• 遺族は「司法の妨害と脱法行為」に対する怒りを表明し、捜査を行っているタレク・ビタール判事を「これまで以上に」支持すると述べている

ナジャ・フーサリ

ベイルート：月曜日、2020年8月のベイルート港を破壊した爆発事故の犠牲者遺族が市内で新たに抗議行動を起こした。現在、「先延ばし」が爆発事故の正式な捜査を妨げているとして、怒りと不満が強まっている。

遺族は司法宮殿の道路と入口を封鎖し、「司法捜査官のタレク・ビタール判事の捜査を拒む要求を出したすべての人から負わされている怒りと強い不公平感」を表明した。

このデモで、法廷の業務は滞った。遺族は、当局が「レバノンとベイルートを苦しめた近代史上最大の爆発の犯罪と大惨事に際して過失をおかし、無視し、隠蔽した」と非難している。

そして「停滞と脅迫が続き、捜査が手薄になるようなら」国際的な捜査を呼びかけると述べた。

ビタール判事（48歳）は、爆発事故と、政治家や役人が事故に至る経緯に関与した点について捜査を完了できずにいる。調査対象は、元首相、4人の大臣と大勢の議員、治安当局者、港湾関係者らである。

ビタール判事の捜査は2カ月以上中断している。彼は昨年2月に前任のファディ・サワン判事から担当を引き継いだ。サワン判事は、罪のない人々を死亡させた過失で訴えられた2人の閣僚が不満を訴えたため、破毀院によって捜査担当を外された。

捜査を引き継いでから、ビタール判事は中傷キャンペーンや激しい政治的圧力にさらされ、ヒズボラの幹部からは司法宮殿内で脅迫を受けた。不逮捕特権を持つ大臣や議員を含めたこの事件の捜査対象者たちは、ビタール判事を担当から外すよう求めて何十件もの訴訟を起こしている。

ヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長は、ビタール判事が「捜査を政治化し、裁量権を行使している」として非難している。同党の支持者は10月に判事の交代を求める抗議行動を行った。アマル運動の支持者も合流し、デモは激しい衝突に発展して死者も出た。

月曜日に行われた司法宮殿の抗議行動で、ベイルート港爆発事故の遺族は、必要な判事の任命を行い、破毀院の総会の会員数の要件を満たすよう関係者に求めた。最近、判事の1人が退職して法廷の定員を割ったため、捜査の再開に支障をきたしている。

抗議者の代表団は、最高司法評議会の議長であるスハイル・アブード判事の事務所に接触した。代表団のメンバーによると、定数を満たすよう依頼したところ、アブード判事は「捜査を保護するためにあらゆる法的措置を検討している」と述べたという。

抗議者たちは「捜査を手薄にし、法律を操り、ビタール判事を排除しようとする腐敗した政治権力と当局者」を糾弾し、ビタール判事には「どちらの側からも、レバノン人全員が、事実を明らかにし、犯罪者を罰する任務を託している」と訴える旗を掲げた。

「誰も責任を逃れることはできない。220人が殉職し、6,500人が負傷し、首都ベイルートの半分が破壊され、何十万人もの市民が避難しているのだから」と書かれた旗も見られた。

声明の中で抗議者は次のように述べた。「これ以上時間を無駄にしないでほしい。政治的な免責に頼ったり、ビタール判事の裁量権や政治化を非難して彼を解任し、捜査を終わらせようとしたりするのはもうやめてほしい」

「今日、私たちはこれまで以上に司法捜査官を支持することを確認する。司法妨害と脱法行為のみに徹している被告人の責任を追及する」

遺族は、ビタール判事が出したアリ・ハッサン・ハリル議員の逮捕令状に基づいて当局が動いていないことに怒りをあらわにした。ハリル氏は元財務大臣で、アマル運動の代表であるナビーフ・ビッリー氏の政治補佐官を務める。

遺族は、「1週間前にこの大臣が誰にも触れられずに記者会見を行えたのはなぜなのか」と疑問を呈した。

ある司法関係者はアラブニュースに対し、破毀院が捜査再開の決定を下せるだけの任命がなされるまで、ビタール判事は捜査できないままだろうと述べた。また、5月の大統領選挙前にその人事が行われる可能性はないとした。