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一部のイラク民兵組織、支援国イランの要請を無視し対米攻撃を続行

イラクのシーア派民兵組織は、同国内の米国関連施設へのロケット弾とドローンによる攻撃をエスカレートさせることにより、彼らの支援国イランに一定の反抗を示しているという。 (写真:AP、ハリド・ムハンマド)
イラクのシーア派民兵組織は、同国内の米国関連施設へのロケット弾とドローンによる攻撃をエスカレートさせることにより、彼らの支援国イランに一定の反抗を示しているという。 (写真:AP、ハリド・ムハンマド)
イラクのシーア派民兵組織は、同国内の米国関連施設へのロケット弾とドローンによる攻撃をエスカレートさせることにより、彼らの支援国イランに一定の反抗を示しているという。 (写真:AP、ハリド・ムハンマド)
イラクのシーア派民兵組織は、同国内の米国関連施設へのロケット弾とドローンによる攻撃をエスカレートさせることにより、彼らの支援国イランに一定の反抗を示しているという。 (写真:AP、ハリド・ムハンマド)
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10 Jul 2021 09:07:34 GMT9
10 Jul 2021 09:07:34 GMT9
  • コッズ部隊のガアニ司令官は先月、イラクの民兵組織指導者たちに、イランの核交渉が終わるまで平静を保つよう要請した
  • ある民兵組織の司令官は、米国のドローン攻撃によるソレイマニ司令官とアルムハンディス副司令官殺害への報復がなされない限り平静を保つことなどできないと述べた

バグダッド:イラン革命防衛隊の精鋭、コッズ部隊のガアニ司令官は、先月バグダッドを訪れてイラン政府の庇護を長い間受けてきたイラク民兵組織の指導者たちと会合した際、1つの重要な指令を伝えていた ― イランと米国の間の核交渉が終わるまでは、平静を保つようにと。

しかし、司令官は反抗に遭うことになった。会合で 6人の民兵組織指導者の1人は、米国のドローン攻撃によるコッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官と人民動員軍のアブ・マフディ・アルムハンディス副司令官の殺害への報復がなされない限り、平静を保つことなどできない、と発言したという。

民兵グループによる軍事基地内の米軍に対する攻撃は、イラクとシリアの両方で増加する一方となっている。先週だけで3回のミサイル攻撃が行われて軽傷者を出しており、攻勢の激化への恐れをかき立てている。

コッズ部隊のイスマイル・ガアニ司令官の訪問と会合内容の詳細は、AP通信による3人のシーア派政治当局者および2人の民兵組織上級当局者への取材で明らかになっている。それによると、親イランのイラク民兵組織はイランからのある程度の独立を主張しており、時にはイラン政府からの指令を無視さえしているという。イランは現在、民兵組織の統制にあたってレバノンのヒズボラからの助力に頼っているが、イランの新大統領がヒズボラのその役割を引き継ぐ可能性もある。

当局者たちは、非公開で行われた上述の会合について匿名を条件に語っている。

イデオロギー的結びつきと軍事的支援によって支えられたイランの影響力は、昨年の米国によるソレイマニ司令官とアルムハンディス副司令官の殺害、利害の相違およびイラン政府の財政事情のため弱まる兆しを見せている。今年、ジョー・バイデン米大統領の就任を受けて核交渉が再開されたことで、両者の相違がより鮮明になっている。

「イランは、かつてのような民兵組織の指揮官を完全にコントロールするやり方はもうできていません」とあるシーア派の政治指導者は指摘している。

イラクとシリアの駐留米軍を標的としたロケット弾とドローンによる攻撃の増加に、西側および米主導の有志連合の当局者たちは警戒を強めている。連合軍当局によると、バイデン米大統領が1月に就任して以来、米国関連施設を標的とした少なくとも8回のドローン攻撃と、17回のロケット弾攻撃があった。

これらの攻撃は、イランが支援する民兵組織によるものとされている。こうした親イラン民兵組織は、イラク政府が認可した民兵の上部組織、人民動員軍(Popular Mobilization Forces)の大部分を構成している。

バイデン政権は攻撃に対し、イラク国境付近を含むシリア国内で活動しているイラク民兵グループを標的に2度攻撃を実施して対抗している。

「ガアニ司令官が平静を保つよう要請した時には、民兵組織のリーダーたちは彼に同意していたのです。しかし、司令官が会合の場を去るとすぐに彼らは要請を無視し始めた、今はそういう状況です」ともう一人のシーア派の政治指導者は説明する。

反抗的な民兵組織の中で最も大きな声をあげたのは、政党も所有するアサイブ・アフル・アルハク派のリーダー、カイス・アルカザリ氏であった。ガアニ司令官と民兵の指導者たちの会談からわずか数日後の6月17日、アルカザリ氏はテレビでの演説の中で、彼らは引き続き「占領者」米国を標的にし、核交渉を考慮はしないと述べた。

「この決定はイラク側による決定です」とアルカザリ氏は言った。

米国主導の有志連合軍は昨年戦闘作戦を正式に終了し、人員を大幅に削減した。イラクに残っている米軍は現在わずか2,500人であり、諮問任務への移行に向けたNATOとの協議が進行中である。イラクは、監視と情報収集、そしてダーイシュへの空爆実施のため、依然として連合軍の支援を必要としている。

継続する米軍への攻撃は、米国への圧力維持という意味でイランに有益だと主張する向きもある。

バグダッド滞在中のシーア派の政治当局者との会談でガアニ司令官は、イランは彼らの政治活動に干渉しないが、軍事に関する事柄については事情が異なる、と述べたという。ある政治指導者によると司令官は「それら(軍事に関する事柄)は革命防衛隊による承認を必要とします」と話したとのことだ。

それでも、ガアニ司令官は会合の間民兵グループを非難しなかった。代わりに、司令官は民兵組織のリーダーたちに、彼らの懸念を理解していると語りかけたのだ。

イランは、諸民兵組織を従わせ、組織同士の紛争を解決することができた、ソレイマニ前司令官とアルムハンディス副司令官のような指導力のある人物がいなくなったことによる空白を埋めるのに苦労してきた。

「ガアニ氏には(故ソレイマニ氏とは)また違ったスタイルと能力があります」とワシントン近東政策研究所のフェロー、マイケル・ナイツ氏は言う。ガアニ司令官のやり方はよりリラックスしたもので、いくつかの問題についてはしっかりと太く一線を引いているが、一方「他のことについては『尋ねるな、言うな』という方針です」とナイツ氏は分析している。

多くを求めないことに加えて、資金不足のイランはまた、多くを与えないようにもなっている。昨年、米国の制裁措置がイランの経済に打撃を与え始めて以来、民兵組織への支援は大幅に縮小されている。

民兵組織とシーア派の政治家たちの間の競争が激化するにつれて、派閥間の分裂が深まっている。

ガアニ司令官が民兵の指導者たちに会いに来た目的の一つは、数週間前にイラク当局が民兵組織の司令官、カシム・ムスレー氏を逮捕し、人民動員軍(PMF)の戦闘機と治安部隊が対峙する状態に至ったことによる、緊張関係を解消することであった。ガアニ司令官はイランの最高指導者アリ・ハメネイ師からの手紙を渡し、人民動員軍の反応を批判、同軍は自らの立場を弱めることをしたと述べた。

民兵組織に圧力をかけるため、イランはレバノンのヒズボラの指導者ハサン・ナスララ師に頼るようになっている。ナスララ師が民兵たちに非常に尊敬されているためだ。シーア派の政治指導者によると、ほぼ毎週、さまざまな組織の指導者たちがレバノンでナスララ師に直接面会していると述べた。

政治および民兵組織当局者によると、6月に選出されたイランのイブラヒム・ライシ新大統領も民兵組織に高く評価されており、諸組織をまとめる力があるかもしれないという。ライシ師が2月にバグダッドを訪れたとき、彼は人民動員軍の司令官たちと会い、流暢なアラビア語で「私たちの肉はあなたたちの肉であり、私たちの血はあなたたちの血なのです」と語りかけた。ガアニ司令官は組織の指導者たちとのやり取りには通訳を通じて行っている。

「抵抗の戦いは力を増していき、ライシ師の大統領選挙での勝利により最高の時期を迎えるでしょう」と、民兵組織カタイブ・サイード・アルシュハダのアブ・アラー・アルワラエ司令官は最近のインタビューで述べている。

AP

 

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