
アラブ・ニュース
ロンドン英国では、イスラエルとパレスチナの対立をテーマにした2冊の教科書が、「危険な誤解を招く内容」との報告を受け、配本が中止された。
配本が一時停止となった教科書『Conflict in Middle East』と『The Middle East: Conflict, Crisis and Change』は、昨年、英国ユダヤ人代議員会からの批判を受け、その内容が大幅に修正された。
しかし、パレスチナの大学を支援する英国委員会のメンバーであるジョン・チャルクラフト教授と、ジェームズ・ディキンズ教授の2人の英国人学者による調査の結果、改訂版は「圧倒的にイスラエル側の主張を支持し、パレスチナ側の主張を支持する(情報を)削除または置き換えている」ことが判明した。
教授らの報告書によると、1ページあたり平均3回の変更が加えられ、アラブやパレスチナの暴力事件が「体系的に追加または強化」されている一方で、イスラエルによる暴力事件はトーンダウンされたり、文章から完全に削除されたりしていた。
原文では、ユダヤ系イスラエル人のテロ行為件数が10例で掲載されていたのに対し、パレスチナ人のテロ行為件数は32例であった。
改訂版では、パレスチナ人による61件のテロ行為に対し、ユダヤ系イスラエル人によるテロ行為件数は4件にとどまった。
チャルクラフト教授はこのように述べた。「(変更の)全体的な影響により、これらの教科書を危険なほど誤解を招くものとなります。」
教科書の出版社であるピアソン社は、声明の中で次のように主張した。「弊社の編集方針は、中東の歴史におけるこの重要な時代を、公正、中立、バランスのとれた方法で教えることを支援することです。内容に対するご意見は歓迎しますが、弊社には、いかなるご意見に対しても検討を行う確固たる手続きがあります。これは、歴史上のデリケートな時期には特に重要なことです。」
さらにピアソン社はこう付け加えた。「昨年、これらの教科書について独立した審査を依頼し、その審査結果に基づき改訂を行いました。弊社は修正内容を支持しておりますが、今後関係者の皆様とさらに協議を重ねる間、今後の配本を停止することを既に決定いたしました。」
オックスフォード大学のユージン・ローガン教授(現代中東史)は、『インディペンデント』紙にこう語った。「英国の歴史的責任を考えると、(イスラエルとパレスチナの内戦)を公平かつ客観的な方法で教えることが特に重要です」と述べた。
さらにローガン教授はこのように付け加えた。「パレスチナ擁護派に平等に意見を述べる機会を与えず、イスラエル擁護派に教材編集の機会を与えるのは、そのような客観性に背向くことになります。今回の結果は、非常に複雑でデリケートな問題を教える際の公平性に対する信頼を損なうものでしかありません。」