
モハメド・ナジブ
ラマッラー:パレスチナ人家族を住居から追い出そうとする入植者らの企てが続く中、日曜夜に東エルサレムで激しい衝突によって数十人が負傷した。
イスラエル警察が2日続けてシェイク・ジャラー地区に出動し、ファティマ・サレムさん一家の住居付近の通りや路地を封鎖し、水・機甲部隊・閃光発音筒・ゴム弾によって群衆を追い払おうとした。
同地区での入植者によるエルサレム住民への攻撃は深夜まで続き、一部の集団が住居へ投石したり、催涙ガスを噴射したり、イスラエルの旗を掲げたりした。また、街をうろついて歌い踊り、地元民たちを挑発する者もいた。
パレスチナ赤新月社によると、閃光発音筒、ゴム弾、催涙ガスによって31人が負傷したとのこと。負傷者の中には救急隊員3名、ジャーナリスト1名、外国人活動家2名が含まれている。警察はエルサレム住民11名を逮捕した。
イスラエルの極右議員イタマー・ベン・グビル氏がパレスチナ人の住居を奪おうとする入植者と連帯して自身の事務所を地区内に構えたことを受けて、同地区の緊張が高まった。
挑発が暴力に転じた後、イスラエル警察と、主に入植者を守るために配備されている国境警備隊がパレスチナ市民への攻撃に加わったことにより、衝突はさらに激化した。
シェイク・ジャラー地区で攻撃を受けた28棟のうちのひとつの家主アブドルファター・エスカフィさんは、状況はどんどん悪化していると述べた。
アラブニュースに対し「私たちをまとめて追い出すことに失敗した後、入植者たちの暴力がエスカレートしました」と語った。「1か所ずつ選んで、1軒1軒立ち退かせようとしています」
彼は日曜夜の出来事を「街路での戦争」だと表現し、イスラエル警察は入植者を守り、パレスチナ人を「過剰な力」で攻撃したと述べた。
「彼らは何の権利も有していないシェイク・ジャラー地区をどんな手段を使っても支配しようとしている」とアブドルファター・エスカフィさんは述べた。
ファタハ、ハマス、イスラム聖戦機構といったパレスチナの各勢力は入植者と警察による攻撃が続けば武力で対抗すると威嚇した。
ファタハ報道官オサマ・アル・カワスマ氏はアラブニュースに対し以下のように語った。「ファタハは組織メンバーと我々の民衆に、入植者と直接対峙し、シェイク・ジャラーのユダヤ化を目論み、市民を住居から追い出そうとする占領軍に立ち向かうためにシェイク・ジャラー地区に身を置くよう求める」
「我々は最前線においてパレスチアの領土を隅々まで全力で守り抜いている」
ファタハ中央委員会書記長のジブリール・ラジューブ氏はシェイク・ジャラーで緊張が続く原因は「イスラエルのテロ行為」にあるという。
同氏はアラブニュースに対し、イスラエルによる「占領下のエルサレムにおけるイスラム教、キリスト教、アラブ文化にかかわる全てを対象とした民族浄化」を非難すると述べた。
一方、パレスチナのマフムード・アッバース大統領は住居が襲撃を受けたファティマ・サレムさんと電話で話し、彼女とその家族への支援を表明した。
「我々は全身全霊をかけてあなたの味方で、我々の心と精神はあなたと共にあり、占領状態はまもなく解消します」と大統領は述べた。
アッバース氏はまた、エルサレム住人らの献身とイスラエル占領軍の横暴な措置に対する断固とした姿勢を称賛した。
最近のパレスチナ人に対する攻撃により、入植者とベン・グビル氏支持者による同様の挑発を受けて昨年5月に11日間続いたハマスとイスラエルの武力衝突のような事態が再び起こる恐れが高まっている。
ハマス報道官アブドゥルアティフ・アル・クアノウ氏はアラブニュースに対し以下の様に述べた。「シェイク・ジャラーの人々は孤独ではない。パレスチナの抵抗勢力は彼らを守る準備ができており、イスラエルの行いを注視している」
「同地区および占領下のエルサレムからの排除を繰り返す占拠を許すわけにはいかない」
イスラエル政府は建物28棟から約100家族を立ち退かせ、空いた建物を移住者のものにしようとしている。シェイク・ジャラー地区では現在、19家族100名ほどのユダヤ人が3棟の住宅で暮らしている。
シェイク・ジャラーでのここ数日の事件は、パレスチナ人が使用するソーシャルメディア上で大きな話題となっている。
同地区はエルサレム市内にあるため非常に重要であり、この街での事件はヨルダン川西岸地区やガザ地区での事件より影響が大きい。
この立地のために、イスラエル警察はヨルダン川西岸地区やガザ地区境界で軍が使用するような殺傷力のある武器をパレスチナ人に対して使うことができず、それによってシェイク・ジャラーでの抗議行動が長引いている。