
メネクセ・トキャイ
アンカラ:不動産投資によりトルコ市民権を得ようとする外国人に対する最低投資額引き上げは、トルコ政府が国内の財政難を緩和するために行った新たな試みである。
トルコはこの引き上げにより経常赤字を克服し、外国人投資家の顔ぶれを変更することができると期待される。
一般向けの広告には、「6月3日までの期間限定で25万ドルを不動産に投資すれば、トルコ国籍を取得することが可能。イスタンブールで最も高く評価されているプロジェクトに参加し、トルコのパスポートと市民権を獲得しましょう」と書かれている。
トルコ国民を最も苦しめた住宅価格の高騰に対する批判が広がる中、政府は外国人が市民権を取得するために不動産に投資しなければならない最低金額を引き上げた。
この改正に伴い、40万ドル以上(従来の法律では25万ドル)の不動産を購入した外国人は、トルコ国籍を取得することができる。資金はトルコの銀行に預けられ、その住宅は3年間売却することができない。
条件を満たした外国人およびその配偶者と18歳以下の子どもは、自動的にトルコのパスポートを受け取ることができる。
外国人による住宅購入により、トルコの拡大する経常赤字を緩和し、不動産セクターや建設関連企業を下支えすることが期待される。
トルコの4月の財政赤字は前年度比で3倍となり、財政ギャップは502億リラ(32億3千万ドル)に達した。また、経常収支は55億ドルの赤字となった。
また、50万ドル以上または外国において等価の個人年金制度に加入し、3年間以上加入継続している外国人は、トルコ国籍を取得する権利がある。
改正法では、トルコ国内で50人以上に雇用を提供している外国人ビジネスマンや、トルコの銀行に50万ドルを預金し3年間引き出さなかった外国人もトルコ国籍を取得することができるとされている。
この法改正は6月13日から適用される。
当面、ロシア人、ウクライナ人および湾岸諸国の外国人がトルコの不動産セクターの上位顧客となる。彼らは、南部のリゾート地やイスタンブールの不動産買い占めを行っている。
ロシア人は今年3月に過去最多となる64社を設立し、この数字は前月の4倍である。
公的データによると、トルコで外国人買主に販売された住宅の数は年間58%に急増している。外国人購入者のトップはロシア人で1,152軒。次いで、イラン人、イラク人がそれぞれ905戸、714戸を購入した。
住宅販売を促進するため、トルコ国内の銀行もルーブル建て口座の開設を始めた。
1月から4月までの外国人向け住宅販売戸数は49%増加し、20,791戸に達した。
「市民権取得に必要な最低投資額が過去4年間で100万ドルから25万ドルに引き下げられたため、トルコ市民権取得の需要が高まった。しかし最低金額を40万ドルに引き上げることで、トルコ国内における外国人投資家への注目度も向上するだろう」と、市民権法を専門とするセレン・コラン・イミー弁護士は述べている。
しかし、外国人によるトルコの不動産市場への関心の高まりは、住宅価格を制御不能なレベルまで上昇させる危険性があると専門家は指摘している。
トルコリラの下落という要素も、外国人投資家から見たトルコの不動産市場をより魅力的なものにしている。
コラン・イミー弁護士はアラブニュースに対し、「不動産への投資を奨励するよりも、外国人による雇用機会の創出や革新的な新興企業の創立によって、トルコ経済に長期的な利益をもたらすことを求めていく必要がある」と述べた。
また、トルコ市民権を求める不動産投資が進んだ結果として外国人の子供の数が増加しているため、国は新たな教育・社会施設を提供するべきであると付け加えた。
「最近、家族でトルコに住んでいる外国の子どもたちや、新たにトルコ国籍を取得した子どもたちのための私立のインターナショナルスクールが急増している。」
World Tourism Forum Instituteの代表であるバラット・バグシー氏は、投資による市民権の提供はヨーロッパでは一般的であり、トルコも同様の道を選択していると述べた。
「ヨーロッパ、特にイギリスでの場合と比較すると、最低投資金額はまだ低い。しかし、住宅購入者は頻繁にトルコを訪れて観光地を巡るだろうから、トルコの観光業を下支えし観光収入の増加に繋がるだろう」とアラブニュースに語った。
しかし先月一部の野党議員から、外国人への不動産売却を一時的に禁止するとの動議が国会に提出された。
バグシー氏は、トルコ国籍を取得した外国人がホテルやその他観光施設を購入し、観光業に参入することを奨励すべきであると付け加えた。
また、「近隣諸国の紛争が長期化する中、トルコは外貨獲得のために観光収入を必要としている。一つ懸念されるのは住宅購入が悪用されることであり、これに対して厳しい規制を行い監視していく必要がある。市民権を取得した後に観光セクターから利益を得るため、住宅を売却するというケースをよく耳にする」と述べた。
近ごろ政府が住宅ローンを安く提供する新しいパッケージを発表した後で、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、トルコの不動産価格は厳しく監視されるべきであると発言した。