
ブリュッセル: ブリュッセルで開催された会議で火曜、国際支援者らはウクライナ戦争が世界の注目を集める中でもシリアの危機が忘れられているわけではないと訴え、紛争で苦しむシリアへ67億ドルの寄付を約束した。
「本日、このイベントは特に困難な時期に開催されています」と欧州委員会近隣政策・拡大交渉担当のオリベル・バルヘリ氏は述べた。
「主要な支援者を含む私たちの社会と経済は、ウクライナで戦争が起こっているという衝撃に対処する一方で、未だパンデミックから回復しようと足掻いているところです」
約束された67億ドル( 64億ユーロ)は、昨年集められた64億ドルを上回る金額だ。この資金は、シリアの人々、そしてシリア難民に苦しむ周辺諸国を支援するものであり、ダマスカス政府のためのものではない。
「ヨーロッパで戦争が続く中でも、新型コロナウイルスによるパンデミックを経験していても、寄付者らは現在、シリアとその周辺地域に向けて、以前よりさらに多くのことをする準備があるという非常に強いメッセージを送っているのです」とバルヘリ氏は述べた。
寄付金の大部分は、ヨルダン、レバノン、トルコ、そしてエジプトやイラクへ逃れているシリア難民を支援するために使われる。
支援団体らは、ウクライナ戦争による世界の農産物供給への打撃がシリアの食糧難を悪化させる可能性があると警告している。
国連は、シリア危機への人道的対応を実施するため、2022年には105億ドルが必要になると報告していた。
国連シリア担当特使のゲイル・ペダーセン氏はブリュッセル会議で、「シリアの人々が今以上にあなた方の支援を必要としたことはありません」と語った。
ペダーセン氏は、ダマスカスが政治改革についての国際的な要求をほとんど満たせないままでいる中、大量のシリア人が難民として国外へ流出し続けていると報告した。
「経済危機が続き、たとえ軍の膠着状態のようなものがあったとしても、常に激化するリスクを伴いながら暴力が継続しています」と彼は述べた。
そしてウクライナでの戦争の影響により、外交は「以前よりさらに困難になった」と付け加えた。
欧州連合(EU)の外務・安全保障政策上級代表であるジョセップ・ボレル氏は「シリアを再建するために出向いて資金を使えば、それはシリア政府を支援することになる」と述べ、シリアのバッシャール・アサド大統領が率いる政府との国交正常化も、シリアの再建プログラムもあり得ないとした。
この会議には、約70か国の他、国連機関を含む複数の国際機関が集まった。ウクライナへの侵攻によって西側諸国の標的となったロシアは招待されなかった。
ボレル氏は追加資金10億ユーロ(11億ドル)を発表し、2022年の資金総額は15.6億ユーロに達した。これは昨年の約束と同じ額の支援だ。
バルヘリ氏によると、全体としてEUとその加盟諸国が公約したのは総額の75パーセントにあたる48億ユーロである。
米国のリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使は、ワシントンから8億ドルが提供されたと述べた 。
「ウクライナに多くの注目が寄せられていることを考えると、ニューヨークからここへ来て、シリアの人々を忘れていないと伝えることが重要だと思いました」と彼女は語った。
人道支援団体のオックスファムは約束された資金を歓迎したが、支援者は優先順位を改めて定める必要があると述べた。
「10年以上にわたり、緊急援助に過度な焦点が当てられるばかりで、食料や水の不足といった問題のための長期的な解決策がおざなりになってきました」と、オックスファムのシリア担当国別ディレクターを務めるムタズ・アドハム氏は声明で述べた。
「シリアの人々に必要なのは学校や病院、そしてしっかりとした、瓦礫や古い爆弾が転がっていない住居。それに、援助に頼らず家族を食べさせられるようになるための仕事なのです」
2011年に始まったシリア戦争は、今年で12年目を迎える。その間に50万人以上が殺害されたと推定されている。
ロシアとイランの支援を受けるアサド軍は統治に逆らう反乱軍と戦っており、そのほとんどはシリア北西部を拠点としている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、570万のシリア人が難民として登録されている。一方で国際連合児童基金(UNICEFに)は、930万人のシリアの子供たちが国内および周辺の広い地域の両方で援助を必要としていると指摘する。
AP