
ワシントン:米国国務省は10日、イラクにある米関連施設への攻撃に関する情報に「正義への報酬プログラム」から300万ドルを提供すると発表した。
この発表は、米軍部隊が駐留しているバグダッドの空港が爆発物を搭載した3機のドローンの攻撃を受けた翌日に行われた。
「誠実なイラクの人々よ、卑怯なテロリストはイラクの米国外交団に攻撃をしかけ、その後、市民の間に紛れて逃走を続けている」とツイッターの「正義への報酬プログラム」アカウントはアラビア語の声明を投稿した。
声明では「米国は米国の外交・軍事施設に対する攻撃計画や過去の攻撃に関する情報に最大で300万ドルの報酬を提供する」という告知が動画とともに投稿されている。
投稿には米国の電話番号が掲載されているほか、メッセージアプリのWhatsapp、Telegram、Signalでも情報を受け付けることが記載されている。
2019年10月以降、イラクにある米国関連施設はロケット弾などの攻撃を繰り返し受けており、それに対して米国側が親イラン派勢力を非難することが常態化している。
今年に入ってから、バグダッドの米大使館のほか、米軍やイラク後方支援部隊が駐留するイラク基地など米国関連施設が攻撃を受けた回数は42回にも及ぶ。
9日に行われた最近の攻撃では爆発物を搭載した3機のドローンが使用されたと、10日にイラク軍が明らかにした。
イラク軍によれば、3機のドローンのうちの1機は9日夜に空軍により迎撃された。今回のようなドローンによる攻撃は、2か月足らずの間で4回目となる。
専門家は、複数回に渡るドローンの使用は親イラン派勢力による米国への攻撃が激化していることを示しているとみている。
ドローンを用いた攻撃手法はイエメンのフーシ派によるサウジアラビアへの攻撃に類似している。
9日の攻撃は、アラブ世界で2番目の人口を誇るバグダッドを標的とした最初のドローン攻撃となる。
9日には北方のバラドにある米国の民間請負業者が駐留する空軍基地にも5発のロケット弾が落下したと、治安当局筋が明らかにした。
治安当局筋は、この攻撃による死傷者や損害は出ていないとしている。
バラド空軍基地は何度も攻撃の標的となっていることから、米軍需企業、ロッキード・マーティンはスタッフの安全上の懸念を理由に、先月、バラド基地から撤退した。
9日の攻撃を行った親イラン派勢力は、カシム・ミュズレー司令官が解放されたことを受けて、民兵組織の連合体「人民動員隊(Hashed Al-Shaabi)」の新たな勝利だと述べて祝った。
ミュズレー司令官は5月に、民主活動家のエハブ・アル=ワズニ氏の殺害を命じた容疑で警察当局に逮捕された。エハブ・アル=ワズニ氏は5月にバイクに乗った複数の男たちに銃撃されて亡くなった。
イラク当局はロケット弾や爆発物搭載ドローンによるテロ攻撃を行う「ならず者たち」をくり返し非難しているが、攻撃の背後にいる者の特定に苦慮している。
AFP