ラシード・ハッサン
リヤド:EUは年内にロシアからのガス輸入を3分の2に削減する計画を立てているため、サウジアラビアおよび湾岸諸国が重要な役割を果たすことになると、駐サウジアラビアEU大使が述べた。
リヤドで記者会見を行ったパトリック・シモネ氏は、ロシアのウクライナ侵攻が続く中、EUはエネルギーのロシアへの依存を減らす新たな計画を打ち出しており、サウジアラビアなどの湾岸諸国がエネルギーパートナーとして重要な役割を果たすだろうと述べた。
EUの執行機関である欧州委員会は、ロシアからのガス購入量を年内に3分の2まで減らし、2030年までにロシアからの化石燃料購入を停止すると提言している。
湾岸地域のエネルギーパートナーなどを含む供給元の多様化や、再生可能な水素の生産量増加、家庭におけるエネルギー効率改善によってこれを実現すると、大使はアラブニュースへの回答で述べた。
EUは世界最大級の水素生産国のひとつであるサウジアラビアからのグリーン水素輸入を増やそうとしているという。
サウジアラビアは2030年までに400万トンの水素を生産することを目標としている。
EU大使は「このところガス生産に強力に参入し、この分野で多くのプロジェクトを立ち上げているサウジアラビアを筆頭とする湾岸諸国からの天然ガス輸入に向けて、議論や交渉が行われている」と述べた。
エネルギー供給元全般、特に再生可能エネルギーと水素ガスについて変更する新たな計画があるという。
大使は次のように述べた。「ガス輸入先をどの程度まで転換できるかについて、サウジアラビアや他の湾岸諸国と話し合う必要がある」
「欧州の計画には、他の供給元からガス輸入を続けることだけでなく、再生可能エネルギーへの投資とその輸入も含まれる」
大使はリヤドのEU事務所での記者会見の中で、EUがサウジアラビアをはじめとする湾岸諸国と非常に密接な関係にあることを指摘し、あらゆる分野でのさらなる関係拡大とパートナーシップ強化に向けた取り組みの必要性を強調した。
湾岸諸国との連携強化を目指し、湾岸協力理事会諸国とEU諸国の外相会議の勧告に基づいて、2023年1月初旬に効果的実施が始まる特別共同戦略が地域各国の間で策定されていると、大使は述べた。
「さまざまな分野が重要となっており、中でも商業投資、観光、エネルギー、地域の安全保障と安定の達成、そして気候変動問題の解決策提案、サウジアラビアが提唱する中東グリーン・イニシアティブをはじめとする各構想の支援が重要だ」
シモネ氏は、緊密な関係をさらに拡大するための重要な基盤となるのがサウジアラビアによる人道支援であると指摘し、同国は特にイエメン、シリア、アフガニスタンにおける人道支援において生きた手本となっているとした。
EU・湾岸諸国間の自由貿易交渉の再開について、同氏は次のように述べた。「現在進行中の技術的問題に関する検討を受けて、近い将来の交渉再開に向けた大きな動きがあり、最近ブリュッセルでこの問題について閣僚会議が開催された後、両者が再び交渉のテーブルにつくための道が開かれた」
大使は、交渉開始の時期については明言せずに、自由貿易交渉の再開を双方が強く望んでいると断言した。
シモネ氏は最新の統計を引用して、EUはサウジアラビアにとって2020年に約400億ユーロ(440億ドル)の貿易を行った最大の貿易パートナーのひとつであるとし、欧州企業は多様な経済・商業分野の全てにおける投資拡大を切望していると強調した。