

バッサム・ザーザー ベイルート
アラブニュース・ジャパン独自記事
カルロス・ゴーン氏(65)は日本で腐敗事件と戦っているが、彼がルーツを持つレバノンの街角の男女は、権力者の不正行為に対する不快感で憤っている。
ブラジルに生まれ、フランスでビジネスマンをしていたゴーン氏は、日産、ルノーのCEO在任時の腐敗による訴訟に直面することとなっているが、レバノン国民は政治的エリートに対する反政府デモが4週目に突入した。
これが、ゴーン氏のような堕落した人物を将来の政治的リーダーとして見ることがない理由だ。
アラブニュースは一部のデモ参加者に、将来ゴーン氏がレバノンで政権入りする可能性について聞いた。
ゴーン氏にとって、レバノンのジブラーン・バシール外相と政治的協力関係にあることが国内政治の世界に入るときに大きな障害になるだろうと話す参加者がいた。
建築家のカール・オスタ氏(26)は、「ゴーン氏は日産では『成功者』だったかもしれませんが、今回の事件によってすべてが変わってしまいました。「労働者の権利について話すとしても、彼は自分の会社の労働者とうまくやっていませんでした。彼がレバノンにルーツを持つということを私は誇りに思いません」と語る。
もし日本でゴーン氏に無罪判決が出たとしても、彼に政治家になってもらいたいとは思わないとオスタ氏は感じている。「日本で失ったものをレバノンの人たちから取り戻そうとする」に違いないと思うからだ。
レバノン人シェフ、アリ・ダヘル氏(27)は言う。「私が知っているのは、彼が有名な自動車会社で管理職のトップにいたということだけです。彼が政治家として成功するかどうか判断するための政治課題を表明したことが、彼にはありません。彼が政治的ビジョンを持っているかどうか、私にはわかりません」
ハナディ・ゲルジェス氏(29)は、自由愛国運動を率いておりミシェル・アウン大統領の義理の息子であるバシール外相とゴーン氏は関係を持っているため、不人気な選択肢となるだろうと語る。
「日本で訴追プロセスに入る前には、ゴーン氏はとても成功しているビジネスマンとして知られていました。ゴーン氏の勾留後、レバノンで最も嫌われている政治家(バシール外相)がゴーン氏を支援し、彼を保釈させようとして介入しました」と大学院生のゲルジェス氏は付け加えた。
元写真家のナワル・マロウン氏(64)は、現政権の腐敗を終わらせることを求めて、初日からレバノンでの抗議活動に参加している。「ゴーン氏は莫大な富を築き上げました。日本で欲望に突き動かされて金儲けを続け、そして訴訟に直面することになりました。無罪判決を受けたとしても、彼は変わらないと私は思います」
主婦のサバ・バグド氏は、腐敗に関わった人はすべて裁きを受けるべきだと強く信じているため、デモに参加したと語る。
「私はゴーン氏については、最近横領と腐敗の罪で逮捕され裁判中であること以外はあまり知りません。誰でも間違いを犯すものですが、間違いの重大さには差があります。彼がレバノンの政治家になっても、私は彼を信頼しません」とバグド氏は語った。
元ビジネスマンのサム・バロウト氏(65)は、ゴーン氏にはレバノンの政界に入らないでほしいと語る。「日産の元CEOは、非常に成功したビジネスマンであることを証明しましたが、バシール外相と関係したことで信頼を失いました」と語る。
「日本の裁判官が真実を明らかにしてくれると信じています。私は、信頼できる成功したビジネスマンとしてゴーン氏のことをとても尊敬しています。ただ、政治家と取引するようになり、彼は信用を失いました」
レバノンのエンジニア、アバス・ハモウド氏(27)は、ゴーン氏は政界では失敗すると予想する。「個人レベルではゴーン氏のことを認められるかもしれませんが、彼はレバノンに対して、彼を誇りに思えるようなものは何も提供していません」