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リビアの外国人戦闘員、治安への脅威に―国連の専門家が指摘

2019年4月19日に撮影されたこの写真では、トリポリでのデモの参加者による、リビアの軍事的指導者ハリファ・ハフタル氏への抗議行動の様子が写っている。同氏は、国連が支援する政府との戦闘において、ロシアの傭兵を雇ったと言われている。(AFP)
2019年4月19日に撮影されたこの写真では、トリポリでのデモの参加者による、リビアの軍事的指導者ハリファ・ハフタル氏への抗議行動の様子が写っている。同氏は、国連が支援する政府との戦闘において、ロシアの傭兵を雇ったと言われている。(AFP)
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29 May 2022 06:05:29 GMT9
29 May 2022 06:05:29 GMT9
  • ロシアの民間傭兵企業「ワグネル・グループ」に対し、国際法違反との指摘が出ている。
  • 他の7つの武装集団は、報復のための不法拘留を行っているとして非難されている。

国連―国連の専門家らは、AP通信がこのほど入手した報告書の中で、リビアの治安が今、外国人戦闘員や、国際法に違反してきたロシアの「ワグネル・グループ」を中心とした民間軍事会社により、深刻な脅威にさらされていると指摘した。

専門家らは、7つのリビア人武装集団についても、拷問を禁じた法律を含めた国際法および国内の公民権法を無視し、組織的な不法拘留の手段を用いて、反対派とみられる人々を罰しているとして非難した。

AP通信が27日に入手したこの国連安全保障理事会への報告書において、専門家パネルは、特に「移民が人権侵害に遭うリスクが極端に高く、奴隷行為、強姦、拷問の危険に恒常的にさらされている」と記した。

石油資源が豊富な北アフリカ地域に位置するリビアは、北大西洋条約機構(NATO)を後ろ盾とする暴動が2011年に勃発した後に混乱状態に陥り、ムアンマル・カダフィ独裁政権が倒れ、カダフィ氏は後に殺害された。これによりリビアは、リビア軍司令官のハリファ・ハフタル氏率いる政府と、国連が支援する首都トリポリの政府に分裂した。敵対する両政権は、それぞれ異なる軍事組織と外国勢力の支援を受けている。

2019年4月、エジプトとアラブ首長国連邦の支援を受けたハフタル氏とその軍隊は、首都トリポリを攻撃し占領しようとした。これに対し、トルコが国連を後ろ盾とする政府側への支援を強め、数百の部隊と数千人のシリア人傭兵を送り込んだため、ハフタル氏の試みは失敗に終わった。

2020年10月の停戦協議を経て、2021年2月、リビア臨時政府を発足させることで両政府側が合意。昨年12月24日に、国の統一を目指す選挙を行う予定だった。しかし、選挙は撤回され、リビアは今も二つの政権が対立し、二人のリビア人がそれぞれ首相であると主張している。

停戦合意には、すべての外国人戦闘員および傭兵の迅速な撤退が盛り込まれていたが、前出の専門家パネルは、「現在まで、大規模な撤退が行われたという検証可能な証拠はほとんどない」とした。

報告書では、チャドの反政府グループがリビアで活動し、スーダン人戦闘員がハフタル氏に雇われたとされている。専門家パネルは、トルコが支援するシリア人戦闘員がトリポリの政府軍駐屯地に存在したとみている。一方で、ハフタル氏に関係するシリア人戦闘員が、ワグネル・グループの戦闘員と共に、リビア北部の戦略的都市であるスルトと近隣のジュフラで活動している。これらのシリア人の少なくとも300人が本国に戻り、その300人がハフタル氏側によって置き換えられた形跡はなかった、と報告書は記した。

パネルは、ワグネルの戦闘員の展開状況と、軍事作戦をサポートする武器と関連物資の移転について調査を続けるとした。

ワグネル・グループは、自ら単なる民間の軍事契約業者だと主張して活動し、ロシア政府も同グループとの関係を否定している。しかし、アメリカは、エブゲニー・プリゴジン氏をワグネルの資金提供者と特定している。同氏はオリガルヒ(ロシア新興財閥)の一人で、ロシアのウラジミール・プーチン大統領に近いとされる。

国連専門家パネルは、ワグネルの傭兵がリビアの戦場に残したサムスン電子製タブレットについて調査・検討している、と述べた。このタブレットは2021年初頭にBBCが入手し、本物であると認定されたものだ。これには、標識のない35個の対人用地雷の位置が示された、トリポリ南部アインザラ地区の地図が含まれていた。この地区は当時、ワグネルが支援するハフタル氏側の支配地域下の前線地域となっていた。

いくつかの地雷は、それまではリビア国内にあると報告されていなかったものだった。そのため、これらの地雷の移転は、国連の武器輸出禁止措置に違反している、と同パネルは述べた。さらにパネルは、地雷除去活動中、ブービートラップの地雷が爆発し、2人の民間人の除去作業者が死亡した、と付け加えた。

国連の専門家らは、トリポリ南部の主にワグネルが占有していた場所から、対戦車地雷を回収したとの情報も受けた。

パネルは、対人および対戦車地雷を目に見える形でマーキングし、当該地域の市民にその位置を警告しなかったことは、ワグネルによる国際人道法違反行為にあたると述べた。

パネルは、ワグネルのタブレットには、調達が実行されれば、武器禁輸措置に違反する可能性のあるドローンと戦車を含めた軍事資材の要請リストも含まれていたと述べた。しかし、そのうちの何らかの資材が実際に届けられたかどうかは分からなかったという。

専門家パネルは、2021年3月から2022年4月終わりにかけて、国連禁輸措置に違反した18例の武器移転と、同じく4例の軍事訓練が特定されたとした。これらの実例の中には、コモロ船籍の「Luccello」(ルッチェロ)が含まれている。この船は、装甲車両100台をベンガジのハフタル政権側に輸送した。

専門家らは、4人の移民が、人身売買組織が管理する秘密の拘留施設で人権侵害の被害に遭ったとした。この施設は、リビア砂漠のタジルブとリビア北西海岸に近いバニワリードにあった。被害者は奴隷化され、激しく殴打されていたほか、時間をかけて飢餓状態に陥れられ、治療も受けていなかった。

「拘留施設に収容されていた当時14歳と15歳の2人の少女は、パネルに対し、複数の人物から繰り返しレイプされたとも証言した。バニワリードの秘密の拘留施設で18ヵ月以上にわたり、性的な奴隷にされたほか、その他の形の性犯罪被害者になっていたのだ」。報告書はこのように記した。

また、パネルは、政府が運営するシャラ・アルザーウィア拘留施設において、最も弱い立場にある移民を守る責務を負う守衛が、2021年1月から6月にかけて同施設に拘留されていた「女性や少女へのレイプ、性的搾取、レイプの脅しの恒常的行為に直接加わるか、またはそのような行為に対して見て見ぬふりをしていた」と述べた。

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