
メネクセ・トキャイ
アンカラ:トルコ当局が外国政府の代理としてスパイ行為に関わったと思われる人物らを大勢逮捕したことが明らかになっている。
トルコ国家情報機構の大規模な捜査によって、イスラエルの諜報機関モサドと関係する少なくとも15名が、トルコ国内でイスラエルの反体制派およびパレスチナ人学生に対する活動を行っていた容疑で拘束された。
イスタンブール検察による捜査の一環として、イスタンブールの拘置所に送致された容疑者に対する取り調べが行われている、と政府寄りの新聞サバフが報じている。
トルコではスパイ罪で有罪が確定すると懲役15年から20年の刑に処される。
秘密裏に1年間以上も容疑者らの偵察を行い15名が逮捕されたこの事件の捜査には、捜査員およそ200名が動員されていた。これはトルコ国内で史上類を見ない規模の諜報活動であったとみられている。
15名の容疑者はトルコのテロ対策当局が4県で別件捜査を実施した際に発見されたという。スパイネットワークは、3名で構成された下部組織5つがトルコ全土に広がって成り立っていたとみられている。
メンバーは現地のモサド将校と密接に繋がり、クロアチア・ルーマニア・ケニア・スイスなど国外で対面して情報や文書を受け渡していたという。
任務の報酬として数万単位のドルやユーロが渡されていたとされるこれら下部組織は、トルコにあるさまざまな団体や企業、そしてトルコの大学に在籍し防衛やテロ活動などに実用できる学科を学んでいたパレスチナ人学生の調査を行い、この情報をモサドに送っていたという。
トルコ諜報当局は先月以来行方が判らなくなっているパレスチナ人数名も一味であったとみている。組織には数名のシリア人も加わっていたと考えられている。
イスラエル・トルコ両政府は報道に関するコメントを差し控えている。
トルコとハマスの関係性が噂されていたことがネックとなって、両国の関係は長年脆弱であったが、7月の電話会談後両国の大統領は共に二国間の結びつきを改善する必要があることで同意していた。
「捜査の詳細が明らかにされるまで、同国でパレスチナ人の行方が判らなくなっていることについて(中略)トルコ政府に責任があると言われていた。トルコがイスラエルとの関係改善のためハマスのメンバー数名を引き渡した、とする報道すらあった。だがもし今回の拘束が事実であるならば、トルコにいるパレスチナ人の一部はパレスチナのためと見せかけてその裏で秘密裏にモサドのために活動していたようである」と専門家の1人は匿名を条件にアラブニュースに語った。
この数週間トルコの紙面を賑わすスパイ関連の事件はモサドのネットワークに関するもののみではない。
木曜日にはロシア・ウクライナ・ウズベキスタンの国籍を持つ人物6名が、トルコ国内のチェチェン反体制派に対する企みがあった、として拘束され現在公判を待っている。6名はスパイ容疑のほか国内にいる反体制派人物に対する攻撃を準備していた疑いで勾留されている。
6名は南部のリゾート地アンタルヤ県で拘束され、イスタンブールにあるマルテぺ拘置所へと移送された。 イスタンブールには数千人のチェチェン人が暮らしている。
またトルコ当局は最近、イラン国境から100kmの位置にある東部ヴァン県でイランの元軍人の誘拐を企てた、としてイラン人スパイ2名とトルコ人6名の計8名を拘束した
8名が拘束された事件の捜査は、2年前にトルコでイラン反体制派の人物が暗殺された事件の捜査で2月にトルコ当局が在イスタンブール・イラン大使館員を一時拘束してから始められていた。