
エルサレム時事: イスラエル訪問中のバイデン米大統領は14日、エルサレムでラピード首相と会談し、核合意再建交渉が難航するイラン情勢やイスラエルとアラブ諸国の和平推進を中心に協議した。両首脳は会談後、イスラエルを敵視するイランによる核兵器獲得を米国が決して容認せず、阻止に向け「国家のあらゆる力を使う用意がある」とする共同宣言に署名した。
バイデン氏は共同記者会見で、核交渉継続の必要性に言及する一方で「イランからの反応を永遠に待ち続けることはない」と述べた。イスラエルは交渉をめぐり、米欧がイランに譲歩する展開を強く警戒している。
宣言では、イスラエルとアラブ諸国の和平を「深化、拡大させる」ことを確認。イスラエルは2020年にアラブ首長国連邦(UAE)などと関係正常化合意を果たしており、域内大国サウジアラビアとの将来の正常化も念頭に「イスラエルの(中東)地域への統合を進める」方針を提示した。
宣言は米・イスラエルの従来路線を踏襲しており、バイデン氏は大統領就任後初となる今回の中東歴訪で、改めて両国の協調姿勢を内外に示した形。両国はウクライナ情勢への懸念も共有した。パレスチナ問題については、パレスチナ国家樹立を認める「2国家共存」に対する米国の支持を確認するにとどまった。
バイデン氏は15日から16日にかけ、イスラエルの占領下にあるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区と、サウジを訪れる。一連の訪問が、パレスチナやサウジとイスラエルの関係改善につながると期待されている。
時事通信