
アンカラ:トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、クルド人武装組織がトルコの安全を脅かし続ける限り、シリア北部で新たな軍事攻撃を行うエルドアン政権の計画は検討されるだろうと言っている。
エルドアン氏はまた、米国に対し、ユーフラテス川東部から軍を撤退させるよう要求した。そして同氏は、NATOの同盟国である米国が、トルコがテロリストであると見なしているシリアのクルド人武装組織を訓練・支援していると再び非難した。
エルドアン氏は19日夜、イランのイブラヒム・ライシ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談したテヘラン訪問から戻るとすぐにこれらのコメントを発表した。シリア内戦が首脳会合の議題になったとき、エルドアン氏は、米国が支援するシリアのクルド人武装組織に対するトルコの新たな侵攻への支持を求めた。
トルコの日刊紙ヒュリエトなどが20日、エルドアン氏の発言を掲載した。
5月にエルドアン氏は、シリアのクルド人武装組織を駆逐するためにシリアで新たな軍事作戦を行う計画を発表した。シリアのクルド人武装組織は、活動を禁止されているクルド労働者党(PKK)の延長線上にある、とトルコは主張している。その計画には、シリアとの国境に沿って30キロメートルの安全地帯を設置するトルコの取り組みを再開することや、シリア難民がトルコから自主的に帰還できるようにすることが含まれている、とエルドアン氏は言っている。
トルコは2016年以降、シリアに3回の大規模な越境作戦を行い、すでに北部の一部の領土を支配している。
「トルコの安全保障上の懸念が解消されないうちは、我々は新たな作戦の検討を続けるだろう」とエルドアン氏は述べた。「我々は、テロ組織との戦いにおいて、ロシアとイランが我々の味方であることを望んでいる」
同氏はこう続けた。「米国はテロ組織を養っている。米国が撤退するか、テロ組織を養わなけば、我々の任務はすぐに、もっと楽になるだろう」
トルコは長い間、米国がシリアのクルド人武装組織を支援していることに憤ってきた。シリアのクルド人武装組織は、ダーイシュと戦う、米国が主導する部隊の中心を成している。
テヘランでの会合で、エルドアン氏は、トルコの安全保障を標的にする「悪の中枢を駆逐する」と決意していると述べ、テルリファトとマンビジュが「テロの温床」になっていると付け加えた。トルコはそれらの地域に軍隊を派遣する予定だと言っている。
3人の大統領は、トルコの懸念に言及したと思われる共同声明を発表した。その声明には、大統領らは「テロとの戦いを口実に、違法な自治構想など、現地で新しい事実を生み出す全ての試みを拒絶した」と書かれていた。
しかし、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は、先に行われたエルドアン氏との会談で、侵攻に対し、トルコにくぎを刺した。
「シリア北部への軍事攻撃は、どんなものであろうと、トルコとシリア、地域全体を間違いなく害する。そしてテロリストを利することになる」とハメネイ師は述べ、「交渉によってこの問題を終わらせる必要がある」と強調した。
イランとロシアはアサド政権を支持し、トルコは武装した反アサド勢力を支持している。
AP