
アラブニュース
ジェッダ:水曜日、炎に包まれたイラン軍艦がオマーン湾の海底に沈み、乗組員400人以上が海に飛び込むことを余儀なくされた。
その何時間後かに、今度はテヘランの製油所で、爆発とともに大規模な火災が発生し、イランの首都であるテヘランの街が厚い黒煙で覆われた。
国営トングーヤン石油化学会社はこれが意図的な破壊工作である可能性を否定したが、この2つの出来事は、イランとイスラエルの間の「影の戦争」ともいえる報復合戦の新たな展開ではないかとの憶測を呼んでいる。
海上船舶への補給や訓練に使われる207メートルの艦艇「ハールク」の火災は、水曜日の未明に発生した。炎と厚い黒煙が空に立ち昇る中、訓練生と乗組員はライフジャケットを着けて海に飛び込んだ。
艦艇は、テヘランから約1270キロ南東、オマーン湾のホルムズ海峡に近いジャスク港付近で沈没した。
ハールクは、海軍上層部が今年1月に石油タンカー「マクラン」を移動ヘリポートとして使えるように改造するまで、イラン最大の海軍艦艇であった。
しかしマクランは、海上船舶に燃料や物資を補給できるハールクほどの有用さは持ち合わせていないと、米国の海軍分析センターのマイク・コネル氏は述べた。
「正規イラン海軍にとってこの艦艇は、長距離を網羅できるという点で非常に貴重でした」とコネル氏は述べた。「遠く離れた場所での作戦の実行が可能になるからです。補充艦艇は他にもありますが、ハールクは、その能力も規模も最大でした」
今回の沈没は、イラン海軍にとって最新の海難事故となる。2020年には軍事演習中に、ジャスク港付近の海軍艦艇をミサイルが誤射し、乗組員19人が死亡、15人が負傷した。2018年には、イラン海軍駆逐艦がカスピ海で沈没した。
イラン当局は、ハールクの火災について何ら説明をしていないが、今回の件は、オマーン湾で商船を標的として2019年に始まった一連の爆発事件の流れを汲んでいる。
4月には、イスラム革命防衛隊の基地として使われていたMVサヴィスが、紅海のイエメン沖に停泊中、イスラエルによるものと思われる攻撃を受けた。
イランとイスラエルの間の「影の戦争」は、シリアでの攻撃や、船舶への攻撃、イラン核プログラムの攻撃など、多岐にわたる。
水曜夜に火災が発生したテヘラン近郊の製油所は、1968年から稼働しており、生産能力は日量25万バレルで、テヘラン精油会社が所有している。
「今回の事故は技術的な問題によるもので、我々は現在、消火活動に当たっている」と報道官は述べた。