
ベイルート:カルロス・ゴーン元日産CEOのレバノン人の隣人は、日本からの突然の帰還を歓迎したが、反政府活動家は、この元大物実業家は腐敗したエリート層に属しているとして非難している。
レバノンの首都の高級住宅地にある、自動車業界の元大物実業家のこの国での住居とされるピンク色の別宅前の交通は、普段通りであるようであった。
ゴーン氏が家の中にいるかどうかをAFP はすぐに確認することができなかった。淡いブルー色のシャッターは開いていたが、黒い鋼鉄製の門はしっかりと閉じられていた。
ブラジル生まれの65歳の実業家は、金融不正行為などの罪で裁判待ちの保釈中であった日本の「不公正」を逃れてきたのだと述べた。
通りの角で、レネと言う50代の店主はゴーン氏が大晦日に戻ってきてくれて嬉しいとを語った。
「不公正は受け入れられない」とレネ氏は言う。同氏はまた、この大物実業家は、自分の息子の高校の卒業式の主賓だったと述べた。
「彼らは彼を不当に扱かった。人は有罪が立証されるまでは無実であり、その逆ではない」と、彼は、彼の妻が近くに座った時、静かに付け加えた。
「多額の負債のある自動車会社を引き受け、利益を上げ世界有数の企業の1つに回復させた人を、日本はこのように待遇することはできない。」
多くのレバノン人は、ゴーン氏のことを、同国の大規模な海外移住の象徴であり、レバノンの企業家精神あふれた天才の最たるものであると考えており、 2018年11月に突然逮捕されたことにはショックを受けていた。
ゴーン氏は、日本の拘置所で130日間収監された後保釈されたが、レバノンへの渡航は、日本での彼の主任弁護士さえも唖然とさせた。
彼は、給与の一部を退職後まで延伸して株主から隠蔽し、私的目的で数百万ドルの日産の現金を流用した嫌疑を掛けられている。
火曜日には、コートやウールの帽子をかぶってベイルートのピンク色の家の外に集まったジャーナリストは、警備員がバイクに乗って敷地から急いで出ていくのを見ている。
身元不明の白髪の男性がその家に近づいて、門の鉄格子を通して手紙を差し入れた。
その後すぐに、治安部隊に所属する2台の車両が止まり、高官が短時間敷地内に足を踏み入れてから、通りに戻った。
隣のビルで、匿名を希望する50代の金髪の女性は、日本でのゴーン氏の事件の取扱いには愕然としたと語った。
「彼らは、彼をこのように待遇することはできない」と彼女は言った。
「私たち、彼の隣人は、彼を大いに尊敬している。レバノン人にとって、彼は成功の最高の例なのです」と語った。
テレビ番組のホストのリカルド・カラム氏はツィーターで、元自動車会社エグゼクティブを擁護した。
「カルロス・ゴーン氏は大晦日に自由に戻った」と語った。
「全ての人は、人権と真実を高らかに伝える機会を持つに値する。人類よ、おめでとう!」
ゴーン氏は、一貫して全ての容疑を否認してきたが、彼と彼の弁護士は、日本では公正な裁判を受けないとの懸念を繰り返し表明してきた。
しかし、レバノンの活動家たちは、ゴーン氏の帰還は、政治的・経済的な二重の危機に直面している国にとって最後の望みだったと、ソーシャル・メディアで述べた。
レバノン人は、政治家たちが新内閣をめぐる議論をし、無能で腐敗したとみなされる政治エリートに対する前例のない6週間にわたる抗議運動が続く中、じりじりと不足していくドルに直面している。
政治的・告白的背景を持った抗議者たちは、国の指導者たちが公的資金を流用していると非難してきた。
「カルロス・ゴーン氏は、この国にはまだ十分な窃盗犯がいなかったように、突然私たちの元に舞い降りてきた」とベイルート・アラブ大学のアリ・モウラド助教授は、 フェースブックで述べている。
映画監督のルシアン・ブルジェイリー氏は、ゴーン氏がレバノンの司法制度に救いを求めたことには驚きはしないと語った。
ゴーン氏は「彼は、「不正な」日本の司法制度を逃れてきたと述べた」と ブルジェイリー氏はツイッターに書いている。
「何十億もの公的資金が毎年横領されても、政治家を汚職の罪で刑務所に入れたことのない「効率的な」レバノンの司法制度の心地良さを、彼は求めて来たのだ」と、彼は語った。
ミュージシャンのジヤド・サハブ氏は、ゴーン氏が「窃盗犯を育てる環境」に戻ってきたとフェースブックに書いている。
「我々は、盗まれた資金の返還を要求しているが、資金を盗んだ人は要求していない」と、同氏は述べた。
AFP