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レバノンの子ども、家庭内暴力や虐待のリスクにさらされる

人口の80パーセント以上が貧困状態で暮らしており、現地通貨の価値は対米ドルで90パーセント下落した。(AFP)
人口の80パーセント以上が貧困状態で暮らしており、現地通貨の価値は対米ドルで90パーセント下落した。(AFP)
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27 Dec 2021 04:12:13 GMT9
27 Dec 2021 04:12:13 GMT9
  • 混沌とした諸事件や、経済的大惨事が子どもに及ぼす影響について警鐘を鳴らす
  • 手榴弾の事故で男児1人が死亡し、お腹を空かせた動物園の雌ライオンが3歳児を襲った

ナジャ・フーサリ

ベイルート:人権活動家や国連関係者によると、レバノンの経済危機は何百万人もの子どもたちの現在と未来を脅かしている。

子どもたちは家計を助けるため、児童労働や自動婚のリスクにさらされている。

極度の貧困に苦しむ多くの人が、子どもに労働を強いざるを得なくなっている。

食料品店や道路脇のコンビニエンスストアの前では、通行人に注文を届ける子どもたちの姿が見られる。

先週、レバノンではわずか6歳の子をはじめとする子どもたちが死亡事故や危険な事故に相次いで巻き込まれた。

バアルベクでは土曜、6歳の男の子が他の子ども数人と一緒に遊んでいたとき手榴弾が爆発し、死亡した。他の子どもたちも重傷を負った。

手榴弾は子どもたちが遊んでいるときに見つけたものだった。

地域の民兵の存在により兵器が容易に持ち込まれ、使用されている。

貧困にあえぐ地帯はあらゆる危険にさらされがちだが、子どもたちが遊べる唯一の場所であることも多い。

同じ日、ソーシャルメディアではレバノンの北の国境近くの街ムハンマラの居住キャンプでシリア人難民が娘2人に折檻を行ったという画像とニュースが大きな話題になった。

画像には2人の女児の身体に残った折檻によるあざや跡が写っていた。2人ともまだ2歳にもなっていない。

妻は「寝ている間に子どもたちの上に転落した」として子どもたちへの虐待を否定したが、近隣の診療所の医師が診察を行うと、2人の子どものうち1人は肩関節が外れて顔にはあざが残り、もう1人の女児は骨盤にひびが入っていたことがわかった。

女児の父親は電話の電源を切ってしまったため、地域の活動家らは女児らの祖父に連絡を試みた。

女児の1人は手術のためハルバ政府病院に運ばれたが、両親は費用を捻出できなかった。

あるNGOがUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に連絡するとUNHCRはレバノンの安全保障当局にフォローを依頼し、2人の女児はUNHCRの保護センターに移送された。

家庭内暴力と生活苦の他にも、1週間以上前にはレバノンの動物園で子どもが死にかける事故が起きた。

3歳の男の子は兄弟と祖父とともにベイルートの北にあるナハル・アル・カルブの動物園を訪れていた。

祖父によると、全員で動物の檻の間を歩きまわっていたときに男の子が雌ライオンの檻に近づいた。

雌ライオンはすぐさま男の子を攻撃し、身体を噛み始めた。

しかし祖父は別の人と一緒に男の子をなんとか雌ライオンから引き離した。

男の子は全身に深い裂傷を含む21カ所の傷を負った。

男の子の父親は国家機関による管理不行届の疑いで動物園の所有者を告訴した。

「動物を閉じ込めて管理するということ自体は否定するものではないが、それを行う場合は守るべき条件がある」と父親は語った。

「なかでも最低条件は、もし捕えたライオンが檻から逃げても、人間を襲い人命が失われるほど空腹にならないようにすることだ」

ユニセフが12月17日に発行した報告書ではレバノンの子どもたちに対する暴力を取り上げ、「レバノンの危機が悪化する中、少なくとも100万人の子どもたちが暴力のリスクにさらされている」と警告した。

「レバノンで悪化を遂げる危機への対応に家族が苦労する中、同国の子どもの2人に1人が身体的、心理的、性的暴力のリスクにさらされている」と推定している。

この報告書は、駐レバノン子どもに対する暴力担当国連事務総長特別代表ナジラ・ムアッラ医師のレバノン訪問と同じタイミングで発表された。

ムアッラ医師は「子どもが虐待、加害、暴力から保護され、子どもの権利が守られるよう徹底する必要性がいままでになく高まっている」と述べた。

100万人のシリア難民を受け入れているレバノンは、世界銀行が「近現代の世界における最悪級の危機」と評する経済危機に苦しんでいる。

人口の80パーセント以上が貧困状態で暮らしており、現地通貨の価値は対米ドルで90パーセント下落した。

ユニセフは「約180万人の子どもたち―レバノンの80パーセント以上の子どもたちが現在、多次元的な貧困に苦しんでいる」と推定した。

ユニセフの報告書は「児童虐待の件数、ユニセフとパートナー団体が対応した件数は2020年10月から2021年10月までの間で約50パーセント増加した。つまり暴行件数が3,913件から5,621件に増えたということだ」と述べた。

首都や各地方ではホームレスの子どもたちが路上をうろつき、親に言われて、あるいは空腹や絶望により、自ら物乞いをする姿が普通に見られるようになった。

クリスマスに地元テレビ局が取材した貧困地区の母親の多くが、子どもたちが夕食をとらずに床に就く日があると打ち明けた。

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