
ブリュッセル:イランには、イブラヒム・ライシ新大統領の下で、世界の大国との核合意復活へ向けた協議を再開する用意があり、9月上旬からウィーンで会合が行われる可能性ありと、7日、EUのある当局者が述べた。
同当局者は匿名を条件に、この案件を担当するEUの交渉官であるエンリケ・モラ氏が5日にテヘランで行われたライシ氏の大統領就任宣誓式に出席し、核協議の担当者に指名されたイラン当局者のホセイン・アミール・アブドラヒアン氏と会談したと述べた。
アミール・アブドラヒアン氏は、ライシ内閣の「新しい外相になると考えられている」が、まだ発表はされていないと、同EU当局者は述べた。
同当局者は、核協議が引き続きイラン外務省の担当となるのか、それともイランの国家安全保障最高評議会などの別の機関に引き継がれるのかは不明だと付け加えた。
ライシ氏は、4年間の任期中に超保守派の権力を強化すると見込まれる強硬派だ。
ライシ氏は、比較的穏健派のハサン・ロウハニ氏の後任だ。ロウハニ氏が2期にわたる大統領任期中に挙げた画期的な成果には、イランと国連安保理常任理事国の5ヶ国にドイツを加えた世界6大国の間で2015年に結ばれた核合意がある。
アメリカのドナルド・トランプ前大統領は、2018年に核合意から離脱し、制裁を再発動して石油に依存するイラン経済を苦しめた。イランは、遵守することで合意していた措置を撤回して応じた。
双方に再び合意を完全遵守させる方法を見つけるべく、4月以降ウィーンで協議が行われてきた。
最後の会合は6月20日に行われたが、今後の日程は決まっていない。会議の議長はEUが務めている。
アメリカは、イランを再び交渉のテーブルに戻すことが「喫緊の優先事項」だとしている。
しかし、特に、先週のオマーン沖でのイスラエル系タンカーに対する無人機攻撃で、乗員のイギリス人とルーマニア人が死亡したことにより、緊張が高まっている。
アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本から成るG7は、イランにこの攻撃の責任があるとした。イラン政府はこの非難を否定している。
ウラン濃縮を拡大し、一部の核施設への国連査察官の立ち入りを制限するというイランの決定は、欧米諸国を動揺させた。
「EUはイランが核活動を凍結することを望んでいる」とEU当局者は述べたが、ロシアと中国はその立場を支持していないと認めた。
同当局者は、モラ氏とアミール・アブドラヒアン氏との会談は、多くの問題が引き続き不透明ではあるものの、「非常に有益」であったと付け加えた。
イラン側は、「単なる協議のためだけではなく、合意を達成するために、できるだけ早く」ウィーンに戻ることを希望している、「成功を望んでいる」と、EU当局者は述べた。
同氏は、イラン側は会談の中でその立場の変化には全く言及せず、モラ氏がアミール・アブドラヒアン氏との会談の内容を米国に伝えたと付け加えた。
「もし合意が得られなければ、イラン情勢はさらに悪化するだろう」とEU当局者は予測した。「我々は合意を得ることを前提に取り組んでいく」。
AFP