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レバノン首相、シリア難民が「国家に危険をもたらす」と警鐘

レバノンのナジーブ・ミカティ暫定首相は7日、毎週1000人以上のシリア難民が悪化する自国の経済や財政状態から逃れるために、レバノンに流入しているため、この地中海の小さな国に「厳しい不安定な状況が生まれるおそれがある」と警鐘を鳴らした。(AP/ファイル)
レバノンのナジーブ・ミカティ暫定首相は7日、毎週1000人以上のシリア難民が悪化する自国の経済や財政状態から逃れるために、レバノンに流入しているため、この地中海の小さな国に「厳しい不安定な状況が生まれるおそれがある」と警鐘を鳴らした。(AP/ファイル)
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08 Sep 2023 01:09:41 GMT9
08 Sep 2023 01:09:41 GMT9
  • レバノン軍の主張によると、10日間で2300人のシリア人による違法な国境越えを阻止
  • レバノン首相は、彼が「不当な避難民の車両集団」と称するものを軍と警察部隊が停止させるための取り組みを強化していると述べた

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンのナジーブ・ミカティ暫定首相は、「違法な経路」をたどって入国するシリア難民の「新たな波」について懸念を表明した。

ミカティ氏は7日の閣議で、流入する難民の規模が「社会的結束と我が国の独立を脅かす深刻な脅威」をもたらしていると述べた。

レバノンのミカティ暫定首相は、彼が「不当な避難民の車両集団」と称するものを軍と警察部隊が停止させるための取り組みを強化していると述べた。

ミカティ氏は、ここ数週間でシリアからレバノンへの密入国者が急増しているのを受け、警鐘を鳴らした。

レバノン軍司令部によると、9月6日までのわずか10日間で、少なくとも2300人が違法に国境を越えようとして阻止された。

内閣は来週、この問題に対処するために、ジョセフ・アウン陸軍司令官や治安部隊の隊長らとの会合を予定している。

レバノン政府の推計によれば、レバノンは11年間にわたり150万人以上のシリア難民を受け入れている。

レバノンの経済危機が深刻になる中、難民に対する敵意がここ数カ月で高まっている。

レバノンの地方自治体は、シリア人の難民と労働者に対し夜間外出禁止令を課したり、移動を制限したり、地元当局に家族の氏名を登録するよう求めたりしている。

また、身分証明書、(入手可能であれば)賃貸契約書、レバノン公安総局による居住記録の提示も求めている。もし提示できなければ、強制送還されるおそれがある。

国際機関はこのような行為を「難民を狙った差別的かつ報復的な行為」であると非難している。

密入国のネットワークが急速に拡大しているため、レバノン軍が阻止した密入国する人数は、毎日国境を越えてくる人たちのほんの一部にすぎないと、大半の人が考えている。

本名を明かすことを拒否する23歳のシリア人男性ジュマーさんはアラブニュースに対し、今年の夏の初めにレバノンに不法に入国したと語った。

ジュマーさんは、「密入国する人は若い男性に限りません。女性や子供、家族も全員関わっています」と語った。

ジュマーさんは、国内のシリア人は「気が変になりそうなくらい物価が高くて、飢えのために死にそうになっています」と語った。

ジュマーさんによると、砂糖1キログラムの価格は現在、1万7000シリア・ポンドで、これは平均月収のほぼ10分の1に相当するという。

一方、レバノン在住のシリア人労働者は、レバノン通貨の暴落による賃金の減額に不満を抱いている。

シリア人労働者の大半は、月収120ドル足らずで、辛うじて日々の生活費をまかなうことしかできない。

ジュマーさんによると、レバノンとシリアにある組織犯罪のネットワークが密入国を監督しているそうだ。

シリアにいる密入国あっせん業者は、それぞれ指定された地域を受け持っており、手数料のために複数の検問所を移動している。

「国境に到達すると、徒歩で国境を越えます。車はなくて、ひたすら何もない土地を歩くのです。あっせん業者は行き方をざっと説明し、国境の反対側にいる連絡先を教えるのです」

ジュマーさんは、レバノン人の担当者がベカー、ベイルート、トリポリなどの目的地別に密入国者を仕分けしていると述べた。

「レバノン到着後、人々はバンや乗用車でそれぞれの目的地に移動します」

ジュマーさんによると、密入国の費用には幅があるという。越境するための基本額は50ドルだが、イドリブなどシリア国内の遠隔地からだと600ドルまで跳ね上がる。

「レバノンへの密入国は決して止まることはなく、シリアのかつてない経済崩壊により、ここ数カ月で増加しています」と述べた。

「人々は貧困層を苦しめている深刻な飢えについて、信じがたい話をしています」

ジュマーさんは、レバノンの治安部隊を国境で見かけることはめったになく、国境を越える時点では危険はほぼないと主張する。

「本当の危険と災難は、レバノン国内に入ってから逮捕される可能性があるということです。国外追放され、シリアの治安当局に逮捕される危険性があるのです」

「逮捕の理由には、兵役を求められている、革命グループとの関係が疑われる、あるいは、指定地域内に留まることが義務づけられ、転居を禁じられている青年が、政府と合意していた地域を離れる、などがあります」

ジュマーさんはまた、「手数料と引き換えに、関係当局を通じてシリア人の法律関係書類の入手を手助けする、レバノン在住の仲介者」の存在にも言及した。

2017年、密入国を根絶するために、ジャディーダット・ヤボウスの国境地点でシリアとレバノンの安全保障会議が開催された。

軍、税関、入国管理、パスポート管理、治安部隊がこの問題を担当することになった。

マスナ地区とジャディーダット・ヤボウス地区間に共同パトロールが設置された。しかし、安全上の懸念は解消されなかった。

シリア国内の人々と連絡を取り続けている、レバノン在住のシリア難民は次のように語った。「空路でレバノンからトルコへと合法的に出国する方が選択されるので、レバノンの海岸からボートで脱出しようとするケースは減っています。今は、トルコからギリシャへと海路で密入国するケースが増えています」

そして、こう締めくくった。「私の親戚の一人が森を歩き続けて、1週間前にギリシャからドイツに到着しました」

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