
エルサレム:12年間首相の座にあるベンジャミン・ネタニヤフ氏を退任させるため、イスラエルで新政権が発足する。11日に野党各党が最終連立合意を結んだが、合意内容にはあえて首相任期の期限が盛り込まれた。
極右から左翼までを含む野党連合政権は、主に社会経済問題に重点的に取り組むとみられる。イスラエルとパレスチナ間の紛争といった大きな外交問題に深入りして、イスラエル内部の亀裂を露呈するリスクは冒さないものと予想される。
イスラエル史上最も長く首相を務めたネタニヤフ氏は、13日に退任し、少数派アラブ系政党が初めて参加する連立政権が後を引き継ぐこととなる。
権力分担協定の下、極右政党「ヤミナ(右向き)」のナフタリ・ベネット党首が2年間首相を務める。
ベネット党首は11日、連立政権発足により「2年半に及んだ政治危機に終止符が打たれる」と述べたが、政治思想に全く共通点のない各党から成る連立政権がどの程度長続きするかは不透明な状況だ。
ベネット氏が任期を終えると、中道政党「イエシュ・アティド(未来がある)」のヤイル・ラピド党首が引き継ぐ。
ラピド氏が「統一政権」と呼ぶ野党連合が合意した政策には以下のようなものがある。
イスラエル政治の頂点で四半世紀を過ごし、支持者から「イスラエル王」と呼ばれる71歳のネタニヤフ氏が、おとなしく引退して海辺の町カイザリアにある私邸にこもると予想する人はいない。
議会で最大の議席を占める野党の党首として、ネタニヤフ氏は新政権を退陣に追い込むためあらゆる手を尽くすものと予想されている。
重大な汚職容疑を抱え有罪判決を回避したいネタニヤフ氏にとり最も望ましいシナリオとは、首相として敵対勢力と戦うことだ。政権の座を取り戻せば免責を受ける可能性も見えてくる。しかしネタニヤフ氏の横暴な姿勢がゆえに、敵対勢力が団結を強める可能性もある。
ロイター/AP