
国連:乗員乗客176人全員が死亡した2020年1月のウクライナ旅客機に対するイラン軍のミサイル攻撃の賠償金をめぐり、イランが西側の3ヵ国およびウクライナと対立している。
先月、墜落事故の外国人犠牲者を代表する国際調整・対応グループに共に参加したカナダ、スウェーデン、ウクライナ、英国の閣僚らが声明で、12月27日にイランから「集団賠償請求に関して…グループと交渉する必要はないと認識している」との明確な回答を受け取ったと発表した。
4ヵ国は国連アントニオ・グテーレス事務総長に送った声明の中で、賠償問題は「全ての被害者が公平かつ平等に扱われるよう」集団で対処しなければならないものだと強調した。
これらの国々は、イランは調整グループとの交渉を拒否することで、国際的な法的責任を回避していると非難し、こう宣言した。「罪のない176人の犠牲者の記憶に対する侮辱に、我々は我慢できない」
2020年1月、積みあがる証拠を前に3日間撃墜を否認した後、イランはついに、ウクライナ機がテヘランを離陸した直後に、同国の準軍事組織の革命防衛隊が地対空ミサイル2発で誤って撃墜したことを認めた。これは、イランの最高司令官を殺害したアメリカのドローン攻撃への報復として、イラクの米軍部隊にイランが弾道ミサイル攻撃を行ったのと同じ日の出来事だ。
2020年の大惨事に関する予備報告書では、イラン当局は、ボーイング737-800をアメリカの巡航ミサイルと勘違いしたという防空担当者に責任を負わせた。
調整グループは、交渉を通じて賠償問題を解決するために2年間、何度も取り組んだ後、これ以上の試みは「無駄」と判断し、4ヵ国は「これからは、国際法に従ってこの問題を解決するために取るべき次の行動に焦点を当てる」と述べた。詳細については明らかにしなかった。
イランのマジド・タフテ・ラバンチ国連大使は、10日に配布された事務総長宛ての手紙の中で、調整グループによる合同交渉の要求は「イランにとっては何の根拠も影響もない」ことであることを確認し、応答した。
大使は、イランはこれまでに4ヵ国それぞれとの二国間交渉を申し出ており、「カナダ、スウェーデン、ウクライナ、イギリスとさらに二国間交渉を行う意思を改めて表明する」と、述べた。
ラバンチ大使は、二国間交渉を行わずに、4ヵ国が「イランと交渉しようとするのは無駄と結論づけた」ことを「皮肉」と表現した。
大使は、イランは2020年7月と2021年6月にキエフで、2020年10月にテヘランで行われたウクライナとの3回の二国間協議に参加し、「国内外の義務を果たすために実現可能な全ての措置を取ってきた」と、述べた。
イラン政府は、「政治目的でイラン政府に圧力をかける手段を用いて、事故やそれに関連する技術的問題を政治問題化しようとするいかなる試みも強く非難する」と、大使は語った。
ラバンチ大使は、イラン内閣が2021年1月5日に「事故で命を落としたそれぞれの人の相続人に15万ドルの見舞金を支払う」指令を出したと語った。大使は、政府がこれまでに「多くの家族に」支払いを行ったと付け加えた。
「支払いは国籍に関係なく、差別することなく、全ての家族に対して行われる一方で、これに関して支払い対象であると自ら主張するグループによる根拠のない申し立ては断固として拒否することを、イラン・イスラム共和国はもう一度改めて繰り返す」と、大使は述べた。
2021年11月21日、イラン国営通信社IRNAは、軍によるウクライナ機撃墜をめぐり、軍人10人(「様々な階級」の容疑者)が参加する審理が始まり、犠牲者の家族や弁護士も出席したと報じた。
ラバンチ大使は手紙の中で、裁判は「現在進んでおり」、「犠牲者の家族が招かれ、イランの管轄裁判所に対し、被告人を提訴できることが正式に告知された」と述べた。大使はまた、これまでに複数回の審理が被害者家族立ち会いのもとで行われたと付け加えた。
AP通信