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レバノン危機の根源は国内にあり、解決策も国内にあると専門家が指摘

危機への適切な対応があれば、私たちは(こうした)課題に立ち向かうことができる、とクマール・ジャ氏は述べた。(AP)
危機への適切な対応があれば、私たちは(こうした)課題に立ち向かうことができる、とクマール・ジャ氏は述べた。(AP)
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09 Jul 2021 04:07:10 GMT9
09 Jul 2021 04:07:10 GMT9
  • 国際的な支援が変化をもたらすことができるかどうかは、最終的にはレバノンの人々がその機会をつかむかどうかにかかっている、と国連の特別調整官は警告した。
  • 改革は必要不可欠だが、電力部門における乗数効果が最も大きく、最初に取り組むべきだと世界銀行の地域ディレクターは述べた。

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:レバノンの経済・金融危機の深刻さは、「政策立案に責任を持つ人たちが何の行動も起こさなかった」ことに起因していると、世界銀行マシュレク部門の地域ディレクターを務めるクマール・ジャ氏は述べた。

世界銀行は6月に『レバノンの衰退:トップ3へ』と題した報告書を発表した。同報告書はレバノン危機について、1850年以降で最も深刻な世界危機の「10位以内、場合によっては3位以内に入る可能性がある」と位置付けている。

「危機は多くの国に影響を与えますが、危機の緩和、防止、準備、そして経済を前進させるという点で適切な対応がなされれば、私たちは(そのような)課題に立ち向かうことができます」とジャ氏は述べた。さらにジャ氏は、レバノンでは、「ガバナンスが全く欠如しており、あらゆる分野で汚職が蔓延している」と嘆いた。

同氏は、持続可能な開発目標(SDGs)の実施状況に関する国連のハイレベル政治フォーラムで講演を行った。2030年までの達成を目指し、2015年に国連が定めた17の世界目標は、「すべての人にとってより良い、より持続可能な未来を実現するための青写真」として策定された。

平和や、正義、包摂的な制度の構築に関するSDG目標16についての議論の中でジャ氏は、世界銀行が7ヶ月以上前にレバノンの経済不況を警告したが、「それ以来、ほとんど何の反応もなく、結果的にレバノンの状況が悪化するのを見続けることになる」と述べた。

ジャ氏はこのように付け加えた。「レバノンの状況は、純粋に自ら招いた事態であり、人災です。」

レバノンが抱える危機の中でも、ジャ氏は特に「非常に深刻な教育の危機」を強調した。

ジャ氏は、国際的な評価テストに参加したレバノンの子どもたちの成績が、「まったく良くない」と述べた。「レバノンが上位だった時に比べて、今はアラブ地域の中でもかなり底辺に位置しています。」

この危機の人的側面は、極度の貧困、失業、窮乏によってさらに悪化している。ジャ氏は「レバノンにおいて、このような極度の貧困は見たことがありません」と加えた。

レバノンは、金融・経済の崩壊に加え、新型コロナウイルスの感染流行による影響に苦悩しているだけでなく、未だ昨年8月4日にベイルートの港で発生した壊滅的な爆発事故の影響下にあるなど、複数の危機に直面している。

200人以上の死亡し、6,000人以上が負傷、そして多くの人々が住居を失い、最大で45億ドルの損害を被った爆発事故から1年近くが経過し、国連と世界銀行の専門家は、レバノンの今後の展望について議論した。

国連レバノン担当特別調整官のジョアンナ・ヴロネッカ氏は、2013年の「レバノン国際支援グループ」の設立から、国連、EU、世界銀行と協力して進行中である「レバノン危機対応計画」に至るまで、現在レバノンに提供されている国際的な支援について強調した。

しかし、国際的な支援が変化をもたらすことができるかどうかは、最終的にはレバノンの人々がその機会をつかむかどうかにかかっている、とヴロネッカ氏は述べた。

ヴロネッカ氏は、「友人がいるときは、そのチャンスを無駄にしてはいけません」と語った。同氏はレバノン当局に対し、構造改革を直ちに実施するよう求め、「新政府を樹立すべきですが、レバノン国民を最優先に考えることが、最も優先されるべき事項です」と繰り返し強調した。

また、病人や高齢者、子どもなど社会的弱者を保護することも重要な課題である、と加えた。

司会を務めたレバノンの新聞『デイリースター』の編集長ナディム・ラドキ氏は、「長期にわたるレバノン内戦の時でさえも、現在のような失望感や絶望感はなかった」と語った。

レバノンの将来について、説明責任の文化を盛り込んだ「包括的」な新たな展望があれば、レバノンの人々に対し新たな希望を与えることができるだろう、とヴロネッカ氏は示唆した。

具体的な改革について、ジャ氏は「改革案の長いリストを作成して、一度にすべての改革が実行されることを期待するのは不公平です」と述べた。

「すべてが重要ならば、何も重要ではありません」とジャ氏は語った。

その代わりに、緊急に優先されるべき一つの改革があると、ジャ氏訴えた。「同意しましょう。それは電気、電気、電気です。」

レバノンの債務の大部分は電力部門が占めている。

「これにより、財政問題を解決し、新たな投資を呼び込むことができます。そしてこれを実施する方法もあります」とジャ氏は加えた。

「太陽光発電と風力発電に全面的に取り組むことができ、再生可能エネルギーの分野についても大きく推し進めることができます。そして電力部門を整理し、ガバナンスに焦点を当て、独立した規制当局を設置し、より商業的に成り立つ電力事業を構築し、発電、配電、送電を行う民間企業をさらに取り込むことができます。」

「これはすべて実現可能です。レバノン人自身も、過去30年の間に何度もこのような改革案を生み出してきたのです。」

「私が1つの部門を選んだのは、その部門が、財政赤字への対応、負債総額の削減…そして、新たな投資を呼び込むことにより、雇用が創出されるという経済面において、最大の乗数効果を発揮するからです。」

ジャ氏は最後に、レバノンの政治団体や関係者へのメッセージを述べた。

「国民的対話で合意しましょう。」

「今後12ヶ月間は、電力部門に取り組み、電力部門における問題を解決していきましょう。他の問題については後で考えたらよいのです。」

「そして、我々にとって必要な支援を提供することが、何よりの喜びです。」

「これまで何度も言ってきたことですが、すぐに対処しなければなりません。」

世界銀行のレバノンでの取り組みは、現在、保健分野とパンデミックへの対応、教育、中小企業への支援、そして極貧世帯に対し毎月ドル建ての現金給付を行う緊急社会プログラムを対象としている。

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