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マロン派総大司教:次期首相に「政権を樹立しなければレバノンは死ぬ」

レバノンのキリスト教マロン派のビシャーラ・ブトルス・アッ・ラーイー総大司教は7日、首相に指名されているサアド・ハリーリ氏に政権樹立を急ぐよう促した。(ロイター/資料写真)
レバノンのキリスト教マロン派のビシャーラ・ブトルス・アッ・ラーイー総大司教は7日、首相に指名されているサアド・ハリーリ氏に政権樹立を急ぐよう促した。(ロイター/資料写真)
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08 Jul 2021 03:07:12 GMT9
08 Jul 2021 03:07:12 GMT9
  • アッ・ラーイー氏はバチカンでレバノンに祈りを捧げるフランシス法王主催の集会に参加していたが、帰国後に声明を出した。

ナジア・フッサーリ

ベイルート:レバノンのキリスト教マロン派のビシャーラ・ブトルス・アッ・ラーイー総大司教は7日、首相に指名されているサード・ハリリ氏に対し、「憲法の精神にのっとり」、ミシェル・アウン大統領と協力して政権樹立を急ぐよう促した。

総大司教はバチカンでレバノンに祈りを捧げるフランシス法王主催の集会に参加していたが、帰国後にそうした声明を出した。

アウン大統領と面会後、総大司教はレバノンで悪化する危機の原因が「政府の不在にある」とし、「それが経済を崩壊させ、失業率を上げ、企業の閉鎖につながっている」と述べた。

そして行政府がなければ国は死ぬ、と警鐘を鳴らした。

アッ・ラーイー氏は先週バチカンにおいて、「レバノンの現状には大統領も含めた全員が責任を負っている」と述べていた。

7日、総大司教は大統領府において「全員が憲法に違反している」との主張を繰り返した。

ハリーリ氏は2日前、国民議会のナビハ・ベリ議長と面会した。議長は24人の閣僚での政権発足を試みた。しかし、大統領が政府の決定に拒否権を発動できるよう、閣僚の3分の1を指名したいと強く要求し、組閣は暗礁に乗り上げた。

時を同じくして、ハリーリ氏が、9か月前に大統領と議会から託された政権発足を諦める方向との報道が7日にあった。

French initiativeによると、当時、ハリリ氏は18人で構成される実務型内閣を発足し、経済・財政・行政改革に乗り出すと約束した。

アラブニュースは7日、政治空白を避けるため、ハリーリ氏の後任を選ぶ動きが見られるとの情報をキャッチした。

しかしながら、元首相など、候補に上がっている人物は、対立を繰り返してきた過去を踏まえ、後任となることを拒否している。 

Democratic Gatheringに所属するビラル・アブドゥラ議員はアラブニュースに次のように語っている。「ハリーリ氏が任務を終えるつもりとの話を蒸し返すことは、レバノン国民や国の経済にとって致命的です。医薬品や移動手段、食べ物を確保しようとしている市民にとって、さらなる屈辱となります。私たちに必要なのは障害や高い要求のない状態で政府を発足させるための真剣なプロセスであり、現在、大統領と次期首相がそうしたことに取り組んでいるのです」

政権発足を促すアッ・ラーイー氏の動きはハリーリ氏を辞任に追い込むだけだ、とアブドゥラ議員は言う。

そして「総大司教は両陣営の調停の最前線に乗り出して失敗した人物です。彼は部外者です。障害をなくす努力をすべきで、片方の陣営に政権樹立を急ぐような要求をするべきではありません」と続けた。

「もしハリーリ氏が辞任すれば悪影響が出るでしょう。特に、野党に入ることを選択した場合には影響が大きくなります」

アブドゥラ議員はさらに、ハリーリ氏の後任が誰であれ失敗する運命にあり、「私たちは和解に集中すべきなのです」と述べた。

アッ・ラーイー氏はレバノン国民に立ち直る力と忍耐を求め、「暗闇の後には光がある」と語った。

しかしながら7日の夜明けとともに、レバノンにはさらに厳しい実情が突きつけられた。

Tariq El-Jdidehにあるモスクのイマームであるシェイク・ハッサン・メルヘブ師が、酸素吸入器の傍らで祈りを捧げている男性の写真を投稿したのだ。

メルヘブ師はこうコメントしている。「この男性は家に電気が来ていないため、発電機でつくった電気を使うために明け方、モスクにやって来ました。こんな状況をもたらした全ての者に罰を」

政府の補助金が多くの物品から徐々に引き上げられ、燃料や医療品が不足してきている。すでに苦境に喘ぐレバノン国民はさらに追い打ちをかけられている形だ。

Lebanese Order of Physiciansのシャラフ・アボウ・シャラフ代表はこう語る。「レバノンの子供たちにワクチンが不足し始めました。若い世代に深刻な脅威がもたらされています」

一方、トリポリで起こったデモの参加者が医薬品の倉庫を襲撃し、「薬局では手に入らない薬が大量に」見つかったと報告している。

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