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両国により湾岸での準備が進められる

2019年9月25日、ニューヨークにて開催された第74回国連総会でハッサン・ロウハニ大統領のスピーチに耳を傾けるイラン外務大臣モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ。(AFP)
2019年9月25日、ニューヨークにて開催された第74回国連総会でハッサン・ロウハニ大統領のスピーチに耳を傾けるイラン外務大臣モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ。(AFP)

湾岸は2つの未解決の戦いに直面している:イランがその石油のほとんどを輸出することを防止する戦い、そしてサウジの石油施設への攻撃だ。

アメリカに関しては、より厳しい経済制裁を除き、イランに関する決定事項は象徴的なものだ。これらには外務大臣モハンマド・ジャヴァード・ザリーフのニューヨークでの移動可能範囲を国連ビルを中心として6本目の通りまでの圏内に制限することや、イランのエリート支配階級の息子たちのアメリカ留学・訪問の禁止等が含まれる。これらの決定は重要度の高いものではなく、実際はトランプ政権がイラン人を狙っているといつも非難しているテヘランのプロパガンダに有利に働くものだ。

テヘランが敵味方関係なく保険料を上げ、湾岸海域の海運・航行会社に恐怖心を植え付けているようなときに、これだけのことが起こっている。イランはまた世界最大の石油輸出国サウジアラビアの石油施設を標的にし、バグダッドのアメリカ大使館近辺を砲撃した。

テヘランはまたバグダッドの外交官を通じて、イラクの米軍施設を標的にすることを明言した。イランはアメリカ、イギリス、オーストラリア、その他西側諸国のパスポート保有者を逮捕し、臆することなくこれを交渉材料にしてきた。

誘拐や民兵の採用、ついにはサウジの石油施設の爆撃までに至るこのような攻撃的な行動により、イランはアメリカに経済制裁を突きつけられてきた。毎月何十億ドルの損失を生んでおり、テヘランの政権にとっては間違いなく痛手であろう。

しかし制裁が終わったようには見えない。双方で、誰の目にも明らかに準備が行われている。これには湾岸海域でイランの攻撃から航路を守るための国際的海軍連合の結成も含まれる。アメリカは提案の海軍艦隊に湾岸諸国・西側諸国数カ国の参加を確保している。テヘランは対抗連合を呼びかけているが、詳細はまだ不明だ。

アメリカの政治家が次の大統領選挙に没頭しているところに付け入り、イランが軍事行動をエスカレートさせることは驚きに値しない。アメリカの経済制裁は約1年半の間に徐々に適用されてきたが、テヘランは故意に報復を遅らせてきたように見える。アメリカの選挙シーズンを待って、最終手段として軍事的にエスカレートし、敵意を高める狙いかもしれない。

イランの政権はなぜこうも大胆になったのか? 制裁により国内へのダメージと共に、国外における軍国主義にも傷がついた。同盟国のイラクを除く外国の傭兵の資金も必要だ。イラクの民兵の出費や活動は、イラクの財務省が負担する。

テヘランの大胆さは、一部にはイラン政府内の力関係が徐々にだが著しく変化してきていることを反映している。高官たちは権力が増し、上層部のポジションを手にしている一方、いわゆる穏健派の役割は減退している。

この流れで、ザリーフは昨年2月、カセム・ソレイマニ准将による妨害への抗議として、ソーシャルメディアで辞任を発表することになったが、後に撤回した。これは続行中の内部の権力争いの一部である。イランの最高権力者が老いるにつれ、権力と影響力のための争いは間違いなく増加するだろう。

  • アブドゥルラーマン・アル・ラシードはベテランのコラムニストである。ニュースチャンネルのアル・アラビーヤにて元ジェネラルマネージャー、アシャラ・アル・アウサトにて元編集長を務めた。Twitter: @aalrashed

https://www.arabnews.com/node/1561551

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