
アラブニュース
アンカラ:トルコはイラク北部のモスルにある領事館を再開した。同領事館は、ダーイシュが同市を支配下に置いて以来、過去7年間にわたって閉鎖されていた。
当時、ダーイシュはオズトゥルク・ユルマズ総領事(当時)を含む領事館の職員49人を3か月以上にわたって人質にしていた。
トルコ政府はここ数年、かつてオスマン帝国の一部だった都市モスルに領事館を再開する意向を何度か表明してきた。
トルコは最近、隣国イラクとの関係強化の一環として、駐イラク大使を新たに任命した。また、スレイマン・ソイル内相は、90年代半ばからトルコがクルディスタン地域に保有しているいくつかの前哨基地に加えて、イラク北部のドホーク地方にも軍事基地を設置する計画を発表した。
新しい基地は、非合法組織クルド労働者党(PKK)の活動を制限することを目的としている。ドホークは、同過激派組織の潜伏場所があるカンディル山地に続く戦略的に重要なルート上に位置している。
4月14日、モスル近郊のバシカにあるトルコ軍基地にミサイル1発が命中し、トルコ人兵士1名が死亡した。同日、米主導連合軍が駐留するエルビル国際空港が爆発物を搭載した無人機による攻撃を受けた。
4月下旬、トルコ軍はイラク北部にあるPKK基地に対する新たな攻勢を開始し、トルコのフルシ・アカル国防相がクルディスタン地域にある軍事基地を訪問した。
しかし、この作戦とアカル国防相の訪問は、「当局との調整や事前承認なしに」行われたため、イラク政府の怒りを買った。イラク政府は5月3日、トルコの大使に正式な抗議文を送った。
ワシントンにあるニューラインズ研究所のシニアアナリスト、ニコラス・A・ヘラス氏は、クルディスタン地域南部でのトルコの軍事行動が問題になるのは、イラク政府がトルコ軍のイラクでの活動範囲が拡大し、活発になることに強く反対しているからだと指摘した。
「イラク政府は、モスル周辺地域での対ダーイシュ作戦のために、トルコ政府との情報協力を受け入れるかもしれないが、その協力はイラク政府が指示する条件に基づいて行われる必要があるだろう」とヘラス氏はアラブニュースに語った。
イラク北部におけるトルコの軍事的プレゼンスの拡大が、かねてから噂されていたトルコによるシンジャルでのPKKに対する作戦の開始をどの程度可能にするかは、この地域の地政学的力学を考慮すると、依然として懸念される問題だ。
ヘラス氏によれば、トルコがシンジャルに対して起こすどのような行動も、同地域に人民動員隊(PMF)の大きなプレゼンスがあるため、イラク政府にとっては考慮するに値しない考えだという。
「PMFの多くの組織はイラク政府内で力を持っており、トルコがイラクでの軍事的勢力を拡大しようとするいかなる動きにも断固として反対している」とヘラス氏は述べた。
PMFは、イランが支援するイラクの民兵組織の上部組織で、幹部に地元のPKK民兵を採用している。PMFはイラク北部で活動しており、最近では数々の攻撃で犯行を認めている。
トルコ政府は、シンジャルが第2のカンディル(PKKの拠点)になることを許さないと繰り返し表明している。
2月10日、トルコがイラク・クルディスタン地域のガレ山でPKKに対する軍事行動を行ったことで、トルコがシンジャルでの作戦を計画しているのではないかという懸念が生じ、同地域でイランの支援を受ける組織の存在が脅かされることになった。
イランはトルコのイラクにおける軍事的プレゼンスに強く反対しており、トルコがシンジャルで行う可能性のある作戦を自国の地政学的利益に反するものと見なしているのは周知の事実だ。
イランの支援を受ける民兵組織は、トルコ政府とシンジャル地域を支配するクルディスタン地域政府(KRG)との間で和解が進んでいることを懸念している。両者は、イランの支援を受ける民兵組織とPKKにこの地域からの撤退を促している。
「イランは、トルコ、特に(トルコのレジェップ・タイイップ)エルドアン大統領を、レバント地方での影響力を争うライバルと見ている。イラク、レバノン、シリアでトルコの影響力が拡大しており、イランはそれを制限したいと考えている。イランは、可能な限り、シンジャルの武装勢力のような地元の勢力を配置して、レバント地方での影響力を高めるためにトルコ政府を追い詰めようとするだろう」とヘラス氏は述べた。