
ダウド・クッタブ
アンマン:ユダヤ人グループによる人種差別的な扇動に反発したパレスチナ人の抗議行動が突然激化し、広がりを見せていることから、占領下にあるエルサレムの立場の問題が注目を集めている。
パレスチナのマフムード・アッバース大統領の上級外交顧問であるマジディ・ハリディ氏がアラブニュースに語ったところによると、世界の他のアラブ・イスラム諸国と連絡を取り、エルサレムで行うべき選挙の重要性について公式声明を出すよう呼びかけているとのことだ。
ハリディ氏は「エルサレムの人々を避けて通ることはできない」と述べている。
「今回の出来事によって、東エルサレムが占領地であり、パレスチナ国家の首都であるということが世界に改めて示された。つまり、エルサレムのパレスチナ人が選挙に参加できるようにしなければならないということだ」
国連の中東和平プロセス特別調整官であるトー・ウェネスランド氏は、「すべての暴力行為」を非難し、「誰もが最大限自制し、これ以上の事態の激化を避けるべきだ。特にラマダンという聖なる月と、全体で政治的な緊張が高まっている今はそうすべきである」と呼びかけた。
国連の調整官の声明では、事態の沈静化に向けた努力がなされているとしながらも、アラブ人の死を求める人種差別的な呼びかけを非難することも、エルサレムのパレスチナ人が次期パレスチナ立法府選挙に参加する権利を改めて表明することもなかった。
ヨルダンのアイマン・サファディ副首相兼外相は、イスラエルに「火遊びをしないように」と呼びかけている。
「エルサレムは超えてはならない一線だ」とサファディ副首相は言う。「エルサレムに対するあらゆる試みが火遊びに等しい。イスラエルの占領者は、エルサレム旧市街の人々に対する人種差別的な侵害を止める国際的な義務を負っている」
サファディ氏は、攻撃者たちは「憎しみと人種差別」の象徴だと述べた。
イスラエルのメディアが報じたところによると、テルアビブで行われた国防省上層部の安全保障会議では、イスラエルは事態の激化に備える必要があるが、これは長期間に及び、占領地全体に広がる可能性がある結論に達したとのことだ。安全保障会議の議長を務めたアビブ・コハビ陸軍参謀総長は、緊張が増し、暴力が激化していることを理由に、予定されていた米国への出張をキャンセルしている。
パレスチナ解放機構(PLO)のアラブ部門責任者であるアネス・スウェイダン氏は、エルサレムでの抗議活動は5月22日の選挙にエルサレム人を参加させるよう求める人々の影響力を強めるだろうと考えている。
だが、ファタハの元囚人であるラディ・ジライ氏の意見は違う。ジライ氏は、いずれはパレスチナ人とイスラエル人が平等な権利を持つ単一の国家に合意すると信じているが、アラブニュースの取材に対しては、エルサレムで始まった暴動はアッバース大統領にとってよい知らせにはならないだろうと語る。
ジライ氏は「アッバース大統領は苦境に立たされている」と述べた。「デモ隊を支持していることによって、イスラエルから事態の鎮静化を迫られた場合、苦労することになるだろう」
東エルサレムのニュースサイト「Akhbarelbalad」の発行人であるハリル・アッサリ氏は、アラブニュースに対し、政治家はデモに干渉したり、乗っ取ろうとしたりすべきではないと述べている。
「イスラエルの人種差別に反対するエルサレムの若者や、イスラエルが一方的に課した同市のパレスチナ人による階段の使用禁止に反して、ダマスカス門の階段でタラウィー(礼拝後の祈り)を行うことを求めたエルサレム人たちに任せるべきだ」と、アッサリ氏は語った。
東エルサレムの人権状況に主な関心を寄せるNGO団体イル=アミムのアビブ・タタラスキ氏は、「本当の問題は警察だ」とアラブニュースに語った。
「警察がその気になれば、デモ隊を解散させることも抑えることも簡単だ」とタタラスキ氏は言う。
タタラスキ氏によると、イスラエル警察は過激派グループによるアラブ人の死を求める呼びかけには目をつぶっている一方で、祈りや買い物に来ただけのパレスチナ人、あるいは「アラー・オ・アックバル」と呼びかけながら抗議活動をしているパレスチナ人に残忍な攻撃を加えているという。
タタラスキ氏は「パレスチナ人の本当の力はその数にある」と語った。
「イスラエル警察が正当な理由なくダマスカス門で人々が座ったり集まったりするのを阻止すると決めたとき、その動機は明らかだった」とタタラスキ氏は言う。「警察はパレスチナ人に、この中心的な場所でもイスラエルの気まぐれに屈しなければならないと示したがったのだ」
ここ数日の出来事を目の当たりにしたタタラスキ氏は、パレスチナ人に対する行動が裏目に出たと語った。
ハイファにある国際協議センターの責任者、ワディ・アブ・ナサール氏は、アラブニュースに対し、イスラエルはエルサレムでのパレスチナ人の選挙を認めるつもりも認めないつもりもないと語った。
アブ・ナサール氏は、「ハマスも含めて、誰もイスラエルにエルサレムでのパレスチナ人選挙を認めるよう真剣に迫っていない」と主張する。