
アリ・ユネス
アトランタ:有名なアイスクリームメーカーのベン&ジェリーズ社が、占領地におけるイスラエル不法入植地での自社製品の販売を中止する決定を下したが、これにより、国際企業はパレスチナ領土へのイスラエル入植を終結させる取り組みの一環として、イスラエルの入植地をボイコットすべきか否かの議論が再燃している。
共和党が支配的なテキサス州とフロリダ州の政治家たちが22日にこの議論に割って入り、ベン&ジェリーズがこの決定を覆さなければ制裁を科すとして、同社の親会社であるユニリーバーに脅しをかける声明を発表した。また州民たちに対しても、ベン&ジェリーズ社をボイコットするよう呼びかけた。
テキサス州とフロリダ州は、対パレスチナ行動への抗議としてイスラエル経済に負の影響を与える目的で計画されたBDS運動(ボイコット、投資撤収、制裁)への企業の参加を阻止する法案を可決させたり、行政命令を下したりした米35州のうちの2州だ。
ギラド・エルダン駐米イスラエル大使は、これら35州の知事に書簡を送り、ベン&ジェリーズに対して法的措置を取るよう求めた。イスラエルの政府関係者や米国内の親イスラエル団体は、同社の決定を「反ユダヤ主義」、「反イスラエル」、「テロリズムの新たな形態」と呼んでいる。
しかし、ワシントンDCを本拠とする影響力のあるリベラルなユダヤ人団体「Jストリート」のジェレミー・ベン・アミ会長が、これらのレッテル貼りに異を唱える声明を発表した。
「2人のユダヤ人起業家が設立した大手アイスクリームメーカーが、占領下にあるパレスチナ領土で自社製品を販売しない決定を下したからと言って、それは反ユダヤ主義には当たらない。それは『ユダヤ人を非人間的に扱っている』ことにはならないし、暴力や憎悪の行為でもない」と彼は述べた。「同社の行為は、イスラエル主権国家の中で行う商取引と、占領地内で行う商取引との間に、原則に基づく理性的な線引きをしているだけだ」
ベン・アミ氏はまた、エルダン駐米イスラエル大使は米国の内政に干渉し、「憲法にそぐわない法律」を成立させるためにロビー活動をした挙句に、その法律をベン&ジェリーズに対して行使するよう要求しているとして非難した。その法律とは反BDS法を指しており、これは憲法修正第1条で保障された米国市民の権利を蝕むものであるとしている。
ニューヨークを本拠とする「トゥルア」は、北米の2000人のラビとそのコミュニティーを代表するユダヤ人組織であるが、その理事会の共同議長であるラビのレス・ブロンシュタイン氏も同様の声明を発表し、ベン&ジェリーズの決定を反ユダヤ主義とレッテル貼りする行為は「パレスチナ人たちが日々直面する著しい人権侵害から注意を逸らそうとする意図的な試みである」と述べた。
ブロシュタイン氏は、米国の政治家たちにベン&ジェリーズを罰する要請を却下するよう求めると共に、同氏も同じくエルダン大使を非難した。
「違憲的な反BDC法に基づいて同社を標的にするよう米国に求めることは、非常に現実的な結果を伴う政治的駆け引きだ」と同氏は述べた。「我々は米国の政治家たちに、反BDS法に基づいてベン&ジェリーズを罰する要請を却下するよう求める。この法律は憲法修正第1条に反しており、政府による国民の言論統制を拡大させる方向へと道を開くものだ」
ベン&ジェリーズは、さまざまな社会運動を支持していることで知られており、先週初めに次のような声明を発表した。「当社は、ベン&ジェリーズのアイスクリームが占領下のパレスチナ領土で売られている事実が、当社の価値観と矛盾していると考えます。また、当社のお客様や信頼できる提携業者からの懸念の声も耳に入っており、それを認識しています」
バーモント州に本拠を置く親パレスチナの人権団体「パレスチナの正義のためのバーモント州民」は、2013年からベン&ジェリーズに対し、イスラエル不法入植地から同社の製品を撤去するよう求めてきた。
ベン&ジェリーズは、今回の決定は占領地におけるイスラエル不法入植地に適用されるだけであり、イスラエルに適用されるものではないことを強調している。
米政府は、ヨルダン川西岸地区や東エルサレムに建設されたイスラエル入植地を、イスラエル国家の一部とは公式に認めていない
イスラエルは1967年の第三次中東戦争で、パレスチナのヨルダン川西岸地区、東エルサレム、ガザ地区、シリアのゴラン高原を占領し、それ以降、何百ものユダヤ人入植地を建設してきた。これは、占領国が自国民を占領地へ入植させることを禁じる国際法に違反する行為だ。