
クリストファー・ハミル・スチュワート
ニューヨーク:ジャン・イヴ・ル・ドリアン仏外相は、中東における外交の進展を称賛し、フランスは引き続き、同地域の安定を維持すべく積極的な役割を果たしていくと約束した。
アラブニュースも出席した多岐にわたる内容の20日の記者会見の席で、ル・ドリアン外相は、オーストラリアとの潜水艦の契約に関しても言及し、今回の英国と米国による「信頼失墜行為」に遺憾の意を表明した。
フランスは当初、契約を交わしたオーストラリアに潜水を供給する計画であったが、オーストラリアが英米との契約へ心変わりし、フランスの面目が潰されたとする声が上がっていた。
「中東においては、安定と安全が我々の最優先事項です。これには、8月28日にバグダッドで開催された前例のない形式での会議を含め、地域での対話が必要となってきます」とル・ドリアン氏は述べた。
「バグダッド協力パートナーシップ会議」には、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、ヨルダン、トルコ、イラク、カタール、イランを含む中東主要国の多くが集まり、地域の安全保障上の緊張緩和を目的とする協議が行われた。フランスも同首脳会議に参加したが、フランスはこれまで何世紀にもわたり、何らかの形で中東の紛争や対立の仲裁に積極的な役割を果たしてきた。
国連総会の1週間に及ぶ高位級会議に出席するために現在ニューヨークに来ているル・ドリアン氏は、「それは異例の会議でした。出席者の顔ぶれが、これまで同じテーブルにあまり着くことのなかった人々だったからです」と述べた。
「我々は、ある種の新たな精神を打ち出すことができ、前例のない形式で、地域の緊張を緩和したいとする方向性への賛同を集めることができました」
同氏は続けて、会議にイランも参加していたことは、「肯定的なサイン」と見ることができるとしながらも、「イランに関しては、イランの要請で交渉が中断された経緯もあり、我々は今週、何らかの好転的なきっかけを打ち出すか、あるいは交渉を再開するかを確認する必要がある」とし、包括的共同作業計画(JCPOA)の参加国会議を招集すると述べた。
一般に「イラン核合意」とも呼ばれるJCPOAは、イランが渇望する制裁緩和との引き換えに、イランの初期段階の核開発計画を厳しく制限・監視するというものであった。イランと、同じく合意から離脱した米国は、双方の合意復帰をめぐり何年も交渉してきたが、ここ数ヵ月は中断している。
「そうする間にもイランは、JCPOAで決定したいくつかの誓約に違反し続けている」とル・ドリアン氏は述べ、「時間が経つにつれ、イラン当局は核開発を加速化させており、(核)合意復帰は時間との戦いだ」と警告した。
ル・ドリアン氏はまた、つい最近20年におよぶ米軍駐留が終了した後にタリバンに掌握されたアフガニスタンについても、その最新の進展に言及した。
フランスを始めとする欧州連合は、タリバンに対し、数々の「非常に明確な要求」を送ったと同氏は述べた。その中には、希望する人々の出国を認めること、国がテロリストの避難所となるのを防ぐこと、国内における人道支援の到達を促進すること、少数民族、女性、ジャーナリストの権利を守ることなどが含まれている。
「タリバンは、これらの条件を満たすことができなければ、国際社会から締め出されることになります」とル・ドリアン氏は述べた。
また、国連がアフガニスタンに1億ユーロ(1億1728万9000ドル)を拠出することに支持を表明し、欧州諸国もすでに6億ユーロ以上の人道支援を約束したと述べた。
一方で、ル・ドリアン外相がこの会議で最も注意を向けていたのは、オーストラリアがフランス製潜水艦を購入するという、フランスにとっては非常に経済効果の高い契約を破棄し、原子力潜水艦の購入の盟約を英米と交わしたという最近のニュースであった。
この契約はフランスを始めとする欧州本土で大きな物議を醸し、長年の同盟国の間の外交問題へと発展している。
マクロン大統領とバイデン大統領が会議の場で、「この問題について非常に率直に話し合う」ことになっているとル・ドリアン氏は述べた。