
ダウド・クッタブ
アンマン:イスラエルが犯した戦争犯罪の調査を開始するとした国際刑事裁判所(ICC)の検察官の決定に対して、国際的な強い支持の声が上がっている。
5年間の審議を経て、ICCの検察官ファトゥ・ベンソーダの決定は、1967年から占領されているパレスチナの領土内における人権状況に関する国連の特別報告者マイケル・リンクの歓迎を受けた。
リンクはアラブニュースに対し、ベンソーダが特定した2つの事件、つまり、入植とガザでの武力衝突を巡る事件は、ハーグで裁判が行われることになる可能性があると語った。占領地で引き続き行われている違法な入植活動は、まさに戦争犯罪の定義そのものに当たり、民間人を占領地に移すことは、国際人道法の明確な違反だと語った。
国際法の教授であるリンクは、もし有罪となれば、民間人の占領地への移動を促した全ての当局者がその責任を問われることになると語った。責任は、違法な住居を建設する資金の調達に関わった「イスラエルの政治的・軍事的指導者および入植者に適用されることになる」と、彼は語った。
「入植問題に関しては、単純明快です:入植は国際法違反だという有力な主張が行われているのです」とリンクは語り、同様の判断が2014年のガザにおける戦争にも適用されるだろうと付け加えた。この戦争では1,500人のパレスチナ人が死亡することにつながった。
イスラエルおよびパレスチナのヒューマン・ライツ・ウォッチ代表のオマル・シャキルはアラブニュースに対し、入植および武装グループとイスラエル軍の双方によるガザでの戦闘の激化(の中で行われた)犯罪の捜査をICCが進め」られると検察官が判断するのは、かなり明白だったと語った。
先月イスラエルから強制送還されたことを受け、現在はアンマンに住んでいるシャキルは、この決定は、重要ではありながらも、調査が責任を追及することにつながるかどうかを判断するには時期尚早だと語った。
専門家の間で判断に迷いが生じている理由の1つは、ベンソーダの調査が犯罪管轄権を有するかどうかの審査の結果次第となっていることだ。シャキルは、遅れが生じていることを「被害者に対する正義を先延ばしにするだけの不必要な手続き上の動き」と呼んだ。
イスラエルには知らしめるべきだ... 国際法を書き換えようとする彼らの取り組みが失敗し、正義の輪が広がることを。
イスラエルおよびパレスチナのヒューマン・ライツ・ウォッチ代表のオマル・シャキル
リンクはこう付け加えた:「検察官は管轄権を問うことなく直接捜査に移ることができたはずです。予備調査の5年間に手続き上の問題を問うのであれば、弁解の余地はありません。同時に報告書は、何のお咎めもない状態がずっと当たり前になっているまさにその場所で責任を問う必要性を明確にしています」。
パレスチナのリヤード・マーリキー外務大臣はパレスチナのテレビに対し、遅れは120日以内に解決されるだろうと語り、次のように述べた:「決定は2020年4月までに行われるだろう」。
しかしながら、このことは問題を先延ばしにしてしまう可能性があると、シャキルは主張した。「スケジュールの問題は微妙な問題だと思います。正義と責任を問うスケジュールを予想するのは難しいことです。被害者は刑罰に問うことができないという壁に直面しています。さらにもう1日というのは長すぎます。深刻な犯罪の加害者には今すぐ裁きが下らなければなりません」と彼は語った。
アメリカとイスラエルの当局者らは、この決定に反対する声明を出し、一方のパレスチナの指導者はこれを歓迎した。アメリカはイスラエルの犯罪疑惑の問題に関して問題ある立場を何年も取って来たとシャキルは主張したものの、ICCは今、現在のイスラエル政府とその海外の友好国に対して、例えばヨルダン渓谷などの領土のさらなる併合は、国際社会から許容されないとする強いメッセージを送ったのだと指摘した。
「イスラエルには知らしめるべきです。これは、国際法を書き換えようとする彼らの取り組みが失敗し、正義の輪が広がるのだというイスラエル政府に対する明確なメッセージにすべきなのです。世界はもはや彼らの言い訳には騙されないと、イスラエル人は認識すべきです」。