



ナジャ・フーサリ
ベイルート:国連のアントニオ・グテーレス事務総長は日曜から4日間にわたるレバノン公式訪問に入った。
今回のグテーレス事務総長の訪問は、先月グラスゴーで開催されたCOP26でレバノンのナジーブ・ミカティ大統領に会った際に緊急の招待を受けて実現したもの。
グテーレス事務総長は月曜、グランド・セレイルで行われるミカティ大統領との会議で議長を務める。国連やレバノンの各機関のトップや代表も参加するとみられる。
各機関との協力の調整および切迫した状況にあるレバノンのニーズへの対応力の把握を目的としたこの会議は、これまでの会議の中でも最も重要なものとみなされている。
グテーレス事務総長は空港で、今回の訪問の目的はレバノンとレバノンの人々に「寄り添う」ことだと述べた。
「今は、世界中のすべての我々がレバノンの人々との連帯を表明するときだと考える。私の訪問を表す言葉があるとすれば『連帯』ということになろう」と事務総長は語った。
グテーレス事務総長はレバノンの首都ベイルートに到着後3時間も経たないうちにミシェル・アウン大統領と会談し、今回の訪問の幕が開けた。
アウン大統領は日曜のグテーレス事務総長との共同記者会見中、レバノンと国連の「深いパートナーシップ」を強調した。
大統領は国際社会に対し「各自の責任を引き受け、シリア難民が故郷に無事に帰れるよう推進する」よう呼びかけてきたが、今回もこのメッセージを繰り返した。
グテーレス事務総長は「シリア難民を受け入れてくれたレバノンの人々の寛大さ」を称賛し、「(受け入れは)レバノン経済・社会に大きな負担となった」と述べた。
訪問の前夜、グテーレス事務総長はレバノンが直面する「試練」に照らしてレバノンの人々への懸念を表明した。
事務総長は「国連はレバノンの人々と共にあり、レバノンおよびレバノンの人々の支援に注力する」という統一メッセージがあると述べた。
事務総長は以前、危機を乗り越え平和、安定、正義、発展、人権を推進するために支援を提供する最善の方法について、様々な人と会って協議すると語っていた。
また事務総長は、恒久的な解決策はレバノンからしか生まれないと強調した。
「リーダーが人を最優先し、レバノンを立て直すために必要な改革を実行することが不可欠だ。これには説明責任と透明性の強化とともに、腐敗の根絶も含まれる。来年予定されている国会選挙はこの上なく重要なものとなる。よって、レバノンの人々は国がどのように進むかを選択するプロセスに完全に関わらなければならない」
グテーレス事務総長の訪問にはナビーフ・ビッリー議会議長との会談、ベイルート港爆発事故現場訪問、宗教指導者や市民団体代表との会談が予定されている。
また、極貧事例の視察のために北部の都市トリポリを訪れ、レバノンが直面する様々な危機の影響を受けた人々とも面会する。
最後は国連レバノン暫定軍(UNIFIL)とブルーライン(イスラエル軍撤退ライン)を訪れ、レバノン訪問を締めくくる。
レバノン人に向けたメッセージでも語った通り、グテーレス事務総長の優先事項は来年春に開催が見込まれる議会選挙、そして選挙の資金面・物理面を国連がカバーできるよう準備することだ。
グテーレス事務総長として初のUNIFIL訪問となり、メディアの取材は入らない。
レバノンにおけるUNIFIL部隊の任務延長の根拠となっている国連の定期報告書では以前「活動地域における任務を遂行するために移動の自由を保証する」必要性を強調していた。
また、国連の報告書では「レバノン軍を完全掌握し、南部に配備すること」および「武器保有をレバノン国家に制限すること」の必要性を強調していた。
マロン派のビシャーラ・ブトロス・アル・ライ総主教は日曜の説教の場で、政府関係者や影響力のある人々に対し、市民をあたかも戦いの道具のように扱い「政治的復讐、個人的憎悪、市民をまったく軽視する」アプローチを止めるよう促した。
「レバノン政府に対して強制力を持つのはレバノン憲法上の義務であるにも関わらず、国会がアラブやその他諸国が望む形になってしまうのは恥ずべきことではないか?影響力を持つグループが免責特権の名の下に国会を妨害し続けるとはどういうことだ?」と、総主教は答えを求めた。
港の爆発事件の真実を明るみに出し、判事らの取り組みに対してますます強まる疑いの目を止める必要があると、総主教は強調した。
総主教は、ヒズボラが繰り返し非難し、捜査活動を降りるよう要求していたタレク・ビタール判事を擁護した。
「なぜ正直な判事が腐敗や政治化、裁量権について疑われるのか?司法の取り組みに打撃を与え、社会を監視の目の届かない犯罪の無法地帯にするのが目的ではないはすだ。司法はこれまで十分な進捗を遂げてきたが、地位や立場に関わらず捜査側が事件に関係したとみなすすべての者、目撃者、(爆発に関わったことが)疑われる者の証言を得られるよう、すべての免責を無効にしなければならない」と総主教は付け加えた。