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レバノン再建の妨げは派閥主義 ミカティ首相が演説で訴え

28日、ベイルートで記者会見するレバノンのナジーブ・ミカティ首相。(ロイター)
28日、ベイルートで記者会見するレバノンのナジーブ・ミカティ首相。(ロイター)
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29 Dec 2021 12:12:34 GMT9
29 Dec 2021 12:12:34 GMT9
  • ミカティ首相は、司法を政治的な争いから遠ざけ、その独立性を守る必要性を強調した。 

ナジャ·フーサリ

ベイルート:レバノンの政界有力者たちは、経済破綻や政争、また対外政策に対するヒズボラの影響力に起因する、レバノン国民をおびやかす危機のすべてを受け入れ続けている。

同国のミシェル·アウン大統領は今週、レバノン国民に向けたテレビ演説でヒズボラとそのシーア派の支持者、ナビーフ·ビッリー議会議長を間接的に批判した。それを受けて、ナジーブ·ミカティ首相が28日に記者会見を開いた。

ミカティ首相は記者会見で「内閣の任務遂行への妨害のため、この国を救うという政府の使命が果たせなくなっている」として、「10月12日以来、閣議を開くことができておらず、政府の活動は見過ごすことの許されない根本的な機能不全に陥っている」と危機感を表明した。

ミカティ首相はまた、国の体制を犠牲にするような和解は一切受け入れないと強調した。

「閣議を開きたいがために、レバノン国民やベイルート港爆発事故の犠牲者の家族、国際社会に受け入れられない和解案を認めるなどということはない」と首相は語っている。

また、ミカティ首相は「ベイルート港爆発事故の捜査の過程で混乱が生じた(ことが主な原因)と確信しているので」閣議が開かれないことについては誰にも責任を問わないと述べ、「状況がどうあれ、政府が混乱して改革を止めることはあり得ない」と付け加えた。

首相は、ヒズボラとアマル(Amal)がベイルート港爆発事故の捜査からタレク·ビタール裁判官を除外するようを主張していることに対し、「司法を政治的な争いから遠ざけ、国家の最も重要な柱の一つとしての存在を維持するためにその独立性を守る」必要性を強調した。

「国家が法律に則って行動することを止め、派閥の政治力に左右されるようになった時、その国家は崩壊し始め、政策や戦略の実行を任される主体として任務を遂行する能力を失ってしまうことになる」とミカティ首相は訴えた。

首相はまた、レバノンとアラブ諸国、特に湾岸諸国との関係を改善するため、国家レベルでの対話を行うよう呼びかけた。さらに、レバノンの指導者層に対しては、政府の責務に干渉しないよう求め、「我が国を守り、国際社会やアラブ世界との関係の保持をもたらす分離政策 」へ立ち戻るよう求めた。

ミカティ首相は、国の救済は「憲法と法律の枠組みの中で」行われるべきであるとし、憲法を遵守する必要性を強調した。

さらに、自らの辞任が解決策となる場合、首相の材にとどまることが国へのさらなる損害につながると判断すれば、躊躇なく辞任すると首相は述べている。

大統領の周辺からレバノン中央銀行のリアド·サラメ総裁の解任要求が出ていることに関しては、ミカティ首相は「我々は(国の再建という)戦争の最中にあり、戦争中には将校を変えるべきではない」と語っている。

レバノンの政界観測筋は、アウン大統領からの批判はヒズボラに深刻に受け止められてはおらず、ヒズボラが大統領および大統領周辺から引き離す効果も生まないと見ている。また、アウン大統領が求めている国全体における対話ついても、「ヒズボラとその武力による実効支配の下では何の結果も得られないだろう」と厳しい評価を下している。

議会会派「民主集会」(Democratic Gathering)所属のビラル·アブドゥラー議員、レバノン国民に向けた大統領と首相の演説を「時間の無駄」と批判する。しかし、アブドゥラー議員はアラブニュースに対し、ミカティ首相のものの方が危機とその対処法について現実的ではあったと語っている。

アブドゥラー議員は、「ミカティ首相はヒズボラとの争いは議論の対象にできると強調した」と指摘し、「ヒズボラがイスラエルと対峙できる党であるということについてはレバノン国民のコンセンサスがあると思うが、ヒズボラが他国で行っている行動については、レバノンはとても容認できない」と述べた。

議会会派「強固な共和国」(Strong Republic)の幹部、ファディ·カラム元議員も、アウン大統領の演説を「失敗の発表」と手厳しく評する。一方でカラム元議員はアラブニュースに対し、演説には防衛戦略、システムの変革、行政·財政の分権化要求などの重要な見出しが含まれていたとも指摘している。

レバノンのジャンタ近郊で28日、爆発事件が発生した。ジャンタの町は遺跡で知られるバールベックの東側、シリア国境近くの山岳地帯に位置する。

爆発の原因は不明で、ヒズボラから出された非公式·未確認の情報によると「爆発は、イスラエルの攻撃か、ロケットの分解時の事故か、この地域のヒズボラ支配下の前線軍事基地での古くなった弾薬による事故のいずれか」ではないかと見られているとのことだ。 

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