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イラン核合意の協議再開時の米国の選択肢

イランのナタンツの原子力発電所で査察を行うIAEAの代表者。(AFP通信の資料写真)
イランのナタンツの原子力発電所で査察を行うIAEAの代表者。(AFP通信の資料写真)
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28 Nov 2021 08:11:35 GMT9
28 Nov 2021 08:11:35 GMT9
  • イラン政府がこれまでよりもはるかに核爆弾保有に近づく中、目的は時間を稼ぐことだ

ワシントン:ジョー・バイデン大統領の下、米国は、29日にウィーンでイランとの間接交渉を再開する予定だが、イラン核合意を復活させられる可能性に関しては、春に比べてはるかに悲観的だ。

また、協議が失敗した場合のイラン政府の核爆弾開発を阻止するための米国の選択肢は限られている。

ドナルド・トランプ氏は、大統領として、2018年にこの国際合意から離脱し、この協定の規定に従い解除された米国の制裁を再発動した。

イラン・イスラム共和国は、報復として、核開発プログラムに対して定められた規制の多くを破った。
バイデン大統領は、イランも元の条件を再び遵守するのであれば、この合意(これは2015年に当時のバラック・オバマ大統領が交渉したもので、バイデン氏は同大統領の下で副大統領を務めていた)に復帰したいと述べている。

ウィーンでの間接交渉は、イランが押し付けた5ヶ月間の中断を経て、29日に再開される。

「素早く合意に達し、合意内容を実施する余地がある」と、24日、米国国務省の報道官は述べた。

しかし、ロブ・マレー米国イラン担当特使は、イラン政府の態度は「協議にとって良い兆候ではない」と述べた。
米国政府は、足を引っ張り、「過激な」要求を増やす一方で、核爆弾の開発に大きく近づくような進歩を依然として遂げているとして、中東の同国を非難している。

協議再開時に、イラン政府が核開発を前進させる時間を稼ぎたいだけなのは明らかだと、すぐに米国が受け止めれば、米国政府は「ぼんやり黙って見ている」わけにはいかなくなると、マレー特使は警告した。

「イランの核の野望に対処しようとするには、外交的なものなど、他の取り組みを検討しなければならなくなるだろう」と、特使は述べた。
外交の選択肢の1つとして触れられたのは、暫定合意の可能性だ。

「バイデン政権は、ささやかな制裁緩和と引き換えに、イランにおける核の拡散上最もデリケートな活動の一部を凍結する短期的な限定的合意を検討するかもしれない」と、軍備管理協会の不拡散政策の責任者のケルシー・ダベンポート氏が最近AFP通信に語った。

イラン政府がこれまでよりもはるかに核爆弾保有に近づく中、目的は時間を稼ぐことだ。

しかし、そのような動きは、ワシントンの共和党員の間だけでなく、バイデン大統領が所属する複数の民主党員の間でも、イランに対して寛大すぎる譲歩だとして、激しい抗議を引き起こす危険性がある。

「もしイランがJCPOAにない長い要求リストを持って交渉のテーブルに戻れば、米国もこれに応じて」、地域紛争におけるイランの役割や同国の弾道ミサイルに関する独自の要求リストを提示する可能性があると、ダベンポート氏は核合意の正式な略称を用いながら述べた。

しかし、そのようにすれば、結果が予測できない、長く複雑な交渉が始まることになる。

また、その間にイランが核開発を続けるのを阻止するものは何もない。

シンクタンクのカーネギー国際平和基金の研究員であるスザンヌ・ディマジオ氏は、「核合意を元に戻す以外の選択肢は良いものではない」と言う。

「もし、もっと良い案があれば、今頃はもう耳にしているはずだ」と、同氏は26日、記者団とのやりとりの中で述べた。

可能性の1つは、民主党政権がトランプ時代の「最大限の圧力」によるアプローチを失敗だと激しく非難し続けながらも、経済制裁を強化することだ。

懲罰的な措置は、米国の禁輸措置にもかかわらずイランの石油を買い続けている中国も標的となり得る。しかし、中国政府がその姿勢を変えることはなさそうだ。

2015年の核合意に反対した米国のタカ派(特に保守派に多い)は、米国政府はウィーンでの交渉の結果を待つことなく、経済的、外交的、さらには軍事的圧力を強めるべきだと主張している。

より強硬な姿勢の支持者から弱腰だと非難されたバイデン政権は、10月、イランが核保有国になるのを阻止するため、外交以外の「他の選択肢」を検討していると警告し、アプローチを強硬化し始めた。

ホワイトハウスは、これらの選択肢を具体的に示さなかったが、軍事行動の可能性を明確に示唆している。

しかし、元米国外交官のデニス・ロス氏は、注目の論説記事で、「イラン政府はもはや米国政府を真剣に受け止めていない」ため、「他の選択肢」への「お決まりの」言及では不十分になっていると述べた。

10月27日に公開された論説で同氏は、「バイデン政権は、核問題で進展を望むのであれば、軍事的エスカレーションの可能性を再び検討対象にする必要がある」と綴った。

イスラエルとしては、明らかにこの選択肢を1つの可能性として受け入れている。

しかし、ディマジオ氏は、軍事力は「究極的には問題の解決にはならない」という。

「実際、これまでの前例では、イランは圧力に圧力で応えている」と、同氏は警告した。

「イランの核開発プログラムに対するさらなる破壊工作を含め、制裁を超えたより攻撃的な措置は、誤算やミス、手に負えないようなエスカレーションにつながり、暴力的な紛争を引き起こす危険性がある」

AFP

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