


ナジャ・フーサリ
ベイルート:ベイルート港爆発事故から1年が経とうとする中、被害者の遺族たちが回答を求めている。遺族らは金曜日、首都ベイルートで抗議活動を行い、尋問要請を受けている元閣僚らの免責解除を求めて議会に圧力をかけた。
レバノン議会は、港湾爆発事故の捜査を進展させることができておらず、証拠が不十分であるとして最終決定を15日間延長している。
肥料に使われる物質で爆発性の高い硝酸アンモニウム約3000トンが長期間にわたり、港湾内に不適切な状態で保管されていた。この化学物質に引火して、2020年8月4日に壊滅的な爆発事故が発生し、211人が死亡、6000人以上が負傷し、近隣全域が損傷を受けた。
一部の遺族は、ベイルートのナビハ・ベリ議長の本部へ押し入ろうとしたが、抵抗を受け、レバノン軍や国民議会警備員らと衝突した。
「私はこの1年間、息子を思って泣いています。毎晩、夢でもいいから息子に会えたらと願っています」と、ある抗議者は政治家たちに向かって叫んだ。
「あなた方は私たちの心を壊した。あなた方は国民に嘘をついて約束を破っている。あなた方はこの国を搾取し、私たちを脅そうとしているのだ」
この裁判を担当するタレク・ビタル主席判事が今月初めに、アリ・ハサン・ハリル元財務大臣、ガジ・ザイテル元公共事業大臣、ノーハド・マシュノウク元内務大臣の免責解除を議会に要請したことを発表した。現職の国会議員であるこれらの被告は、港に硝酸アンモニウムが保管されている事実を知りながら対策を怠ったとして、過失容疑を受けている。
ビタル判事は、強大な力を持つ治安総局のアッバス・イブラヒム長官に対する尋問を要請したが、レバノン暫定内務大臣ムハンマド・ファーミ氏は、司法大臣への書簡を通してこれを拒否した。
この行動に怒りを募らせた遺族らは内務省本部へと向かい、「この犯罪の裏に存在するすべての人物に責任を取らせる」ことを要求した。
遺族や抗議者たちは、免責特権を利用して尋問を拒む政治家たちはすべて、法の濫用という罪を犯していると述べた。
ある抗議者は、「尋問を拒否すれば、我々はあなた方の家へ押しかけて引きずり出してでも尋問する。我々はあなた方が司法の場に現れるのを待ち続けている」と述べた。
国内では他にも問題が相次ぎ、医薬品不足で薬局がストライキに入り、2ヵ所の主要発電所が燃料不足で機能しなくなり、レバノンポンドは闇市場で最安値を更新して今や1ドル2万ポンドに届こうとしている。
金曜の早朝には数時間にわたって発電所が完全停止し、大統領官邸内を含む全国が停電した。
レバノンの国営電力会社であるエレクトリシテ・デュ・リバン(EDL)は、今回の停電は、「対応する海外銀行の支払い決済や、輸入業者の荷降ろしの直接承認の発行が遅れたため」だと述べた。
北部と南部にある給水施設は、停電や燃料不足のために供給量を減らしていると警告した。
レバノン観光貿易組合連合のジャン・ベイルーティ事務局長は、観光施設やホテルは電力不足のために、間もなく閉鎖するかも知れないと述べた。
「観光施設は、自家発電機を使って営業していますが、そのためのジーゼル燃料を闇市場で2倍の価格を出して調達しているのです」と事務局長は述べた。
薬局は、保健省がレバノン中央銀行(BDL)と合意し、補助金の付く医薬品と付かない医薬品とを分類して価格リストを発行するまで、自分たちはストライキを続行すると発表している。
薬局企業連合理事長のガッサン・アル・アミン氏は、レバノン中央銀行が医薬品、燃料、小麦粉、医療用品にわずか4億ドルしか割り当てていない事実を知って驚いたとし、これはつまり、「医薬品にはこの額のさらに一部しか配分されない」ことを意味すると述べた。
アル・アミン氏は、暫定政府のハマド・ハッサン保健相が、現在の医療危機に対処すべく新たな補助金政策を発表することを期待していると述べた。