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トルコ ロシアの反対を受けシリア攻撃を延期

2022年7月2日、アレッポでパレードする、トルコに支援されたシリアの反体制派戦闘員。トルコは、ロシアの反対により、クルド人勢力に対する新たな攻撃計画を延期している。(AFP)
2022年7月2日、アレッポでパレードする、トルコに支援されたシリアの反体制派戦闘員。トルコは、ロシアの反対により、クルド人勢力に対する新たな攻撃計画を延期している。(AFP)
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03 Jul 2022 02:07:15 GMT9
03 Jul 2022 02:07:15 GMT9
  • タルリファトとマンビジュでの軍事作戦の可能性に、地域関係者が懸念を表明
  • 「急ぐ必要はない。その必要はない」と、トルコのエルドアン大統領がマドリードで記者団に語った

メネクセ・トキャイ

アンカラ:トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は金曜日、武装クルド人に対する新たな軍事作戦の実施を急ぐ必要はないと述べた。

しかし地域の関係者は、トルコによる、タルリファトとマンビジュの町に対する攻撃の可能性について懸念を示した。

「急ぐ必要はない。その必要はない」と、エルドアン大統領はNATO首脳会議と並行して、ジョー・バイデン米大統領と会談したマドリードで記者団に語った。エルドアン大統領は、計画されている作戦のタイムラインは明かさなかった。

攻撃の可能性は高い。専門家は、トルコがシリアのクルド人民防衛隊(YGP)に対する軍事介入を行うには、ロシアの後ろ盾がまだ不足していると考えている。トルコ当局はYPGを、非合法のクルド労働者党(PKK)に直接つながるテロ組織とみなしている。

アンカラにあるシンクタンクORSAMのシリア研究コーディネーター、オイトゥン・オルハン氏は、ロシアがこの作戦を支持しなかったことが依然として大きな障害になっていると指摘する。

「トルコは、世界がウクライナ戦争に注目している隙に、そして何千人ものロシア軍がウクライナから撤退した後に、シリアへの軍事攻撃を開始することを決定した。しかし、ロシアはトルコの作戦にゴーサインを出すことで、ウクライナとシリアの両方で弱みを見せるリスクを冒すことはできない」と彼はアラブニュースに語った。

オルハン氏は、トルコはYPGによる攻撃への報復として、トルコとシリアの国境沿いの標的を攻撃したにすぎないと指摘した。

「私は、シリア国軍が地上軍を務め、トルコ軍が空からの支援を行うような大規模な作戦の実行は予想していない」と述べた。

トルコは過去に同地域で3回の軍事作戦を実施したことがある。2016年の「ユーフラテス・シールド作戦」、2018年の「オリーブ・ブランチ作戦」、そして2019年の「平和の泉(ピース・スプリング)作戦」である。

トルコの軍事作戦の可能性を前に、6月上旬からシリア北部でロシアとシリア政権双方の兵力が増加している。

イランもまた、同地域でのトルコの軍事作戦に反対する姿勢を強く打ち出している。

イラン外務省のサイード・ハティブザデ報道官は最近、次のように述べた。「シリアの件は我々とトルコの争点となっている」

トルコが新たな攻勢を仕掛けるとの警告を受け、イランの外務大臣が土曜日にダマスカスを訪問した。

「イデオロギー的、戦略的観点から、イランはシーア派の居住地、特にヌブリとアルザラ、2つのシーア派の町を保護することを重要視している。そして、タルリファトでは、YPGとともに戦うシーア派民兵もいる」とオルハン氏は述べた。

「しかし、現時点では、イランの懸念よりもロシアの立場の方がトルコにとって、はるかに重要だ。なぜなら、ロシアはシリア北部の空域を支配しており、トルコの作戦を実行する前にロシア軍を撤退させなければならないからだ」と彼は付け加えた。

一部の専門家は、トルコが最近のワシントンとの交渉で、シリアにおける軍事作戦の可能性を交渉材料として使ったと指摘している。ホワイトハウスの公式声明によると、6月29日にエルドアン氏がバイデン氏と会談した際、彼らはシリアの安定を維持することの重要性について議論したという。

米国が支援するYPGを中心とするシリア民主軍(SDF)は、シリア北東部の大部分を依然として支配している。シリアのクルド人は、ワシントンからは、ダーイシュに対抗する重要な同盟者とみなされている。

バイデン政権は、トルコの安全保障上の懸念を認めると繰り返し述べているが、トルコのシリア北部における作戦の展開は米軍を危険にさらし、ダーイシュとの戦いを弱体化させる可能性があると警告している。

ドイツ国際安全保障問題研究所(SWP)のCATSフェロー、ハミドレザ・アジジ氏は、これまでの経緯を踏まえれば、トルコの作戦実行は不可避だと考えている。

「遅かれ早かれそうなる。トルコの指導者たちは、同国がシリア北部における直接の脅威とみなすものについて工作してきた。何らかの軍事作戦が行われることは予想できるはずだ」と彼はアラブニュースに語った。

「しかし、その作戦の範囲は推測の域を出ない。というのも、当初、トルコ政府関係者はタルリファトとマンビジュからユーフラテス川東部までの広大な地域について話していたが、ユーフラテス川東部への作戦拡大に関しては、米国の反対を受けて考え直したからだ」とアジジ氏は述べた。

アジジ氏は、トルコの勢力圏を拡大することを主目的とした、限定的な作戦が実施されると予想している。

トルコの当初の計画は、南部の国境沿いに幅30キロメートルの安全地帯を設定することであった。YPGを押し返すためと、約100万人のシリア難民をより広い安全地帯に送還することが目的だ。

エルドアン大統領は最近、シリア人が故郷に戻れるようにするための復興計画を発表した。

アジジ氏は、この作戦実行の可能性をめぐる「主な摩擦」はイランとトルコの間に生じると考えている。

「イランが心配しているのは、トルコ、もしくはトルコの支援を受けた部隊がタルリファトを支配した場合、彼らはイラン勢力が存在するアレッポにアクセスでき、さらにシリア中央部にもアクセスできるようになるからだ」

イランは今でもシリアのアサド大統領の重要な同盟国であると同時に、トルコにとって重要な貿易相手国でもある。

アジジ氏は、トルコがイランの懸念を払拭するような新しい計画を打ち出さない限り、イラン側から、その代理勢力による間接的なものではあるが、反応があるだろうと予想している。

「このような動きは、トルコがアラブ諸国との関係をさらに強化し、イスラエルとさらに協力する方向に向かう可能性がある」と同氏は述べた。

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