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レバノン大統領、選挙法案を議会に差し戻し

議会が改正を加えていた法案にアウン氏は署名せず、これらの改正を再検討するよう求めている。 (ロイター)
議会が改正を加えていた法案にアウン氏は署名せず、これらの改正を再検討するよう求めている。 (ロイター)
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24 Oct 2021 03:10:41 GMT9
24 Oct 2021 03:10:41 GMT9
  • アウン大統領は3月に頻発する「自然災害および気象活動」のため投票が難しくなる可能性があることに言及して法案反対を正当化した
  • 専門家は、この展開がバシール氏に有利に働き、別の恩恵を得る可能性がある、としている

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンのミシェル・アウン大統領は選挙改正法案を国民議会に差し戻し、再検討するよう指示した、とする声明を大統領府が発表した。

議会が改正を加えていた法案にアウン氏は署名せず、これらの改正を再検討するよう求めている。

アウン氏の反対は、会派自由愛国運動(FPM)が5月ではなく3月に選挙を実施することに「活動の幅が狭まる」として反対を表明したことを受けてのものだ。

10月19日の立法議会において同会派は国外居住者の投票権に関する変更にも異議を唱えていた。改正案では国外居住者に与えられる6議席がなくなり、候補者名簿全般から投票できるようになる、というものであった。

FPMはこれらの議席の選挙が2022年度総選挙で投票されることを前提に、6議席の割り当てが選挙法で定められることを目指していた。

ナビフ・ベッリ国会議長は火曜日に議会特別委員会を招集し、選挙法案に対するアウン氏の回答について話し合うよう指示した。

レバノン情勢を注視している人々はこの展開を大統領の地位を巡る政権争いの兆候と見ている。

3月の総選挙で選ばれる国会議員が10月に任期が切れるアウン氏の後継を指名することになっている。

改正法案の再検討を要請する大統領令でアウン氏は「投票所への交通費や電力不足で投票所の運営がままならないことは言わずもがな、3月には自然災害や異常気象が頻発し有権者が投票所に行けないことになるため、総選挙の憲法上の期限を早めることは有権者の選挙権行使を妨げる結果になりかねない」と述べた。

大統領は「(改正案によって)レバノン国外に居住する有権者が現在の選挙法で保障されている国外居住者専用選挙区の候補に投票する選挙権を行使できないことにも繋がりかねない」と付け加えた。

大統領は改正案によって2022年2月1日から3月30日の間に満21歳なる国籍保持者10,685人が選挙権を失う、と訴えている。

戦挙アナリストのゼイナ・ヘルー氏はアラブニュースに対して「アウン氏は将来自身の望む改革の断行を妨害されたと他党を非難するために今のうちに手回ししている」と語った。

同氏は「アウン氏とその派閥メンバーは総選挙の日時を早めるのではなく、選挙までの期間が長くなることを望んでいる」と付け加えた。

「有権者名簿の凍結によってまもなく21歳になる新規有権者が選挙権を失うことになり、これが憲法評議会に訴える根拠となりうる」という。

ヘルー氏は「FPMはベイルート近郊に住むキリスト教徒有権者がガソリンの値上げや3月に悪化する山岳部の天候を理由に、北部アッカール県や南部、あるいはバールベック・ヘルメル県などの(投票権を持つ)辺鄙な村や町の投票所で投票しないことを恐れており、大規模投票センターを設けることに固執している」と付け加えた。

同氏は「このプロセスには準備期間を長くとる必要があるが、他党は居住地に投票所を設けることに賛同するとは思えない。そうなると有権者の維持管理ができず、また誰に投票したかもわからなくなるからだ」と述べた。

ヘルー氏は「ヒズボラとアマル運動のシーア派両会派はアウン氏の派閥と違い、来たる総選挙を恐れていない。ヒズボラはその正当性を選挙からではなく武器や力から得ているのだ」と言及した。

「ヒズボラは現在ベイルート港爆発事件の捜査責任者タレク・ビタル判事が罷免されるまで閣僚会議の開催を妨害しているのと同様に、議会の妨害をいつでも行うことができる。脅威を感じた瞬間にヒズボラは立場を逆にするのだ」と同氏はいう。

3月の総選挙を妨害する理由付けは、憲法上の理由の有無に関わらず、すでに始まっているかもしれない。

ヘルー氏はアラブニュースに対して「現在の展開はFPMの議員代表を務め、自身も常に大統領の座を欲しているゲブラン・バシール氏に有利に働き、同氏が別の恩恵を得られる可能性もある」と語った。

各政党は今のところ総選挙の結果を予測するのは時期尚早と考えているが、2018年の選挙では当時政権を握っていた政党間で事前に了承・妥協が行われており、2022年の選挙では政党間の綱引きや提携がカギとなる、とヘルー氏はみている。

「また同じ政党が勝利し、議席を回復する可能性がある。また代わりの選択肢となる魅力的な政党がなく、投票率が低くなることも考えられる」という。

来週火曜日、議会は必要とされる議決得票数61票以上をもってアウン氏の要請を可決するか、あるいは要請について憲法評議会に控訴するとみられている。

議会は定足数の半数プラス1の議決数で新たに改正法案を提出することも可能だ。定足数が65票の場合、改正法案提出には33票が必要となる。

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