• アウン司令官は、軍は人々と同様に「苦しみ、もがいている」と述べた

ナジア・ホウサリ

ベイルート：レバノンの軍隊は木曜に、資金を得るために軍のヘリコプターでの観光飛行を始めることを発表した。

世界銀行が「おそらく1850年代以降の世界で最悪のもののひとつ」と表現したレバノンで続く経済危機によって大きな打撃を受けたレバノン軍は、兵士たちに生活できるだけの支払いをするために必死だ。

フランスは先日、レバノンの軍隊への援助を呼びかけるためにオンライン国際会議を開いた。

しかし、レバノン政府が本当の改革を成し遂げるのを待つ状況にあって、国際社会の大部分はレバノンへのあらゆる援助を控えてきた。

レバノン・ポンドが大暴落し、ドルに対する価値が95％以上減ったため、兵士らの給与は経済危機が始まる前の約800ドルから100ドル足らずまで大幅に減少している。昨年、軍の司令部は緊縮財政の一環として、勤務中の兵士の食事から肉を排除した。

アメリカのグローバル・ファイヤーパワーのウェブサイトによると、レバノン軍は世界の強力な139の軍隊の中で116番目にランキングされており、動員可能な総兵力は75,000人で、うち20,000人は準軍事部隊とされている。国防省の予算は、公式ウェブサイトの2021年の数字によれば23億ドルとなっている。

軍が新たに開始した、一般市民に「レバノンを上空から見る」機会を提供するヘリコプター・フライトは、消火活動と治療が必要な兵士の輸送に使用されるロビンソン R44 レイブン ヘリコプターのメンテナンス費用だけでもまかなおうという努力のひとつだ。1回の飛行は15分間、費用は150ドルで、3人まで搭乗可能。支払いは現金でなくてはならない。

軍の関係者はアラブニュースに対して以下のように語った。「軍はこれまでこのような施策を講じたことはない。この取り組みによる経済的利益は、国の破滅的な経済危機の真っただ中にある軍の需要を満たすことはまず不可能で、必要な資金の2％しか得られる見込みがない。しかし、ドルで料金が支払われるということに利点がある」

軍は既に所有するスイミングプールを特定の職業の市民に開放している。プールの入場料は、レバノン沿岸のプライベートプールやリゾートよりかなり安く、プライベートプールが最低でも100,000ポンドはかかるのに対し、平日は40,000ポンド（26.5ドル）、週末は60,000ポンドとなっている。

ベイルートの軍用プールで働く人は「週末の間は空席がひとつもありません。時には3,000人ほどが訪れ、これは前例のない数字です」と語った。

軍の関係者はアラブニュースに対し、「我々は倹約に努め、どんな手段を使ってでも利益を得ようと努力している」と述べ、レバノン全土におよぶとてつもない価格高騰が「我々の足かせとなり、幹部やその家族、訪問者、入場を許可された市民に向けてのこういった種類のレクリエーション活動をかろうじて行えるだけの資源しかない」と付け加えた。

金曜にレバノン軍のジョセフ・アウン司令官が訪れたトリポリでは、危機に瀕する国における生活状態に対して人々が抗議を行う中で、ここ数日間にわたって暴力行為が発生している。街の通りで鎮静化を試みる兵士らに対して石や家具が投げつけられた。

アウン司令官は、軍は「安定性を保証するもので、レバノンとその国民および領土を守ることに全力を注ぎ続ける」と述べた。

「何によっても、そして誰によっても、軍が市民と対立することはないが、我々はレバノンの街や地域の安全をおびやかす者を許すつもりはない」と彼は述べている。

「経済的な状況はレバノン国民にとって非常に深刻になっており、それは軍にとっても同様だ。この危機的で困難な時期において誇りを持って完遂すべき多くの任務がある中で、他の皆さんと同じように、あるいはそれ以上に苦しみ、もがいている」