Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 新型コロナウイルス感染症、パレスチナ、イラン核問題が国連総会初日の演説の中心に

新型コロナウイルス感染症、パレスチナ、イラン核問題が国連総会初日の演説の中心に

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領もパレスチナ国家の問題について演説した。(AFP)
エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領もパレスチナ国家の問題について演説した。(AFP)
Short Url:
22 Sep 2021 08:09:37 GMT9
22 Sep 2021 08:09:37 GMT9
  • 米国、エジプト、トルコの首脳はパレスチナ人の権利やパレスチナ国家の問題を提起して、公平で包括的な解決策を求めた。
  • イラン大統領は米国政府に狙いを定めて「信頼性がない」と語り、カタール首長は近隣諸国との紛争の解決を絶賛した。

クリストファー・ハミル・スチュワート

ニューヨーク:第76回国連総会初日、世界各国の首脳の演説の内容は新型コロナウイルス・パンデミックが中心になった。だが、一部の首脳はこの機会を捉えてパレスチナ国家の問題を提起し、イランの核開発疑惑への懸念を表明した。 

9月21日の国連総会では、米国、エジプト、トルコ、カタール、イランの首脳も演説した。演説は夜遅くまで続き、割り当て時間の15分を超えて話し続ける首脳も多かった。

ジョー・バイデン米国大統領は、米国が世界の舞台に戻り、多国間主義へのコミットメントを続けることを明言した。その証拠として、米国の気候変動に関するパリ協定への復帰や、国際的なワクチン共有プログラムCOVAXへの貢献を挙げた。

大統領就任後初めて国連に赴いて演説したバイデン氏は、「米国はグローバルな新型コロナウイルス対策に既に150億ドル以上投じている。新型コロナウイルスワクチン1億6千万回分以上を他国に送り届けた。うち1億3千万回分は我が国が独自に供給するもので、しかも『紐付きではない』」と語った。

他の問題では、バイデン大統領は主権を有する独立したパレスチナ国家の樹立を求め、それがイスラエルの未来を守る「最良の方法」だと述べた。

バイデン大統領は、「私たちは中東のすべての人々にとってより優れた平和と安全が実現するような未来を求めなければならない。イスラエルの安全に対する米国のコミットメントに疑問の余地はなく、独立したユダヤ人国家への米国の支持は明らかだ」と語った。

「だが、私は二国家解決案こそ、ユダヤ人民主主義国家としてのイスラエルの未来を保証する最良の方法であると信じ続けている。主権を有する自立可能な民主主義国家パレスチナとの平和的な共存という解決策だ」

「現時点でその目標への道のりは長いが、前進の可能性をけっしてあきらめてはならない」

イランの核開発計画問題では、バイデン大統領は、「イランも同じ行動をとることを条件に、我が国は(一般にイラン核合意と呼ばれる2015年の包括的共同行動計画を)完全に遵守する状態に戻る用意がある」と語った。

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領もパレスチナ国家の問題について演説した。

「アラブ世界が不安定である原因の中心であり続けているパレスチナ問題の、公平で永続的かつ包括的な解決なしには、中東の安定はあり得ない。この問題の解決は、東エルサレムをその首都とする、1967年6月4日の境界線に基づくパレスチナ国家の建国を求める国際決議に従ってなされる必要がある」

「エジプトは国際社会に向けて、パレスチナ人の生活環境の改善に必要な措置を講じることも求める」

エルシーシ大統領は自国により近接した問題に注意を向けて、エジプトはアフリカのアイデンティティを「とても誇りに思っている」と述べつつも、大エチオピア・ルネッサンス・ダム・プロジェクトの交渉が進展しないことに非難を表明した。同ダムはナイル川の上流に位置し、エジプト当局はダムがナイル川の水資源に依存するエジプトの存続を脅かしていると表明している。

今年就任したイランのイブラヒム・ライシ大統領は、録音演説で米国に狙いを定め、アフガニスタンからの撤退と1月6日の首都ワシントンでの暴動を取り上げて、アメリカには「信頼性がない」と語った。

ライシ大統領は、イランがワクチン供給を受けることを妨害して、イランの新型コロナウイルス感染症危機を引き起こしたとして、米当局を非難しもした。1月にイランのアリー・ハメネイ最高指導者が、信頼できないとでたらめを言って、欧米製ワクチンの輸入を禁止したことには触れなかった。禁止令は後に撤回されたものの、イランは容赦なく襲ってくる新型コロナウイルス感染症の波に直面することになった。

ライシ大統領は、イランが核兵器開発を追求していないことを世界の指導者たちに納得させようと試みた。「我が国の防衛ドクトリンや抑止政策に核兵器の占める場所はない」

ライシ大統領は制裁緩和も訴え、「イスラム共和国は、過酷な制裁の全面的解除に最終的に到達する協議を有益なものとみなしている」と述べた。

カタールとトルコの首脳は国際社会に向けて、世界で最も脆弱な諸国へのワクチン供給に関する協力を求めた。

カタールのタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長は世界に向けて、自身が「別のパンデミック」と呼ぶ、新型コロナウイルス感染症の誤情報との戦いに向けた行動をとるよう促した。

タミーム首長は、1月のアル・ウラー宣言によりサウジアラビアなどいくつかの近隣諸国との紛争が解決されて、カタールが中東外交の一員に復帰したことも喧伝した。

「私たちは湾岸協力理事会の持つ重要な役割と、あらゆる相違点は建設的な対話を通じて解決することへのコミットメントを繰り返し強調してきた。アル・ウラー宣言は対話を通じた相違点の解決という原則を具体化したものだ」

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、自国製ワクチンの国際社会への供給を間もなく開始すると語った。また、イスラエル・パレスチナ紛争の永続的な解決策を見出す取り組みの重要性に関する他の首脳の意見を繰り返した。

国連総会での各国首脳の演説は今週いっぱい続く予定だ。サウジアラビアのサルマン国王の演説は22日に予定されている。

特に人気
オススメ

return to top

<