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世界経済への多国間協力の恩恵

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24 Nov 2020 08:11:41 GMT9
コーネリア・メイヤー
24 Nov 2020 08:11:41 GMT9

国際協力、それも多国間アプローチの必要性があるとしたら、それはまさに今この時だ。コロナウィルス(COVID-19)の大流行が世界中の生命と生活を脅かし、世界経済に12兆ドルの損失を与えた後のこの時だ。

そのためには、G20サミットは重要なものだった。G20は経済の筋肉のようなものであり、実質的な影響力があるからだ。世界でも最大級の経済力を持つ国で構成され、世界のGDPの90%(EU内の貿易を除けば同75%)と、人口の3分の2を占めている。

サウジアラビアはアラブ圏唯一の加盟国で、イスラム教徒が多数を占めるたった3か国の中の一つだ。議長国を務めたことは、強国の中でのサウジアラビアの地位にとって分岐点となるものだった。そして、同国はリーダーとなれる力を証明した。

今年のできごとは世界を第二次世界大戦以来最大の景気後退に放り込んだ。会議はバーチャルで行うことを余儀なくされ、さらに複雑なものとなった。首脳とシェルパたちは、会合のはざまでコーヒーを飲みながら二国間で会話をできなくなったからだ。こういった非公式の会話は、アイデアをすり合わせ、コンセンサスにたどり着く大事な手段なのだ。

それでもサミットは目に見える結果を生み、20の全参加国の合意によるコミュニケが出された。このような会合では必ずしも保証できないことだ。

主要な議題は、パンデミックとワクチン、パンデミックによる経済の下降、債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)の3つだったが、持続可能性と気候変動もこれに加わった。

各国首脳は「技術革新のためのインセンティブ提供にコミットするのと合わせ、(ワクチンが)手の届く価格で公平に人々に行きわたるために努力を惜しまない」ことを誓約した。これは重要なことだ。パンデミックの人的大損害とは別に、世界経済はウィルスの拡散が世界中で止められない限り通常レベルに回復しないからだ。

表明された意思は立派なものだが、2021年には、COVID-19と戦うために世界で240億ドルの拠出が必要だ。今までに世界の主要国が、ファイザー/ビオンテックとモデルナのワクチンのほとんどを買い占めている。真剣に言葉通りに実行する気があるなら、この先、分け合っていかねばならない。

経済に関する成果はそこまで単純ではなかった。各国首脳は協力の必要性を強調したものの、諸々の景気刺激策については、全面的に参加各国の権限に任せた。DSSIに関しては、G20は既に3月に成功を見ており、73か国に利子と原本の支払いを猶予する選択肢を与えている。今までに46か国がこのプログラムを利用しており、11月半ばには、期限が2021年6月まで延長されている。

リヤドでのバーチャルG20サミットは、多国間協力の証となるものだった。。また、世界的舞台でのサウジ王国のリーダーシップ能力を見せる場ともなった。

コーネリア・マイヤー

DSSIは重要だ。特にパリクラブの二国間債権者にも適用されることにおいてである。

しかし、民間分野の債務には適用されないのが問題だ。多くの国が民間金融機関からの多額の債務を抱えており、それら金融機関は、G20がはっきり要請したにもかかわらず、今のところDSSIに参加していないからだ。中国は国策銀行を民間分野に入れており、特に懸念材料だ。そういった銀行が世界中の発展途上国に対し、莫大な債権を有しているのだ。

理想的な世界的リーダーなら、IMFのSDR(特別引出権)準備資産を1兆ドルに拡大することに賛成しただろう。アメリカはこの提案にずっと拒否権を発動してきた。多国間会議は可能性の技術であり、誰もすべての望みをかなえることはできない。SDRの発行はテーブルに上がったままであり、十中八九実を結ぶことだろう。

サミットは目前のパンデミックにとどまらず、未来を左右する重大な話題にも目を向けた。持続可能性である。「地球を守る」と題したサイドイベントで、各国首脳はサルマン国王とともに気候変動と持続可能性について議論した。アメリカの干渉はあったが、気候変動に関するパリ協定の重要性に広くコンセンサスが得られ、全首脳が気候の正常化に向け努力することを確約した。全員が自国のゴールと、どうやってそれぞれのやり方でそれを達成するつもりかを表明した。サウジの方法論は特に興味深いものであった。同国は、持続可能性を達成しつつ、世界のエネルギー供給の信頼性、価格、入手可能性の維持を皆に保証することの重要性を、誰よりも知っているからである。その観点で、炭素の削減、再利用、リサイクル、さらには除去をめざす炭素循環経済について、広く議論され、コミュニケでも支持された。

首脳宣言には財政構造の安定性についても盛り込まれ、多国籍企業への国際課税への合意と多国間貿易システムへの支持が表明された。世界貿易機関の改革に向けたサウジの提案も特記された。

G20と多国間メカニズムについてどう考えようと、ワクチンでの国際協力や、景気刺激策での協調や、DSSIや、気候変動対策での協力が無かったら、世界はもっとひどいことになっていただろうことは明らかだ。リヤドでのバーチャルG20サミットは、多国間協力の証となるものだった。また、サウジ王国の国際舞台でのリーダーシップ能力を見せる場ともなった。

  • コーネリア・マイヤーは投資銀行と産業界で30年の経験を有する博士レベルのエコノミストで、コンサルタント会社マイヤーリソーシズの会長兼CEOである。ツイッター:@MeyerResources
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