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レバノンとイスラエルの海上国境係争が再び表面化

イスラエルとレバノンの国境地域(ラス・アル・ナクラ)のロッシュ・ハニクラ沖で撮影されたイスラエル海軍の艦船。(AFP)
イスラエルとレバノンの国境地域(ラス・アル・ナクラ)のロッシュ・ハニクラ沖で撮影されたイスラエル海軍の艦船。(AFP)
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04 Jul 2022 04:07:11 GMT9
04 Jul 2022 04:07:11 GMT9

ナジャ・フーサリ

  • 米国の調停役アモス・ホッホシュタイン氏は3月にレバノンに対し、ジグザグに引いたライン23に基づいて海上国境を画定することを提案していた

ベイルート:土曜日の夜に発生した安全保障上の展開により、レバノンとイスラエルの海上国境係争が再び表面化した。

イスラエル軍のアビチャイ・アドリー報道官は、レバノン側からイスラエルの経済水域上空に接近したドローン3機を戦闘機とイスラエルのミサイル船が迎撃したと発表した。

ヒズボラの軍事部門「イスラム抵抗」は、声明の中でこの事件を追認した。「殉教者ジャミル・スカフ氏とマフディ・ヤギ氏らのチームが、偵察任務実行のため、大きさの異なるドローン3機を係争海域のカリシュ・ガス田上空に向かって飛行させた。任務は達成されメッセージは伝えられた」

この動きに対しレバノンはほぼ沈黙を保ったが、アブダラ・ボウ・ハビブ暫定外相は、海上国境問題に関して9月に合意に達する可能性があり、米国と国連からの情報によると交渉に進展があったと述べた。

米国の調停役アモス・ホッホシュタイン氏は3月にレバノンに対し、ジグザグに引いたライン23に基づいて海上国境を画定することを提案していた。

レバノンは同氏に対し口頭で返答したが、イスラエルの回答を待つため内容は明らかにされていない。

ミシェル・アウン大統領が法令第6433号の修正案に署名していないため、レバノンはライン29(カリシュ・ガス田を含む)を同国の海上国境として承認することができていない。

法令第6433号は2011年に制定されたもので、ライン23をイスラエルとの海上国境画定交渉のベースとすると規定している。しかし、アウン大統領はライン29をベースにすべきだと考えている。

ライン29が国境線とされた場合、推定1430平方キロメートルの領域が追加でレバノン領有となる。国連に寄託された法令に従うと、レバノンは係争海域のうち860平方キロメートルのみを得ることになる。

アヤトラ・ハメネイ師のレバノンにおける法的代理人であるモハメド・ヤズベック氏は日曜日に次のように述べた。「レバノンの富の保全は、我々の強さを敵に知らせることによってのみ達成できる。そのメッセージはドローンによって伝えられた。このメッセージはイスラエルの敵だけでなく米国の調停役にも向けられたもので、レバノンの権利を過小評価したり愚弄したりはできないことを理解せよというものだ」

元国会議員のファレス・スワイド氏は次のように述べた。「カリシュ上空に飛ばされたヒズボラのドローンは、米国の支援のもとでレバノンの利害を犠牲にして進行中のレバノンとイスラエルの海上国境画定交渉におけるイランのプレゼンスを、全当事者に思い起こさせることを狙ったものだ」

「ヒズボラが追認した今回の事件は再び起こる可能性があり、さらに深刻な事件が起こるかもしれない。したがって、イランによる占領の問題を国会で提起するよう国の代表らに求める」

イスラエルのヤイール・ラピード首相は日曜日、ヒズボラはレバノンとイスラエルの合意にとっての「障害」だと述べた。

「ヒズボラはテロの道を進み続けており、海上国境に関して合意に達するレバノンの能力を毀損している」

イスラエルは引き続き国と国民とその利益を守っていくという。

イスラエル軍は、ヒズボラは陸海空においてイスラエルの主権を毀損しようとしていると述べ、「経済水域はイスラエルの一部であり、係争地帯ではない。問答無用だ」と付け加えた。

イスラエルのイェディオト・アハロノト紙は、ドローンはカリシュ・ガス田付近を飛行したと報じた。1機は戦闘機に撃墜され、残り2機はミサイル船から発射されたバラク8ミサイルによって破壊されたという。

同紙によると、ヒズボラは複数種類のドローンを低高度で飛行させた。海軍と空軍の連携により監視・迎撃された。

同紙が引用したイスラエル軍の発言は次の通りだ。「ドローンが非武装で脅威ではないことは初期の評価で示されていた。これはレバノンとの海上国境交渉を毀損しようとする試みだ。ヒズボラはレバノンを破壊したいのだ」

同紙によると、ヒズボラは以前にもドローンをイスラエル領内に飛ばしたことがあるが、同様の作戦がカリシュの浮体式ガスプラットフォームに対して実行されたのは土曜日の夜が初めてだった。カリシュからはまだガスは採掘されていない。

「今回の事件は、指導者ハッサン・ナスラッラー氏がここ数週間に行った脅迫を実行に移すことができるというヒズボラからイスラエルへのメッセージだ。米国の調停役アモス・ホッホシュタイン氏の努力による海上国境画定の進展をよそに、ヒズボラはこれらのドローンを飛ばすことでレバノンの利害に反した行動を取った」と同紙は述べている。「今回の事件は、交渉に違反しただけでなく、レバノン国民の合意やコンセンサスなしではいかなる行動も取らないという自らの立ち位置にヒズボラが違反したことを示している」

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