
リヴィウ (ウクライナ) : 9日にウクライナの国営企業エネルゴアトムは、ウクライナのチェルノブイリ原発への電力が遮断された後に使用済み核燃料の冷却ができず、放射性物質が漏れる可能性があることを発表した。
2月24日にロシア側が本格的にウクライナへの侵攻を始めてから、チェルノブイリ原発はロシア軍に占拠された。戦闘のせいでチェルノブイリ原発につながる高圧送電線の修理作業がすぐにできなかったと、エネルゴアトムは発表した。
エネルゴアトムはまた、停電中に約20,000 個の使用済み燃料の冷却が不可能になると発表した。
使用済み燃料の温度が上がると「放射性物質が環境に漏れる可能性がある。放射能雲が風によって流されてウクライナのその他の地域、ベラルーシ、ロシア、ヨーロッパに広がりかねない」と、エネルゴアトムは文書で発表した。
電力がなければチェルノブイリ原発内の換気システムも動かすことができず、職員が危険なレベルの放射線に曝されることになると、エネルゴアトムは付け加えた。
8日に国連の原子力監視機関は、チェルノブイリ原発に残る放射性廃棄物施設で核物質の監視をしていたシステムからのデータ送信が途絶えたと警告した。
いまだに放射性物質が残る世界最悪の原子力事故が起きた現場は、キエフから100キロメートル (62マイル) 程離れた地点にある
1986年4月に行われた安全性試験中にミスがあり、チェルノブイリ原発の4号機で爆発が起こった。事故後、放射能雲がヨーロッパ全土に押し寄せた。
ロイター