Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

アラブ諸国、安保理にイスラエルに停戦決議を遵守させるよう指示

サウジアラビアの国連常駐代表であり、4月のアラブ諸国議長を務めるアブドルアジーズ・アル・ワシル氏は、国連憲章第7章の発動を呼びかけた。(スクリーンショット/UNTV)
サウジアラビアの国連常駐代表であり、4月のアラブ諸国議長を務めるアブドルアジーズ・アル・ワシル氏は、国連憲章第7章の発動を呼びかけた。(スクリーンショット/UNTV)
Short Url:
06 Apr 2024 08:04:35 GMT9
06 Apr 2024 08:04:35 GMT9
  • サウジアラビア特使、「ワールド・セントラル・キッチン」の職員らの殺害は、イスラエルがガザで行っている「大量虐殺のさらなる証拠」だと発言
  • セーブ・ザ・チルドレン代表、「ガザで次に起こる子どもの大量死は、銃弾や爆弾によるものではなく、飢餓と栄養失調によるものだ」と警告

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:国連でアラブ諸国は金曜、安全保障理事会に対し、ラマダン期間中ガザにおけるイスラエルの即時停戦を実施させ、人道支援活動家が自由に援助物資を配布できるよう、そして迫り来る飢饉を防ぐため、国連憲章第7章を発動するよう求めた。

同理事会は最近、イスラム教の聖なる月に停戦を求める決議を採択した。これは、イスラエル当局が人道支援活動家に対する制限を解除し、飢餓に苦しむ住民に対し援助物資の提供を許可するよう求めた、別の2つの決議に続くものである。

安保理の決議は、国際法による法的拘束力がある。国連憲章第7章は、安全保障理事会に、決議が確実に履行され、「国際社会の平和と安全を回復する 」ために、軍事行動や制裁などの非軍事的措置を命じる権限を与えている。

サウジアラビアの国連常駐代表で、4月のアラブ諸国議長を務めるアブドルアジーズ・アル・ワシル氏は「アラブ諸国は本理事会に対し、国連憲章第7章に基づき、占領国イスラエルが停戦決議を遵守し、人道援助へのアクセスを提供し、パレスチナ人に対する邪悪な侵略に終止符を打ち、彼らを保護するための決議を採択するよう求める」と述べた。

これはアルジェリアが、ガザにおける飢饉の危険性と、イスラエル軍による人道支援活動家への攻撃について討議する為、ガイアナ、スイス、スロベニアの支持を得て招集した安全保障理事会の緊急会議での発言である。

月曜ガザ中心部で、食糧支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」の職員7名が、同団体のロゴが明確に表示されていた3台の車両をイスラエル軍に空爆され、死亡した。

アル・ワシル氏は、この「戦争犯罪」を「断固とした言葉」で非難し、イスラエル当局にその責任を問うよう求め「全世界がこの攻撃に衝撃を受けた。この事件は、イスラエルの占領政権が人道支援活動家に対して行った暴力の、さらなる証拠であることに疑いの余地はない。人道支援活動家の犠牲者の総数は、国際社会としてもはや黙っていられない数値に達している。これは、国際的なルールや慣習、憲章に違反する危険な前例となる」と述べた。

また、殺害された職員らは、「イスラエル占領軍が検問所を封鎖し、食料、水、医薬品、燃料の搬入を阻止し続ける為、飢餓に陥り、死の危険に直面している罪のない人々を援助するために犠牲になった。パレスチナ人は、食料支援を手に入れようとしているところを標的にされている。飢餓が、戦争の道具として使われている」と続けた。

「この大虐殺は、イスラエル占領政府がガザでの軍事作戦において追求している、大量虐殺のさらなる忌まわしい証拠である」とし、同氏は国際的な調査を求めた、

セーブ・ザ・チルドレンの、ジャンティ・ソエリプト会長は評議会でこう語った。「今ここで、10月7日以降に亡くなった、イスラエルとパレスチナの子どもたちの名前と年齢をすべて読みあげるとしたら、18時間以上かかるでしょう」

同会長は「過去6ヶ月の戦争で14,000人の子供たちが殺害され、さらに何千人もの子供たちが行方不明になり、死亡したと推定され、瓦礫の下に埋もれている。ガザでは今、子どもたちが栄養失調と脱水症状で死んでいるのです。違法な封鎖によって食べ物や水を与えられず、餓死しているのです」と述べた。

さらに、5歳未満の35万人の子供たちが飢餓の危険にさらされていると述べ、「世界は人為的な飢餓を目撃しています。北部の飢餓は特に深刻で、家畜の餌や木の葉を食べるようになりました。もしこのまま、すべての紛争当事者が戦争と国際人道法のルールに明白に違反し、説明責任を果たさず、強国が現状を無視するような状況が続けば、ガザで次に起こる子どもたちの大量死は、銃弾や爆弾によるものではなく、飢餓と栄養失調によるものです」と警告した。

すべての人道支援者を代表して、同会長は理事会に対し、「民間人の保護が優先されるようなふりをするのはやめましょう。問題は山積みです。民間人の命も、子どもたちの命も、そして人道支援者の命も、人命は優先されてません。調査だけでは十分ではない。行動と変革が必要であり、今まさにそれが必要なのです」と続けた。

同氏は理事国に対し、「紛争当事者に決議を遵守させる強固な措置を含む、恒久的な停戦決議」を可決するよう求めた。また、加盟国に対し、紛争当事者に武器を売ることで「この危機を煽るのをやめる」よう求めた。

スロベニアの国連常任代表、サミュエル・ジュボガール氏は、安全保障理事会の15カ国の理事国に対し、次のように述べた「ガザでは飢饉が始まっている。今日、ガザの北部で会合が開かれているとしたら、15名全員が数ヶ月まともに食事していないことになる。うち10名は、昼も夜も食事をとらずに過ごし、半数は、食料支援を切実に必要としているだろう。そして少なくとも5名が重度の急性栄養失調児の親ということになる」

ガザでは飢餓が戦争の道具として使われている、と同氏は警告する。

「飢饉の宣言を待っても、現場は何も変わらない。この危機を乗り越えるには、即刻停戦することしかない。安全で、栄養価が高く、十分な食料、水、医薬品を提供するために、特に陸路で、安全で、確実で、妨げられない人道回廊を確保し、民間人に適切な避難所を提供しなければならない」

ガイアナの特使、キャロライン・ロドリゲス=バーケット氏は、最近採択された決議2728に含まれるラマダン停戦決議が、人道状況が悪化する一方で「完全に無視されている」ことを嘆いた。

「この紛争では、国連機関を含む人道支援要員や機関への無差別攻撃がみられるようになった。パレスチナ人に対する集団的懲罰戦略には、飢餓、飢饉が戦争の道具として使われ、苦しむ民間人を支援する職員らへの野蛮な攻撃、そして援助物資を求めるパレスチナ人を標的に攻撃した」と特使は続けた。

特に人気
オススメ

return to top