
クリストファー・ハミル・スチュワート
ロンドン:アブラハム合意は、イランなどの地域の脅威に対抗する上での重要なツールであり、祝福されるべきものだと、ジェームズ・ジェフリー元駐イラク大使が合意の1周年に合わせて語った。
ウッドロウ・ウィルソン・センターが主催し、アラブニュースが参加した13日の記者会見で、同シンクタンクの中東プログラムの議長のジェフリー氏は、この合意は「地域にとって重要な前進」だと述べた。
同合意は、UAEとバーレーンを一方の当事者とし、イスラエルを他方の当事者として、両当事者間の外交、文化、経済的な関係を構築した。その後、米国の外交提案を受けて、モロッコとスーダンがこれらの合意に参加した。
この合意は「(バイデン)政権にとっても、そしてさらに重要なことに、この地域の国々にとっても、共通の立場を築き、この地域全体を揺るがし、もう何十年も続いている問題に対処するための新たなツールを与えてくれる」と、ジェフリー氏は述べた。同氏は、イラク、シリア、トルコ、バルカン半島などの勤務地で数十年にわたる外交キャリアを有している。
アラブ諸国とイスラエルが共有する最も重要な脅威は、イラン製のミサイルだと、同氏は付け加えた。
「軍事・暴力の観点からこの地域に対する脅威に注目すると、イラン製のロケットミサイルシステムや、様々なテロ活動が脅威となっている」と、同氏は述べた。アラブ諸国にとって、「イスラエルは、これらの両方の問題で、非常に実利的なパートナーとして見られている」と、同氏は付け加えた。
「率直に言って、首都や空港に飛来するロケット弾は、最近ではイスラエルだけが直面している問題ではなく、これらのロケット弾の出所は、究極的にはイランだ」。
サウジアラビアは、イスラエルとアラブ世界の間でのこのような和解で「思わぬ利益」を得ているものの、サウジは、同国とイスラエルの間のいかなる合意も、パレスチナ人のための公正で永続的な解決策となることが条件であることを明確にしていると、ジェフリー氏は述べた。
今年これまでに、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外務大臣は次のように述べている:「全体として、アブラハム合意は地域の関係にポジティブな効果をもたらしており、我々はパレスチナ人のための解決策を見つけることにより、これを足場としてさらに発展させなければならない」。
ジェフリー氏はまた、米国のアフガニスタン撤退にも取り組み、米国が50年ぶりに「闘いに負けた」との考えを示した。
同氏は次のように述べた:「闘いや紛争と言っても、結局、全ての紛争は政治的なものだ。現地での我々の政治的取り組みは、内戦の一方の当事者、つまり我々が作り出した側を、文化的、経済的、政治的、軍事的に、反乱側のタリバンに対して勝利させるための20年にわたる活動へと変化していった。問題は、タリバンの方が強かったということだ」。
しかし、米国のアフガニスタンからの撤退は、中東の同盟国に対する米国の今後の政策を示すものとして見るべきではないと、ジェフリー氏は述べた。
「米国がどこから撤退しても、米国に依存する数多くの国々の集団的安全保障制度を揺るがすことになる」と、同氏は認めながらも、アフガニスタンは「ジョー・バイデンにとっても、米国にとっても非常に特別なケースであり、これ以上の撤退はないと考える。実際、他の場所から撤退する意図はないと思う」と述べた。