拠点として使われないようにする、と繰り返し明言してきた。

タリバンは1日、カブール空港を完全に掌握。米国が20年間の占領を終えた後、アフガニスタンは「自由な主権」国家になったと宣言し、2001年に追放されたタリバンの権力の座への復帰を確かなものにした。

タリバンのザビフラ・ムシャヒド報道官はカブールのハミド・カルザイ国際空港で記者会見を開いた。同氏は米国の撤退を「歴史的な瞬間」と歓迎する一方で、戦争で荒廃したアフガニスタンに安全をもたらし、「我々の自由と独立、そしてイスラムの価値感を守る」と約束した。

しかし、アフガニスタン人の多くはまだ懐疑的で、この2週間で数万人が国外へ脱出している。タリバンが米国主導の侵攻で打倒される前の1996~2001年の統治時代にしていたような強硬な統治形態を復活させることが懸念されている。

カブール在住の政治アナリスト、アブドラ・カデリ氏は、アラブニュースに対し、「政府が約2週間存在しない世界初の国であるため、アフガニスタンでの包括的な新政府の樹立は急務だ。このプロセスが続けば、内戦を助長しかねない」と語った。

人権活動家のシャハラム・ラマニ氏はアラブニュースに対し、次のように語った。「我々は、この政府が包括的であり、全ての政党や政治家が参加することを望んでいる。政府が包括的でなければ、その存在は全ての当事者にとって無意味なものになる、と我々は考えている」

タリバンはアフガニスタン経済を強化するという緊急課題にも直面している。タリバンが人口3800万人の国を奪還して以来、支援国は資金を保留している。同国は20年間、外国からの数十億ドルの援助で生き延びてきた。

銀行は閉鎖されたままだ。住民らによると、首都やその他の地域で必需品の価格が急騰しているという。

サナウラ・ザザイさん(35)はアラブニュースに対し、「我々は食料と水、そして安全を必要としている。アフガニスタンの指導者たちに、できるだけ早く政府を樹立するよう求める。国民は困難に直面している」と話した。

ジョー・バイデン米大統領は31日、挑戦的な語調で、アフガニスタンから撤退するという判断は正しいものだと擁護した。同氏は「アフガニスタンに関するこの決断は、アフガニスタンだけに関するものではない。他国を作り替えるための大規模な軍事作戦の時代の終わりだ」とツイートした。

ブラウン大学の「戦争のコストプロジェクト」によれば、約2500人の米兵と推定24万人のアフガニスタン人が米国最長の紛争で命を落とした。その中には、アフガニスタンの民間人約5万人、援助活動従事者400人以上、ジャーナリスト72人が含まれている。

アフガニスタンの住民の将来への不安が高まる中、「国民抵抗軍」の報道官であるアブドゥル・カディル・ファキルザダ氏は「アフガニスタンの状況は危機に満ちている。タリバンがカブールを占拠してから2週間が経ち、人々は困難に直面している」と述べた。

「経済状況は混とんとしており、法の支配も行政サービスもない。タリバンが国を統治できないことを示している」と同氏は付け加えた。

一方、30日にカブール北部のパンジシール渓谷でタリバンの戦闘員と反タリバン勢力の激しい衝突があったという報告が複数あった。

タリバンがカブールを占拠して以来、パンジシール州だけが今までのところタリバンに対抗している。報道によると、タリバンの戦闘員は反体派勢力の指導者らに新政府に参加するよう求めており、参加しない場合は軍事攻撃を行うと脅迫している。

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