
ウィーン:イランで強硬派の新大統領が選出され、両サイドが一旦休止を発表した後、欧米の政府関係者らは日曜日にイランに対し、核合意復帰交渉は際限なく続けることができるものではないと警告した。
交渉は4月からウィーンで進められており、2018年に当時のドナルド・トランプ政権下で米国が離脱し、その後にイランが違反した核合意協定について、イランと米国の両国を合意協定に復帰させる方法について話し合いがされてきた。
歴史的な低投票率であることが判明した金曜日の大統領選で、欧米を激しく批判する強硬派のエブラヒム・ライシ氏が得票率62%で当選した後、日曜日に交渉は一旦休止となった。
ライシ氏は、国際的な制裁解除と引き換えに核開発計画を縮小する合意を締結したハッサン・ロウハニ大統領の後任として、8月初旬に就任する。
イランと欧米の政府関係者らはいずれも、ライシ氏の就任でイランの交渉姿勢が変わることはないだろうとしている。すべての主要政策に関して、すでにアヤトラ・アリ・ハメネイ師が決定権を持つからだ。
欧米諸国は、イランが合意に違反し、禁止核物質の生産を長く続ければ続けるほど、核合意協定への復帰は難しくなると述べている。
イランと列強6ヵ国とで締結された2015年核合意協定への復帰交渉は、無制限に続けられるものではなく、早急に決定が下される必要があると、フランス、ドイツ、英国の欧州3ヵ国高官らが日曜日に述べた。
「我々は前進を続けているが、解決すべき非常に難しい問題がまだ残っている。これまでにも述べたように、いずれの側にも時間はない。こうした交渉は無制限というわけにはいかない」と高官らは述べた。
「各国の派遣団は現在、自国に問題を持ち帰って首脳陣と相談することになっている。我々は、すべての当事者がウィーンに復帰して合意締結への準備を整えることを強く要請する。決断の時は刻々と近づいている」
米国のジェイク・サリバン安保担当大統領補佐官もこれらのコメントに同意し、制裁措置や、核開発関連でイランが果たすべき義務についてなど、依然として「合意への道のりは遠い」とABCニュース放送局に語った。
日曜日にイスラエル新首相のナフタリ・ベネット氏が、ライシ政権は「非情な死刑執行人政権」になるだろうと述べ、世界の列強国はこうした政権と新たな核合意を交渉すべきではないとした。
ベネット氏は、第1回目の閣僚会議の冒頭でライシ氏を非難し、世界列強国に対して、イランとの核合意復帰への危険性に「目を覚ますべき」と呼びかけた。
ベネット氏は、アヤトラ・アリ・ハメネイ師は国家の次期大統領に、何千もの無実のイラン国民を長年にわたって処刑してきたイラン国内でも世界でも「死の組織」の長官として悪名高い、「テヘランの死刑執行人」を選出したのだと述べた。
ライシ氏の当選は、「世界の列強国が核合意に復帰する前に目を覚まし、自分たちがどのような人物と取引しているのかを理解する最後の機会だ。彼らは殺人者、それも大量殺人者なのだ」とベネット氏は述べた。
AP/ロイター