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UAEの火星探査ミッションのプロジェクト・マネージャーが「宇宙協力」の時代の到来を告げる

エミレーツ・マーズ・ミッションのプロジェクト・マネージャー、オムラン・シャラフ氏。(提供)
エミレーツ・マーズ・ミッションのプロジェクト・マネージャー、オムラン・シャラフ氏。(提供)
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20 Feb 2021 06:02:56 GMT9
20 Feb 2021 06:02:56 GMT9
  • アラブ諸国初の惑星間ミッションは、データを世界の科学コミュニティと共有するだろう

アラブニュース

ドバイ:今月、3機の宇宙探査機の最後の1機が火星に接触した後、世界で最も新しい、宇宙旅行をした国が、新たな「宇宙協力」の時代の到来を告げている。

アラブ首長国連邦は2月9日、探査機「ホープ」を使い、火星の周回軌道に入ることに成功した世界で5番目の国となり、歴史的な偉業を成し遂げた。アラブ諸国による初めての惑星間ミッションだ。

エミレーツ・マーズ・ミッションのプロジェクト・マネージャー、オムラン・シャラフ氏が、軌道投入が成功したと発表したとき、ドバイの現場は歓喜に満ちた。このチームのエンジニアたちの画像が、世界一高いタワーであるブルジュ・ハリファの側面に投影された。

UAE宇宙庁の設立から7年も経っておらず、エミレーツ・マーズ・ミッションのチーム・メンバーの平均年齢が27歳であることを考えると、信じられないほどの偉業だった。

火星への関心が高まっているときにそれは行われた。中国の宇宙探査機「天問1号」は2月10日、24時間も経たないうちに軌道投入に成功し、18日にはNASAの火星探査車「パーサヴィアランス」が火星の表面に着陸した。

UAEが軌道投入に成功した1週間後、シャラフ氏は「まだ寝不足だ」とアラブニュースに語った。同氏のチームは、探査機「ホープ」が軌道に乗った5日後、火星の1枚目の画像を公開するため、週末ずっと作業をした。

シャラフ氏のチームは、探査機「ホープ」が軌道に乗った5日後、火星の1枚目の画像を公開するため、週末ずっと作業をした。(提供)

写真には、火星の北極や太陽系最大の火山、オリンパス山など、火星の最も顕著な特徴の一部が映っている。

「この写真に写っているものは、火星の地表から2万5000キロ上空にいたら、肉眼で見えるものです」とシャラフ氏は話した。

だが、この写真は探査機の未校正カメラで撮られたものなので、火星の最高の画像はまだ手に入っていない、と同氏は述べた。

シャラフ氏は、チームは軌道投入の28時間後にこの画像を受け取ったと話し、同氏がそれを見て「安心した」ことを認めた。

「この画像を見ながら、一人の人間として、このミッションから得られる科学的知見に本当に感謝しました」と同氏は話した。「画像があると、自分が実際にそれをやったということが分かります」

シャラフ氏によると、今回のミッションで集められたデータを最初に集めたものが9月に世界の科学コミュニティに公開されるとすぐに、さらに多くの写真が公開される予定だという。

そして彼が最も頑強に主張する意見はこれだ。UAEは全ての人が自由にアクセスできるようにするだろう。

今回のミッションの特徴は「透明性」と「平和」であり、ポスト石油の未来にも目を向けている、とシャラフ氏は話した。

「世界の超大国は恐らく私たちとは違う見方をしています」と同氏は話した。「私たちには非常に明確な優先事項があります。経済です。私たちが宇宙に行くのは、UAEの若者が未来に貢献できるよう、能力を育て、一連の技術を高めるためです」

「先端技術の開発とUAEへのカスタマイズが不可欠な、環境に関連した国家的課題もあります。そのため、一連の技術を持った人材と、非常に高い水準の産業が必要です」

協力することも重要だ。今回のミッションでは UAEは米国の3大学と協力し、日本の種子島から三菱重工業製のロケットで打ち上げた。

「私たちは宇宙競争だとは考えていません」とシャラフ氏は言う。「宇宙コミュニティの中では、その用語を使うことすらありません」

「このことを分かってもらうために必要なのは透明性でした。透明性を確保することで、他の国々や人々に私たちのミッションの主な目的を理解してもらいます。基本的にUAEの宇宙計画は民間のものです。平和的なものです。私たちが強調したいのは、このことです」

今回のミッションの火星への最終進入時、シャラフ氏の不安そうな顔が、ドバイのムハンマド・ビン・ラシド宇宙センターの管制センターからのライブストリームで世界中に配信された。

UAEが軌道投入に成功する確率は50パーセントで、シャラフ氏は前の晩、眠ることができなかった。

「心配はしていなかったと思います。ストレスを感じていたので」と同氏は話した。「私は、うまくいかないかもしれないという事実を受け入れていただろうか? その時点では受け入れていました。なので、どんな結果でも私は構いませんでした」

午後8時過ぎ、シャラフ氏は落ち着いて「アラブ首長国連邦の人々に、アラブ・イスラム諸国に」、軌道に乗せることに成功したことを発表し、「アッラーに感謝を」というフレーズを3回繰り返した。

「ホープ」チームは現在、探査機の機器を調整しており、6週間後に捕捉軌道から探査軌道に移行する準備をしている。探査軌道は楕円形で、長さは2万~4万3000キロメートルで、1周するのに55時間掛かる。探査機道に入ることで宇宙探査機は、昼夜を問わず火星の大気力学と気象の全体像を初めて把握することができる。

探査軌道の間、探査機は火星の大気中をエネルギーがどう移動するか調査する予定だ。

「このデータから、人類に役立つ新たな情報が分かり、火星で起きたことをよりよく理解するのに役立つでしょう」とシャラフ氏は話した。「地球の気候や、私たちの周りで起きている変化をよりよく理解するのに役立つでしょう」

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