
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンが深刻な政治的行き詰まりを回避しようと努める中、フランスの駐レバノン大使はミシェル・アウン大統領に対し、後任者の選出に関する憲法上の期限を尊重するよう求めた。
アンヌ・グリロ大使は、水曜日のアウン大統領との会談において、同大統領の任期が10月31日に終了する後の大統領の空位の可能性への懸念が高まる中でのフランスの立場を明確にした。
同大使は、「ベイルート港爆発事故の追跡調査と責任追求に加え、経済・財政状況の回復のために必要な法律の国会承認を加速することの重要性」を強調した。
新大統領が選出されるまで、レバノンは新政府を発足させるうえでの政治的行き詰まりに直面する。
一方、国会は大統領選出のための会期を9月に開始する予定だ。
首相に指名されたナジブ・ミカティ氏がアウン大統領に対して彼が言うところの「完全装備の」政府の発足を提示しているにもかかわらず、ジブラーン・バシール氏率いる自由愛国運動(FPM)がミカティ氏に反対するキャンペーンを開始したため、政府はまだ発足していない。
アウン大統領に近い関係者によると、エネルギー相のポストがキリスト教系のFPMに関係する人物に与えられていないために、同大統領は組閣案を拒否しているという。ミカティ氏はFPMに関係のないスンニ派の人物を同ポストに提案しており、財務相のポストはシーア派のヒズボラとアマル運動に確保している。
バシール氏は、「ミカティ氏は新政府を発足させたくないのだ。退陣した自分の暫定政府を維持するために憲法の抜け穴を探している」と述べた。
大統領が空位になった場合にミカティ氏が大統領の権限を首相に移譲させることを決定すれば、現在のFPM関係の閣僚らが暫定政府を辞任して政府は正当性を失うかもしれないという噂が広がっている。
しかし、憲法の専門家であるサイード・マレク氏は、既に退陣した政府から辞任しても何の意味もないと言う。
「憲法上の原則は、この公的機関の継続性を明記している。この場合、新政府が発足するか他の閣僚が代わるまで閣僚らはポストに留まるべきではないだろうか」
「一方的に辞任すれば、職務不履行の罪で国会から責任を追求され訴追される可能性がある」
政治的行き詰まりという意味では、国の機関は公務員による新たなストライキに直面している。
ガソリンスタンド経営者連合会のメンバーであるジョルジュ・ブラックス氏によると、石油総局の職員によるストライキのせいで燃料価格表が発行されないという。
レバノンの燃料小売業・ガソリンスタンド組合の代表ファディ・アブ・シャクラ氏は、「ストライキが続けば、公務員が仕事をしないため輸入ライセンスが停止され、燃料船による輸入が止まってしまう。事態は深刻だ」と語る。
裁判官の給与を1ドル8000レバノンポンドの為替レートに基づいて支払うという新たな措置がリークされたことで危機が悪化している。今は1ドル1507レバノンポンドの公式レートに基づいて給与が支払われているが、レートが変わると給与が実質大きく上がることになるのだ。
2019年の経済危機以前はレバノンの裁判官の給与は約5000ドル相当(750万レバノンポンド)だったが、レバノンポンド下落により150ドル相当になった。裁判官の給与が1ドル8000レバノンポンドのレートに基づいて支払われる場合、937ドル相当となり、レバノンの大学教授、高位の公務員、軍将校の現在の給与よりはるかに高くなる。
ナビ・ベリ国会議長は水曜日、金融・経済の低迷を超える崩壊につながるとして、異なる公共部門の職員に対する差別化措置を全て停止するよう求めた。
公務員は、給与、各種手当、交通費支給、補償金を、実勢とインフレ率に応じて増額するよう求めている。
水曜日、財政総局の各部局長は、財務総局、予算・支出管理総局、行政管理総局と連携して、財務省職員の給与が1ドル8000レバノンポンドのレートに基づいて引き上げられ、交通費支給が新たなガソリン価格に応じて増額されるまでストライキを行うと発表し、抗議運動に加わった。
「発展と自由化」連合のメンバーであるモハメド・カワジャ議員は、裁判官の給与に関するレバノン銀行総裁の決定を賄賂だと評した。
ハリマ・カークール議員は、部門ごとに異なる為替レートを採用するべきではないと警告し、職員を正当に扱いインフレから守る包括的な復興計画の範囲内で公務員の給与を修正する必要性を強調した。