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ガザ地区で「不和」に耐えるハマスとイスラム聖戦

土曜日、西岸地区のベイトエル近郊で反イスラエルデモに加わるパレスチナ人少女 (ロイター)
土曜日、西岸地区のベイトエル近郊で反イスラエルデモに加わるパレスチナ人少女 (ロイター)
17 Nov 2019 08:11:38 GMT9
  • ハマスはイスラエル軍との長期的停戦を望んでいる

ハゼム・バルーシャ

ガザ市:ガザ地区では「イスラム聖戦 (Islamic Jihad)」バハ・アブ・アタ司令官の殺害を契機として起きた武力衝突が激化、最終的には停戦が成立したが、司令官殺害に対するハマスの反応を巡りハマスとイスラム聖戦の間に「不和」が生じ、今後の両者の関係が大いに懸念される事態となっている。

今回の件でイスラム聖戦支持勢力の間には怒りが生じている。双方の情報筋によると、イスラエル軍の動きがエスカレートする中で生じたこの不和を政治的・軍事的に解決するため多大な努力が払われている。

イスラム聖戦の新聞「アル = イスティクラル」ハリド・サディク編集長は、司令官殺害という事態にハマスが何の反応も見せなかったことに対しイスラム聖戦の特に若い世代には「怒り」が生じていることを認めた。

サディク氏によると、イスラエルがガザ地区の抵抗勢力の派閥間に分裂を生じさせようと試みた結果派閥間には深刻な分断が生まれ、ハマスはこの分断に惑わされて今回の司令官殺害に対して何の反応も示さないという態度を取るにいたった。

ハマスに近い政治アナリスト  イブラヒム・アル = マドーン氏は今回の武力衝突激化を巡るハマスの姿勢について、ハマスはパレスチナの人々の間に広範で包括的な敵意が生まれるのを避けようとしているのだと説明している。

「全面戦争になれば、国内外の敵対的環境に対して政治的解決がもたらされるという何の保証もないまま多くの人々が住んでいる土地から追い出され、何千という殉教者が生まれ、家々が破壊される。だからハマスは現時点においてイスラエルと全面的に対立するのを避けているのだ」と氏は語った。

ハマスは長期的停戦によって、イスラエルの殺戮行為、爆撃に終止符を打ちガザ地区占領を終わらせることを願っていると氏は述べた。

今回の武力衝突に対するハマスの姿勢について氏は「ハマスはイスラエルとの対決についてイスラム聖戦より多くの要素を考慮し計算している」と語った。

2018年、ガザ地区で活動する武力組織の大部分が参加する合同作戦指令本部が作られ、以来ここで作戦展開の調整が行われている。

イスラム運動の研究者ナセル・アル=スウィア氏は今回の武力衝突激化を巡る情勢は、2つの武装勢力の関係を特徴づけてきた「対立と不一致」の構図を思い出させるものだと語る。

アル=スウィア氏は、ハマスとPIJ (パレスチナイスラム聖戦) の関係は「しっかりした根を持たない脆弱なもの」だとして、イスラム聖戦が合同作戦指令本部から抜けることがあれば「重大な不和」が生じる可能性があると述べた。

氏は抵抗に対するハマスの見方はイスラム聖戦のそれとはまったく違っていると語った。

氏によると、今回の軍事衝突へのイスラム聖戦の参加に対してハマスが距離を取ったことは聖戦側に「大きな衝撃」を引き起こした。それは「イスラム聖戦は単独で戦った」と語ったイスラム聖戦ジアド・アル=ナハラ総長の演説にも如実に表れている。つまり彼は「ハマスは聖戦を見捨てた」と言いたかったのだ。

アル=スウィア氏は、「統治する立場のハマスは抵抗する立場のハマスと同じものではない。パレスチナ自治政府成立後の数年間、抵抗勢力としてのハマスはひるむことなくあらゆる形で抵抗を示し、どんな形であれ占領側との停戦など拒絶していたものだ」と語った。

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